• 公開日:2021年01月15日
  • | 更新日:2023年12月22日

DC400V入力→DC5V出力の非絶縁降圧DC/DC

  • ライター:短絡亭過電流

とあるお客様からこのような御相談を頂きました。

「DC400Vから非絶縁でDC5Vを作りたい。
電流は100mAもあれば十分。トランスは使いたくない。何か良い方法は無いか?」

デジタル電源やkW級のモーター制御にはマイコンを用いることが多く、それらのコントローラ用電源として、DC400V入力→DC5V出力の電源を構成することが多々あります。
一般的にはフライバック方式で構成しますが、フライバックはトランスを要するため、設計のハードルが高くなります。

その背景があり上記の御相談となる訳ですが、世間一般の降圧型DC/DCでは、400Vの耐圧は無いため、高耐圧のHalf Bridge Gate Driverが別途必要となります。
例:620V耐圧Half Bridge Gate Driver UCC27712

つまり、普通のICでは部品数が多くなってしまいます。
ではどうするか。。。。

あるんですよ。 良い製品が!

それがUCC28880/UCC28881です。
https://www.tij.co.jp/product/jp/UCC28880
https://www.tij.co.jp/product/jp/UCC28881

700V耐圧のFET内蔵しており、降圧、昇圧、フライバックに使用できるICです。
今回はTINA-TIのマクロがあるUCC28880で、入力電圧DC100V~400V、出力5V/100mAの降圧DC/DCをTINA-TIでシミュレーションしてみました。

その回路と動作波形がこちら!


“出典:Texas Instruments – TINA-TI 『UCC28880を用いたローサイド降圧電源回路』”

入力電圧がDC100VからDC400Vまで上がっても、出力電圧は5Vを維持しています。

これは、期待通りと言って良いんではないでしょうか!

設計に際し、注意すべき点はインダクタンス値(L値)とダイオードです。

インダクタンス値はデータシートの(1)式に従い、最大入力電圧にて算出します。
ただ、市販のインダクタのL値は、公称値に対し±30%程度の誤差が含まれる場合があります。そのため、算出したL値に、更にマージンを持たせることをお勧め致します。

出力は5Vですが、ダイオードには入力電圧がそのまま印加されます。そのため、最大入力電圧に十分に耐え得る耐圧のダイオードを御使用ください。

また、出力電圧にはリップルがあるため、そのまま使用するのが憚れる場合、後段にLDOを使用することをお勧め致します。

「こんな回路を実現したい!」との要望がありましたら、是非弊社エンジニアへご相談ください!

当記事のTINA-TIシミュレーションファイルのダウンロードはこちらから!
※このシミュレーションモデルは、実機での動作を保証するものではありません。ご検討の際は、実機での十分な動作検証をお願いします。