今が旬の無線技術!Sub-1GHz帯を
使用したワイヤレス製品のご紹介

無線技術と聞くと、一般的に思い浮かぶのはBluetoothやWi-Fiといった技術になるかと思います。BluetoothやWi-Fiはスマートフォンやパソコン、ゲーム機、家電など、幅広い用途で使用されています。これらは広く世の中に普及しているため、馴染みやすく、非常にメジャーな無線技術となっています。 しかし、世の中に存在する無線技術はBluetoothやWi-Fiだけではありません。Sub-1GHzという言葉をお聞きしたことはありますでしょうか?Sub-1GHzはその名通り、1GHz未満の周波数帯を使用した無線技術の総称です。日本国内では主に、315MHz帯、400MHz帯、920MHz帯が使用されています。

Sub-1GHz帯の特徴

BluetoothやWi-Fiは2.4GHz帯が使用されますが、Sub-1GHz帯と2.4GHz帯では何が違うのでしょうか。それぞれの特徴を比較した表を以下に記します。Sub-1GHz帯は用途が拡大している920MHz帯について記載しています。また、2.4GHz帯に関しましては、Wi-Fi、ZigBee、Bluetooth、BLEと分けて記載しています。
各項目に対し、優れている項目を◎とし、○、△、×の順で、特性が劣る形となります。920MHz帯が2.4GHz帯に比べて特に優れているポイントは、通信距離、回り込み特性、電波干渉です。回り込み特性とは、どれだけ電波が障害物の後ろに回り込めるかを意味しています。周波数が低いほど、電波は遠くに届きやすく、波長が長いほど電波は回り込みやすくなります。そのため、920MHz帯は2.4GHz帯に比べて、通信距離や回り込み特性の観点で優れています。この特性により、Sub-1GHzは屋外での通信にも向いていると言えます。また、2.4GHz帯はメジャーな無線技術に使われているため、混雑しがちですが、920MHz帯は2.4GHz帯と比較しますと空いていますので、電波干渉の観点でも良いと言えます。他にも、消費電力でもメリットを出しやすい周波数帯でもあり、Sub-1GHz帯にはさまざまなメリットがあります。そのため、Sub-1GHz帯は、Wi-SUNやLow Power Wide Area (LPWA)などの領域で注目を浴びている周波数帯であり、今後IoTなどの分野を中心に発展していくことが期待されています。

Texas Instruments社のSub-1GHz製品について

Texas Instruments社 (以下、TI社) は、幅広い無線製品のポートフォリオを用意しています。至近距離の通信を行うNFC/RFIDから、Bluetooth/BLE、独自の2.4GHz通信、ZigBee、Wi-Fi、Sub-1GHzと、非常に広いラインナップとなっています。Sub-1GHz帯の良さに関しまして「はじめに」でご紹介させていただきましたが、ここから、本ページでは、TI社のSub-1GHz製品の特長についてご説明いたします。 TI社のSub-1GHz製品には大きく分けて3つの製品群があります。RFトランシーバ、ワイヤレスマイコン、マルチバンド・ワイヤレスマイコンの3つです。それぞれの製品群に分けてご説明します。

RFトランシーバ

RFトランシーバは、ホストマイコンとSPIを介してコマンドやデータのやり取りを行い、無線通信を行うタイプの製品群です。デジタル部とRF部に分かれていまして、SPIインターフェースを持っています。

出展:Texas Instruments – CC1200 Low-Power, High-Performance RF Transceiver

TI社は20年以上にわたるRF分野の経験を有しており、その蓄積されたノウハウを活かした製品展開をしています。選択度やブロッキングといった妨害波に強く、また優れたリンクバジェットを達成し、より遠くまで強固な無線通信を確立することが出来ます。また、ホストとのインターフェースはシンプルなSPIインターフェースとなっていますので、既存のシステムに無線機能を追加することも容易です。狭帯域にも対応しており、さまざまな産業市場向けに使用できる、高性能を特長としている製品群です。  

ワイヤレスマイコン

Arm® Cortex®-M3やM4Fを搭載した、ワイヤレスマイコンの製品群もあります。アプリケーションやスタックを動作させるArm ®Cortex®-Mクラスのコア、無線部分を制御するCortex®-M0、これら2つのコアとは独立して動作し、低電力モードでも動作し続けることが可能なセンサーコントローラエンジンの3つのコアを搭載しています。センサーコントローラエンジンは独立したマイコンのような動作が可能で、このコアからGPIOの制御やシリアル通信を行うことが出来ます。 また、ワイヤレスマイコンにはFlashやRAM、DC-DCコンバータを搭載しており、1チップでアプリケーションを構成することが可能になっています。マイコンですので、各種ペリフェラルも搭載しており、I2C、UART、SPIといったシリアル通信インターフェースや、ADC、I2Sといったインターフェースも搭載しています。

出展:Texas Instruments – CC1310 SimpleLink™超低消費電力Sub-1GHz ワイヤレスMCU

  ワイヤレスマイコンの特徴は何といっても低消費電力であるところにあります。例えば、CC1310では、65nmという微細なプロセスを採用する事で低消費電力化を図り、EEMBC ULPBench Scoreで158という高い数値を記録しています。また、独立して動作可能なセンサーコントローラエンジンを活用し、チップの大部分をスリープさせながら、外部のセンサーのデータを蓄積することが出来ます。これにより、システム全体として低消費電力化を図ることが出来ます。

マルチバンド・ワイヤレスマイコン

ワイヤレスマイコンはSub-1GHzのみに対応していますが、Sub-1GHzと2.4GHz両方に対応したデバイスもあります。それがマルチバンド・ワイヤレスマイコンです。マルチバンド・ワイヤレスマイコンは、ワイヤレスマイコンの機能や特徴を踏襲しつつ、複数の周波数帯を動作させることが可能です。例えば、920MHz帯とBLEを同時に対応させることも可能です。

出展:Texas Instruments – CC1350 SimpleLink™超低消費電力デュアル・バンド ワイヤレスMCU

  マルチバンド・ワイヤレスマイコンであるCC1350では、920MHz帯と同時にBLEの完全なスタックを搭載させることは出来ませんが、CC1352Rという大容量のメモリを搭載している製品ですと、Sub-1GHzとBLEを動的に切り替えながら動作させることが可能です。それにより、920MHz帯の長距離通信でセンサーデータを収集し、収集したデータをBLE経由でスマートフォンに送り、スマートフォン上のアプリに表示する、といった応用が出来るようになります。さまざまなアプリケーションの検討の幅を広げることが出来るデバイスだと思います。

最後に

Sub-1GHzは一般的にはなじみのない無線技術ではありますが、他の無線にはない様々なメリットがあります。2.4GHzに比べ、通信距離が長く、回り込み特性に優れ、電波干渉に困ることも少ないです。低消費電力というメリットもあります。 また、TI社では、トランシーバ、ワイヤレスマイコン、マルチバンド・ワイヤレスマイコンといったSub-1GHzに対応したデバイスを多数取り揃えています。 詳しい製品の紹介等も可能ですので、ご質問・ご要望等ございましたら、お気軽に下記の弊社営業担当までご連絡頂けますと幸いです。

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