• 公開日:2021年10月04日
  • | 更新日:2022年11月18日

ミリ波の技適を取ってみた! [第4話:いざ技適取得へ]

はじめに

前回までにミリ波のデモキットと、技適的取得に向けたソフトウェアの準備が整いました。
今回は、いよいよ技適取得にチャレンジしてきます。

技適はどこで取得できる?

技適の取得は、総務省の認可を受けた登録証明機関で行うことができます。
今回は、一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター(TELEC)さんを利用させていただきました。

なお、今回のミリ波デバイスは60GHz帯の移動体検知センサーという分類となり、Wi-fiやBLEなどの他の無線機器と比べ、国内でも技適取得の件数はそれほど多くなく、ノウハウの面でもかなりハードルが高いことが予想されました。

そこで、ミリ波を始めとしたさまざまな無線機器の知見を有する協力会社様から、技適取得に必要な書類や、試験項目、ソフトウェア機能に関する様々なアドバイスをいただきながら進めることにしました。

技適申請に必要な書類の準備

ミリ波の技適も他の無線機器と同様に様々な種類の書類が必要となりますが、最低限必要となる書類はそう大きく変わりません。
以下に、書類の一覧を示します。また、用意した資料の一部をご紹介します。

 


〇部品配置図

 

 


〇外形図

 

 

本試験の前に事前測定

これまでに、ハードウェア(デモキット)、ソフトウェア、各種書類の準備ができましたが、本試験に進む前に、要件を満たすかどうかを協力会社様が所有している機材をお借りして測定してみます。

 

〇無線仕様

 

電波暗箱にデモキットをセットして測定します。送信周波数、空中線電力、電波送信時間などを主にチェックしました。
占有周波数帯域が、机上値よりもややオーバーしていたため、ソフトウェアを修正して、若干余裕のある帯域となるように手を加えました。
その他の項目は特に問題なさそうなことがチェックできましたので、この状態で本番の試験に挑みます。

 

いざ本試験へ

試験項目は主に以下の5項目の試験を行います。
今回は計4台のミリ波デモキットの技適取得を行いますが、内2台を無作為に抽出して試験を実施します。

1.周波数の偏差

2.占有周波数帯幅

3.スプリアス発射または不要発射の強度

4.空中線電力の偏差

5.副次的に発する電波等の限度

 

事前準備も行い満を持して迎えた本試験ですが、空中線電力が規定値をわずかにオーバーしていることが判明してしまいました。。。

事前測定時の計測環境と、本試験の計測環境が異なることが要因と思われますが、このままでは試験を通過することができません。
そのため、急遽電波強度に関連するパラメータを調整したソフトウェアをその場で用意し、なんとか空中線電力の試験も通過することができました。

 

まとめ

本記事では、技適取得までの流れをご紹介させていただきました。
ミリ波の技適取得については右も左もわからない状態からはじめてきましたが、試験項目や技適取得向けのソフトウェアの準備、ハードウェア設計を通して、その全貌をつかむことができたと思っています。

様々な分野への応用が期待されているミリ波センサーですが、Wi-fiなどの無線製品と同じようにより多くのミリ波製品が一般的に利用され、たくさんの方に興味を持ってもらえることを願っています。