• 公開日:2021年09月29日
  • | 更新日:2022年11月18日

DAコンバーターの出力の更新について

DAコンバーター出力の値を更新する場合、ある一定のwait timeというものが必要になります。

TI製品のDAC81408には、出力を更新する方法としてSequential modeやBroadcast mode、Streaming modeの3種類があります。

これらのmodeによってwait timeが異なりますが、データシート記載のタイミングチャートのどこがwait timeになるのかが分かりづらくなっています。

本記事では、DAC81408の update modeの違いとその時のwait timeについてと、update modeの中でもSequential modeに関して、tDACWAITが何なのか、タイミングチャートはどうなっているのかについてご説明します。

 

update modeの違い

前述の通り、DAC81408のupdate modeには3種類あります。

1つ目が、Sequential modeです。

これは出力を行いたいChannel(CH)に対し、アドレスデータと入力データを送信してRegisterに書き込みを行う方法です。アドレスデータを送信する事によって任意のCHのRegisterにデータ書き込みを行うことが可能になります。

そしてこの時に必要になるwait timeが、tDACWAITになります。

 

2つ目がBroadcast modeです。

これはBroadcast Registerに、ある1つのデータを書き込みます。そしてこのデータを複数のCHから出力する方法になります。

この時に必要になるwait timeが、tBCASTWAITになります。

 

最後にStreaming modeです。

これは、まず書き込みを行いたいCHのアドレスデータと入力データを送信します。その後は都度アドレスデータを送信する必要がなく、入力データを送信するだけで良いという方法になります。

ただし注意して頂きたいのが、この方法では最初のCHは指定できるのですが、これ以降のCHは順番に指定されることになります。

どういうことか、DAC81408のデータシートから抜粋したStreaming modeのWrite Cycleを用いてご説明いたします。

STREAM WRITE COMMANDでアドレス指定(ADDRESS N)を行い、入力データを送信します。この入力データはADDRESS N→ADDRESS N+1→ADDRESS N+2というように順番に送信する必要があります。


出典:Texas Instruments -データシート
DAC81408 8チャネル、16ビット、高電圧出力DAC、リファレンス内蔵
https://www.tij.co.jp/lit/ds/symlink/dac81408.pdf

tDACWAITとは?タイミングチャートは?

では、先程のupdate modeの時に必要になってくるwait timeがどういうものなのか、本記事ではtDACWAITにフォーカスしてご説明します。

tDACWAITとは、Sequential modeで、あるサンプルデータの書き込みを行った時、出力の値を、書き込んだサンプルデータの値に更新するために必要な待機時間になります。tDACWAIT経過後、次のサンプルデータを書き込むためのコマンドを送ることが可能となります。これは初期設定時やその後の通常動作時に必要となります。

これだけでは分かりにくいと思いますので、今回はSequential modeかつSynchronous mode(=LDACと同期する)で書き込みを行うための手順をふまえてご説明します。

DAC81408のあるCHにデータを書き込むためには、以下の手順が必要になります。

  1. /CSをLow(Active状態)にして、サンプルデータの書き込みを行いたいCHのアドレスデータを送信します。
  2. 1で指定したCHに対してデータを送信する。このデータはData Register に書き込まれ、DAC Buffer Registerに格納されます。
  3. /CSをHigh(Inactive状態)にしてtCSHIGHの時間以上待機します。
  4. データを書き込みたいCHに対して、1~No.3を行います。
  5. LDACをLowにしてDAC Buffer Registerに格納されたデータをDAC Active Registerに書き込み、DAC出力に反映させます。
  6. 次のサンプルデータを書き込むために/CSをLowにし、コマンドを送ります。

このNo.5~No.6までの待機時間がtDACWAITになります。

 

タイミングチャートしては以下のようになります。

 

この様にして、動作中のDAC出力の更新を行います。

初期設定時も同様に、各CHに初期設定のデータを送信した後、LDACをLowにしてtDACWAIT待機します。

この方法は基板設計の関係上、CH1、CH3、CH5のように不連続なCHを使用する場合にメリットがあります。

 

おわりに

今回は、tDACWAITについてご説明しました。

何かご不明点があれば、お気軽に弊社エンジニアにご相談ください!