• 公開日:2021年04月07日
  • | 更新日:2023年12月22日

~TINA-TI~ 無料のお手軽回路シミュレーター 

  • ライター:短絡亭過電流

皆さんは自身が考案した回路の動作確認の際、どんな回路シミュレーターをお使いでしょうか?
中にはライセンス購入が必要なシミュレーターをお使いの方もいると思います。

今回は無償で使用できるTexas Instruments社(以下、TI社)のアナログ回路シミュレーター、「TINA-TI」をご紹介します。
こちらからダウンロードできます。

うれしいことに日本語に対応しています。
導入時に参考となる資料がTI社から公開されています。
クイックスタートガイド TNA-TI操作入門
第1章 TINA-TIによる電子回路解析の基本

こちらがTINA-TI画面です。
画面上部に各コンポーネントが並んでおりますが、どれが何なのか、直感的にわかるようになっています。
その中でも良く使用する、下図赤枠のコンポーネントについて説明します。

【解析】

主に使用するであろう3項目について簡単に説明します。

DC解析 AC解析 過渡解析
入力電圧を徐々に増加させた場合の特性
を表示します。
主に受動部品やディスクリート半導体で構成
された回路に使用します。
入力周波数を徐々に増加させた場合の
特性を表示します。
主に受動部品やディスクリート半導体、
オペアンプで構成された回路に使用します。
回路の時間経過における特性を表示します。
主にICを用いた回路に使用します。

【ツール】

主にICのSpiceマクロを回路に追加する場合に使用します。

部品を見つける 新規マクロ・ウィザード
TINA-TIに登録されているICを型番で検索できます。 TINA-TIに新たにICを登録できます。
マクロはTIのWebサイトからダウンロードできます。
他社の半導体製品のSpiceマクロも取り込むことができます。

【基本タブ】

直流電圧源やグラウンド、任意波形の他、抵抗,コンデンサ,インダクタ等の、電気回路に必要な基本的なコンポーネントが用意されています。

【スイッチタブ】

SPST,SPDT等の単純スイッチの他に、電磁開閉器、電圧スイッチがあります。電圧スイッチはON/OFFの電圧が設定でき、導通抵抗も任意で入力可能なので、理想FETとして使用することもできます。

【計器タブ】

電圧計や電流計等を備えています。これらのコンポーネントはシミュレーション時の波形表示に使用します。

【ソースタブ】

電圧源、定電圧源、定電流源、任意波形の他に、デジタルデータジェネレータが備わっています。

【セミコンダクタタブ】

理想オペアンプやタイマーIC、ダイオード、バイポーラトランジスタ、FETが備わっています。

“出典:Texas Instruments – TINA-TI 『回路図エディタ画面』”

TINA-TIの最も良い点は、「ぱっと使えるお手軽さ」だと思います。
さらに詳細な条件等を盛り込みたい場合には、PSpice for TI(紹介Webページ)がお勧めです。
この技術Blogでは、TINA-TIを用いた回路例を多数用意しておりますので、是非回路設計に御活用ください。

シミュレーションによるリニアレギュレータの並列動作
過電圧検出及びラッチオフ回路
オペアンプを用いた高電圧側電流監視回路
数アンペアの定電流回路
降圧型スイッチングレギュレーターを用いた負電圧電源回路
DC400V入力→DC5V出力の非絶縁降圧DC/DC