• 公開日:2021年09月22日
  • | 更新日:2022年11月30日

活用例から学ぶ、ミリ波センサーによる建設現場の危険回避システム

建設・工事現場では、重機との接触事故や、危険エリアへの立ち入りによる事故の発生リスクが高く、危険回避が大きな課題となっています。監視カメラや重機用のバックカメラを導入している現場もありますが、「もっと検知精度を高めたい」「作業性と安全性を両立したい」といった声もあるようです。 

カメラにはないメリットを持つ安全対策として、ゼネコンや建機レンタル業界からの期待が高まっているのが「ミリ波センサー」を活用した危険回避システムです。 

今回は、「建設現場でミリ波センサーをどのように活用できるのか知りたい」とお考えの方に向けて、ミリ波センサーによる危険回避システムのメリットと活用例を紹介します。 

建設現場で期待されるミリ波センサーの特長とは 

建設現場では、毎年多くの事故が発生しています。監視カメラや重機用カメラを導入して、事故防止に取り組んでいる現場もありますが、悪天候や夜間、粉塵、振動により視認性が低下するため、屋外で粉塵や振動の多い建築現場では、使い勝手に不満を感じる場面もしばしばあるようです。 

 

今回ご紹介するミリ波センサーは、ミリ波と呼ばれる電波を発射し、対象物からの反射によって、対象物の距離や位置、速度などを計測します。計測可能な範囲は短距離から長距離までと幅広く、アンテナを増やせば三次元での測定も可能となり、物体の形状や人の姿勢も検知できます。 

 

ミリ波は、雨・雪・霧といった天候、粉塵、暗さなどの影響を受けにくく、屋外や夜間でも安定した検知結果が得られるのが特長です。振動を軽減するアルゴリズムを組み込んだ製品もあるため、重機による振動にも左右されずに利用できます。屋外、粉塵、振動といった建築現場特有の環境下で、ミリ波センサーを活用した危険回避システムが役立ちます。 

【活用例1】危険エリアへの侵入防止システム

建築現場におけるミリ波センサーの活用例として、危険エリアへの侵入防止システムが挙げられます。厚生労働省の統計(※)によると、建設業の労働災害で最も多いのが「墜落・転落」で、危険が潜むエリアへの侵入は事故の大きな要因となっています。

 

例えば、危険エリアにミリ波センサーを設置し、侵入者を24時間365日体制で監視することで、事故を未然に防止できます。

人の立ち入りを検知したら、自動で警報装置や警告灯を作動させて、侵入者に警告を与えることができます。

複数のエリアにセンサーを設置し、同時に監視することも可能です。

 

ミリ波センサーの特性上、夜間や暗所でも問題なく検知できるため、時間帯を問わず、侵入防止対策として活用できます。

遠隔で監視している警備員などにも自動で通知し、現場への急行を要請できます。

侵入者を検知した日時やエリアは、クラウドサーバに自動で記録できます。ログの解析により、侵入が発生しやすいエリアや日時を特定して、データに基づく安全対策の強化につなげられます。

【活用例2】重機との接触事故防止システム

もう1つの活用例として、重機との接触事故防止システムも注目されています。重機に「はさまれる」「巻き込まれる」「激突される」といった接触事故は、深刻な事故の要因となっています。大型の重機は運転席からの視野が限られ、特に後方や側面に大きな死角があります。作業員が死角に入っているときに、オペレーターが気づかずに旋回や走行をし、事故につながる例が多くあります。

 

そこで、ミリ波センサーを重機の背面・側面に取り付け、センサーが作業員を検知したら警告音や警告灯で通知します。運転席の視野を無理なくサポートし、接触事故を未然に防止できます。

ミリ波センサーは、天候や粉塵、振動などの影響を受けにくいため、いつでも安定して利用できます。

 

センサーによる検知結果は、自動的にクラウドサーバに記録されるため、ログデータを解析し、現場の改善に活用できます。

例えば、車両ごとに1日何件アラートが発生したかを分析し、特定の車両でアラートが多い場合は「危険な使い方をしていないか」「作業工程に危険がないか」といった視点で現場の作業を見直すことで、的確な事故防止を実現できます。

 

 

いかがでしたでしょうか。
今回は、建設現場でのミリ波センサーによる危険回避システムのメリットと、2種類の活用例を紹介しました。
ミリ波センサーを使った実際のシステムに興味がある方は、無料ダウンロード資料をご用意していますので、ぜひ下記リンクからダウンロードしてご一読ください。
SRS社 ミリ波レーダー・モジュール

(※)出典:厚生労働省「令和2年労働災害発生状況の分析等」