• 公開日:2021年09月27日
  • | 更新日:2022年11月30日

重機衝突防止に活用できるミリ波レーダー

ミリ波レーダーは、カメラ、Lidarとともに物体を検知するセンサーシステムの技術として注目されています。建設現場で稼働する重機に取り付けて、周囲を検知するシステムにミリ波レーダーを活用することができます。これにより操縦者の死角位置にいる別の作業員や建築部材との接触事故を未然に防ぐことができるようになります。

本記事では、重機周辺を検知するセンサーにミリ波を提案する背景とマクニカで取り扱っている重機向けのミリ波レーダーをご紹介します。

ミリ波について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
ミリ波センサーとは -5分で分かる概要-

ミリ波レーダーを重機へ活用するメリット

重機の周辺検知を実現するセンサーとして、ミリ波レーダー、カメラ、Lidarが使用されています。では、ミリ波レーダーが、これらのセンサーよりも重機向けに活用できるメリットはなんでしょうか。

悪環境でのセンシング

建設現場では、雨、雪などの天候でも作業は行われます。ミリ波レーダーは直進性が強い電波を自ら照射し、物体から跳ね返ってくる反射波を受信して対象を検知します。この特性によって降雨のような外乱、暗闇や夜間照明による明るさの影響を受けずに測定することができます。

対象物体の位置、速度をセンシング

ミリ波レーダーは、対象物体までの距離、角度に加えて速度も計測することができます。測定対象の速度を見ることで、重機に近づいてくる人や物体を捉えることができます。

ミリ波レーダーを重機に取り付けるときの課題

重機を使用する環境下では、ミリ波レーダーの特性は相性のいいセンサーといえます。ただ、ミリ波レーダーを使用しようと考えると、以下のような課題が上がります。

重機に取り付けたレーダー自身も動いている

ミリ波レーダーの用途として、レーダー自身が定置で設置されるケースとレーダー自身が動きながら使用されるケースの2パターンがあります。重機にとりつける場合は、重機稼働中はレーダー自身も動き、その動きをノイズとしてとらえてしまう可能性があります。基本的には重機の駆動に合わせたレーダーのアルゴリズムを設計する必要があります。

振動によるノイズの発生

重機のエンジン始動でレーダー本体も振動し、測定結果に振動によるノイズが発生することがあります。

防水・防塵の対応

ミリ波レーダーは電波を照射するためアンテナを必要とします。アンテナの特性を考慮した筐体設計が必要で、加えて重機で使うには防水・防塵に対応することも考量する必要があります。

重機向けに開発されたミリ波レーダー“IRISc, IRISt”

こちらでは、重機向けに設計、開発されたSmart Radar System社のミリ波レーダー「IRISc」、「IRISt」をご紹介します。

左:IRISc、右:IRISt

このレーダーは、重機の振動、ノイズを抑えながら、周辺の人、建物の壁などを検出できるレーダーです。以下はSmart Radar System社で検証したIRIStの人検知する様子の動画です。こちらを見ると、前進後退しながら人、大きいゴミ箱のような箱2個の3点が検出できていることがわかります。レーダー自身が動くことを想定して設計されているため、振動などによるノイズが抑えられていることもわかります。

IRIScは視野角約90度で最大で15m以上先にいる人の検知、IRIStは視野角約180度で最大10m以内の人の検知ができ、用途と目的に応じて使い分けることができます。さらにそれぞれ防水・防塵対応のためIP68を取得しており、そのまま重機へ取り付けて使用することが可能です。

おわりに

今回の記事では重機向けに使用可能なミリ波レーダー「IRISc」、「IRISt」を紹介してきました。
ミリ波レーダーにご興味がありましたら、製品に関する以下の資料もご覧ください。

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