- 公開日:2021年07月30日
- | 更新日:2022年11月30日
USB Power Deliveryコントローラーを使ってみよう!
- ライター:Kanemaru Hideto
- インターフェース
昨今、USB Power Delivery(以下USB PD)の普及が進んでおります。
Texas Instruments社(以下、TI社)でもUSB PDのコントローラー製品を有しており、
動作確認が簡易に行える環境が揃っております。
本ブログでは、TI社のTPS25750Dが搭載された評価基板USB-PD-CHG-EVM-01の動作手順を紹介させて頂きます。
TPS25750はUSB PDコントローラーですので、USB PDのVBUS電圧動作などを簡易に確認することが可能です。
また、BQ25792も搭載されていることから、バッテリー充電動作の確認も出来る評価基板です。
※USB Power Delivery概要についてはこちらをご参照下さい。
TPS25750Dについて
TPS25750DはUSB PDコントローラーで、TPS25750 Application Customization Tool(以下、GUI)を活用することで簡単に構成を設定することが可能です。
また、TI社のバッテリーチャージャーとの親和性が高く、TPS25750D自身がマスターとなり、I2Cを介してバッテリーチャージャーの設定を行うことが可能な仕様となっており、マイコンなどの削減に貢献出来ます。
TPS25750D Datasheet
https://www.tij.co.jp/jp/lit/ds/symlink/tps25750.pdf
USB-PD-CHG-EVM-01について
TPS25750とBQ25792(バッテリーチャージャー)が搭載された評価基板です。
GUIで選択した構成をバイナリーファイル(.bin拡張子)で出力し、I2C経由でTPS25750に設定することが可能な評価基板となっております。
出典:USB-PD-CHG-EVM-01(TIDA-050047) Design Guide
https://www.tij.co.jp/jp/lit/ug/tiduey1/tiduey1.pdf
設定手順
設定手順は以下となり、詳細は各項目で紹介させて頂きます。
- GUIで構成を設定
- TPS25750DへI2C経由で構成を入力
- USP PD動作検証
1.GUIで構成を設定
1-1.GUIのインストール
My TIにご登録頂く必要が御座いますが、無償で提供されております。
https://dev.ti.com/gallery/info/1769824/TPS25750_Application_Customization_Tool
1-2.GUIの各項目を選択
項目1~8までがTPS25750D/S用の設定となります。
-項目1:TPS25750D or S、チャージャー使用有無、Source or Sinkの組み合わせを選択
※USB-PD-CHG-EVM-01で検証する場合は末尾Dの型番
-項目2:最大供給電力値(Source)の選択
-項目3:受電(Sink)電力の要求値設定の選択
-項目4:優先すべきPower roleの選択
-項目5:優先すべきData roleの選択
-項目6:対応するUSB信号の選択
-項目7:Vendor IDの選択
-項目8:Product IDの選択
項目9~13までがバッテリーチャージャー用の設定となります。
-項目9:使用するバッテリーチャージャーの選択 (USB-PD-CHG-EVM-01で検証する場合はBQ25792)
-項目10:充電電圧の設定
-項目11:充電電流の設定
-項目12:充電終止電流の設定
-項目13:予備充電電流の設定
※各項目の詳細はTPS25750 Application Customization Tool User’s Guideをご参照下さい。
https://www.tij.co.jp/jp/lit/ug/slvubz4/slvubz4.pdf
1-3.”Generate Full Flash Binary”をクリックし、バイナリーファイル(.bin拡張子)を出力します。
2.TPS25750DへI2C経由で構成を入力
GUIで設定した構成(Binary File)を、I2C経由でTPS25750Dへ入力します。
2-1. USB-PD-CHG-EVM-01のJ2ネクタへSCL、SDA、GND x2本の接続となります
2-2.USB-PD-CHG-EVM-01のBATT端子(J2)に5Vを印加
3-3.PCからTPS25750DへBinary Fileの設定をWrite
【接続イメージ】
3.USP PD動作検証
設定通りのUSB PD挙動となっているかを確認する為、以下項目の検証を実施。
-VBUS 5Vが設定通り20Vになるか確認
-USB PDアナライザを用いて、期待通りのPDネゴシエーションが行われているか確認
【GUI設定】
項目1:Sink onlyのTPS25750D/QB無し
項目2:100W(20V)
項目3:100W(20V)
項目4:Power Sink
項目5:No
項目6:No
項目7:No
項目8:No
項目9-13: USB PDの挙動確認目的の為、チャージャーは未設定
【測定環境】
-USB-PD-CHG-EVM-01をSink設定で使用
-TPS65987EVMをSource設定で使用
TPS65987 Evaluation Module User’s Guide
https://www.tij.co.jp/jp/lit/ug/slvubo9a/slvubo9a.pdf
<測定系ブロック図>
【測定結果】
・VBUSが5Vから20Vになることを確認。
<VBUS波形>をご参照下さい。
・期待通りのUSB PDのネゴシエーションが実行されていることを確認。
<USB PDネゴシエーション結果>をご参照下さい。
<VBUSの挙動確認>
使用機材:Tektronix社製 TDS3014B
<USB PDネゴシエーション結果>
使用機材:TELEDYNE LECROY社製 USB-TMPD-M02-X-ND
まとめ
USB-PD-CHG-EVM-01の動作手順を紹介させて頂きました。
ツールを使用することでUSB PD構成を設定し、簡易に動作検証を進めることが出来ますので、
TPS25750Dのご検討の程よろしくお願いします。