- 公開日:2020年09月28日
- | 更新日:2023年03月31日
Client/Enterprise/Consumer SSDの違い
- ライター:kishi
- メモリー
SSDの想定される使い方は?
近年、情報化社会の発展に伴い、世の中で生み出されるデータ量は年々増加しています。その重要なデータを記憶するSSDやHDDなどが様々な機器に搭載されるようになってきています。
SSDやHDDはそれら様々な用途に合うように種類がラインアップされています。
ここではSSDを取り上げ、SSDのClient/Enterprise/Consumerの3種類について説明します。これらを理解することで、SSD導入時により適切な種類を選定することができます。
SSDを選定するにあたって想定されるSSDの使い方を確認しておくことが重要です。どこで使用するか、1日あたりどれぐらいの時間使用するかなどの使用環境がまず挙げられます。またSSDは使い込むと速度が使い始めより落ちる特徴がありますが、どれぐらいの速度まで落ち込んでも問題がないかも挙げられます。他にも保証期間やSSDの寿命も確認しておくことが必要です。
これからそれらのポイントを踏まえて説明していきます。
Client SSD
特徴
ノートPC、デスクトップPCやタブレット端末で、表計算、文書作成などを使用する一般的なビジネス用途が想定されています。また1日8時間程度の使用が想定されています。データは搭載された機器とのみとアクセスし、書き込み頻度もそれほど多くなく、低消費電力となることが想定されています。
スペックに記載されている書き込み/読み込み速度の値は使い始めのよい状態で規定されていることが多く注意が必要です。使い込み、書き込み量が大きくなっていくにつれて、また時間経過とともに低下していきます。その後に性能変化の少ない定常状態へと移行します。そのため定常状態ではスペックに記載されている速度より遅くなることがあります。一般的なビジネス用途では問題にならないことが多いですが、最低限の速度が求められる環境では使い込んだ後に初めて問題となる可能性があります。
書込み頻度はそれほど多くない想定からSSDの書込み寿命は後述のEnterprise SSDほど長くありませんが、一般的なビジネス用途としては十分な書き込み寿命があります。
データ保護機能も同様に一般的なビジネス用途を想定して必要十分に備わっています。
形状、容量
形状は2.5inch 7mm厚のものやM.2 2280のものが主流です。接続はSATAではなくPCI Express(NVMe)が主流になってきております。容量は主に250GBから2TBの間が主流です。
入手性、保証
販売については主にメーカーから直接、または代理店を通してのみ購入することができます。
保証期間はメーカーや種類によっても異なりますが、3年程度の保証となっています。不具合発生時には、メーカーにより外観検査やSSD内部の動作情報を参照することなどでSSDの状態を確認し解析することができます。またその後メーカーから解析レポートを発行することができます。
その他
またメーカーによっては屋外での使用も想定して通常よりも広い温度範囲での動作に対応した製品もあります。
Enterprise SSD
特徴
データセンターやストレージアレイなどでの複数の機器からのアクセスや24時間365日動作が想定されています。計測器、通信機器などで高いパフォーマンスを安定して求められる環境が想定されています。
書込み/読込み速度の値は上記から使い始めのよい状態ではなく使い込んだ後の落ち着いた状態で規定されています。Client SSDと同様に使い込み、書き込み量が大きくなっていくにつれて、また時間経過とともに低下し定常状態へ移行します。しかしながら落ち込み幅はClient SSDよりも小さく、スペックに記載されている速度に近づき安定します。
書込み頻度は多い想定で、それに対応したClient SSDよりも長い書き込み寿命があります。
データ保護機能はデータ損失が発生しないよう、不意の電源喪失に備えて内部に大容量のキャパシタを搭載したり、SSD内のデータのやりとりをより強固にすることでデータ化けを低減するなどClient SSDに比べてより強化されています。
形状、容量
形状は2.5inch 7mm厚のSATA、2.5inch 7mm厚/15mm厚のU.2(U.3)、M.2 2280/22110のものが多いです。接続はPCI Express(NVMe)、SATAどちらも主流です。容量はClient SSDと比べて大きく、10TBを超えるような製品もあります。
入手性、保証
販売については一般に購入できず、主にメーカーから直接、または代理店を通してのみ購入することができます。保証期間はメーカーや種類によっても異なりますが、長期稼働を想定しているため5年程度の保証となっています。不具合発生時には、Client SSDと同じくメーカーにより外観検査やSSD内部の動作情報を参照することなどでSSDの状態を確認し解析することができます。またその後メーカーから解析レポートを発行することができます。
比較的長期的に販売/供給されることが想定されています。
Consumer SSD
特徴
主に個人、一般消費者向けの製品で特徴はClient SSDに近いですが、最近では常時動作や耐久性を謳う製品もあります。
形状、容量
形状は2.5inch 7mm厚のものやM.2 2280のものが主流です。最近ではClient SSDよりも容量が大きな製品もラインアップされています。
入手性、保証
個人、一般消費者向けの製品のため電機店や通信販売などで一般小売されています。メーカーまたは中間代理店により1台ずつパッケージングされていたり、代理店のラベルが貼られたりして販売されていることが多いです。不具合発生時の問い合わせ先は多くの場合、メーカーではなく購入先となります。メーカーでの保証期間は代理店や販売店により設定されています。
まとめ
上に挙げた通り、それぞれのSSDに違いや特徴がありますが、どれが1番よいということはありません。目先の容量や価格でSSDを選定するのではなく、これらの違いや特徴を踏まえた上で、想定されるSSDの使い方に照らし合わせてSSDを選定することが重要です。選定を誤ると、コストがかさんだり、短い期間でSSDが寿命を迎えてしまう、発熱が大きくなってしまうなどの問題が発生してしまうことがあります。
まずは想定されるSSDの使い方を把握することから始めてみましょう。
SSDの形状(フォームファクター)についてはこちらの記事をご覧ください。
SSDの消費電力とパフォーマンスについてはこちらの記事をご覧ください。
*2021/1時点の内容です。