• 公開日:2021年09月30日
  • | 更新日:2024年03月14日

FPD-Linkって知っている?(2/4) ~ FPD-Link(LVDS)~

皆さん、FPD-Linkって知っていますか?ほとんど触れる機会のなかった方々もいると思いますが、液晶パネルや映像インタフェースを知っている人であれば聞いたことがあるかもしれません。このブログでは、4回に分けて、そのFPD-Linkについて説明します。
前回は、FPD-Linkの概要とその進化(世代)について説明しました。今回は、そのシリーズ第2回ということで、、第1世代のFPD-Linkについて技術的な内容を詳しく説明します。
次回以降で、第2世代であるFPD-LinkⅡ、第3世代であるFPD-LinkⅢの技術的な内容について説明します。本ブログと合わせて是非、ご覧ください。

FPD-Linkって知っている?(1/4) ~はじまり~
FPD-Linkって知っている?(2/4) ~ FPD-Link(LVDS)~ (今回)
FPD-Linkって知っている?(3/4) ~FPD-LinkⅡ~
FPD-Linkって知っている?(4/4) ~FPD-LinkⅢ~

 

FPD-Link

前回のブログでFPD-Linkの始まりとそのアプリケーションについて説明しましたが、今回のブログでは、FPD-Linkの第1世代について説明したいと思います。本技術ブログでは、FPD-Linkついて知ることができ、アプリケーションに最適なインタフェースを使用することができるようになります。
FPD-Linkは第1世代の製品群になります。LVDS(Low Voltage Differential Signaling)技術を使い、1対のクロック用差動ペアと、3~5対のデータ用差動信号で構成されます。 1clockの周期に1対の差動信号あたり7ビットのデータが格納(7逓倍)されます。

図 1 FPD-Link (LVDS)のパラレルtoシリアル

*1:出典:Texas Instruments – Product page
『+3.3V、立ち上がりエッジでのデータ・ストローブ 、LVDS、28 ビット、チャネル・リンク・トランスミッタ – 66 MHz』
https://www.tij.co.jp/product/jp/DS90CR285

75MHzのクロックで使用した場合、各データレーンの伝送レートは 75MHz x 7 = 525Mbps になり、通常3~5対のデータレーンを使用するのでインタフェースの総帯域幅は、2.1~2.6Gbpsになります。 解像度でいうと、SD(720x480p) ~ HD(1280x720p), WXGA(1280×768) 相当の映像を伝送することが可能になります。
FPD-Linkに於いて、画素情報の、R,G,B各8ビット、及び、同期信号をどの様にシリアル化されたスペースに配置するか、すなわち、データのマッピングは業界標準の規格で決められています。 これにより、送信、受信装置の間で正しく映像信号を受け渡すことができます。

図 2 Texas InstrumentsのFPD-Link(LVDS)端子マッピング (*2)

*2: 出典:Texas Instruments – Datesheet
『+3.3V Programmable LVDS Transmitter 24-Bit Flat Panel Display (FPD) Link-65 MHz』
http://www.tij.co.jp/jp/lit/ds/symlink/ds90cf383b.pdf を参照

TI製品ポートフォリオには、FPD-LinkのほかにFlatLinkという同じ機能を持つ製品群が存在します。 FPD-Linkは旧NS社(National Semiconductor社)が製造、販売していた製品群です。 他方、過去、TI社(Texas Instruments社)ではそれらと競合する製品ファミリーをFlatLinkと言う商品名で製造、販売していました。 このため、類似の機能を持つ2つの製品群が共存することになりました。  業界標準規格に従った製品なので、FPD-LinkとFlatLinkは、相互に接続することもできれば、置き換えることもできます。 接続や置き換えで重要なのがLVDSのマッピングになります。 LVDSのマッピングは、JEITAとVESAの2つの規格が併存します。 同じ規格同士の製品であれば、他社の製品とも接続でき、正しく画を映しだすことが可能です。TI社の製品では、ピン設定を変更することで両規格のマッピングに対応できる製品もあります。

図 3 JEITA(左)とVESA(右) LVDSマッピング (*3)

*3: 出典:Texas Instruments – User’s Guide
『How to Map RGB Signals to LVDS/OpenLDI(OLDI) Displays
https://www.ti.com/lit/an/snla014a/snla014a.pdf を参照

以下にFPD-LinkやFlatLinkの代表的な製品を挙げます。 パラレルデータ(*4)を取り扱う製品に加え、mipi-DSI信号とのブリッジ機能を持つ製品もあります。
パラレルデータをシリアル信号(FPD-Link)に変換して出力するICをシリアライザ(Serializer(*5))と呼び、その先頭の3文字をとり、Serと表記します。 他方、シリアル信号を、元のパラレルデータに戻す機能を持つICをデシリアライザ(Deserializer(*6))と呼び、先頭の3文字をとり、Desと表記します。

*4:パラレルデータのことをTTLやCMOS信号と呼ぶこともあります。
*5:または、トランスミッタ(Transmitter)と呼び、Txと表記することもあります。
*6:または、レシーバ(Receiver)と呼び、Rxと表記することもあります。


図4 FPD-Link(LVDS)製品ポートフォリオ (Single output)


図 5 FPD-Link(LVDS)製品ポートフォリオ (Dual output)

FPD-Linkの第1世代であるLVDSインタフェースは、短距離でのシリアルインタフェースとして使用することができ、ノートブックやアミューズメント機器のビデオプロセッサ間の映像信号間で使用されています。まだ、多くの液晶パネルでLVDSやLVCMOSインタフェースが使用されているため、ご使用される液晶パルの仕様をご確認頂き、図4や図5の製品ポートフォリオを参照頂ければと思います。
液晶やカメラといったアプリケーションに対して映像用のインタフェースとしてFPD-Linkのラインナップ製品が活用できることが本記事で理解できたかと思います。今後カメラアプリケーションも多様化し、多くのシステムで活用されることが予想されます。その中で、映像伝送を行う際には、TI社製のFPD-Linkを一度ご検討頂ければと思います。

まとめ

この技術ブログで、第1世代FPD-LinkはLVDSテクノロジーを用いたインタフェース方式であり、JEITAとVESAのデータマッピングの業界標準規格があることが理解頂けたこと思います。加えて、第1世代FPD-Linkに対応するTI社の製品ポートフォリオについても紹介しました。
次回は、第1世代FPD-Linkに比べて、大幅にデータ線を削減できる第2世代FPD-Linkについて新しく備わった、使い勝手の良い各種機能について詳しく紹介しますので、ご期待ください。

Texas Instruments社の製品をお探しの方は、メーカーページもぜひご覧ください。

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