• 公開日:2022年08月18日
  • | 更新日:2022年11月18日

新人エンジニア奮闘記(全4話) ~第1話 アイディアからロボットに!構想編~

はじめに

読者のみなさん初めまして。22年4月入社の新人FAEのGRです。マクニカでは新人研修に製作実習というものがあります。構想+製作期間で7週間にもわたり、予算約1万円で自分のアイディアを仕様書に起こし、実際にロボットを製作するという研修です。先輩方の話では、「あの研修で5 kg痩せた」「夢でロボットが襲ってくる」など新人研修のラスボス的な研修です。これから4回に分けて私の製作実習奮闘記を配信していきます。果たしてどんなロボットが出来上がるのか、はたまた動くものを組み上げることができるのでしょうか?

 

新人プロフィール

 

名前:GR

出身:神奈川県

出身学科:機械システム工学科

趣味:自転車競技など

写真:大学が豪雪地帯にあり、学生時代に作った雪だるまです

 

 

 

アイディアからロボットに

今回製作するロボットは、「ホワイトボード・クリーニング・ロボット」です。現在では電子黒板など様々なものの電子化が進んでいるとはいえ、ダイレクトに図、文字を書き起こせるホワイトボードを重宝している方も多いのではないでしょうか。しかし、書いたものをいちいち消すのは面倒だったり、気づいた時に消してくれる人の人手不足などもあるかと思います。そこで活躍するのがこのロボットで、スイッチを入れるだけで自動でホワイトボードをお掃除してくれます。

ロボット動作イメージ

ロボットははじめ右下からスタートし、紫→緑→黄の矢印の順に進み、左上に到達したらお掃除完了です。

 

図1.お掃除のイメージ全体図

仕様書と製作条件

この研修ではロボットの方向性を決定し、実現に必要な要素を決めるために仕様書を必ず作成します。作成した仕様書は実際に作り始める前に社内で発表し先輩方にフィードバックを頂き、より完璧なものへと仕上げていきます。また、製作に当たり製作条件が与えられていて、以下の通りです。

 

製作条件とハードウェアの構想

①Texas Instruments社(以下TI社)製のマイコンMSP430を搭載した開発キットを使う

②C言語を用いてプログラムを作成する

③何かしらのセンサーを付ける

④LED、LCDなど、表示するものを付ける

⑤プログラムで何かしらの割り込みを使う

 

初めに①の条件でマイコンが決められているので、開発環境は推奨のTI社のCode Composer Studioを使いプログラムを製作していきます。サンプルプログラムも豊富でTI社のホームページからダウンロードできるので、ソフトウエアの部分の②、⑤はサンプルプログラムを参考に製作していけばクリアできそうです。

 

次にハードウェアの部分です。ホワイトボード・クリーニング・ロボットを実現するためには、

 

・ホワイトボード上を移動する

・ホワイトボード(垂直面)に張り付く

・姿勢制御する

・自分の位置を知る

 

という要素が必要だと考えました。条件③、④をクリアし、かつ上記の機能を実現するために必要なハードウェア(機構)は

 

・移動用の機構(タイヤとモーター)

・壁に貼り付ける吸引機構(吸引モーター)

・加速度センサー or ジャイロセンサー

・ロータリーエンコーダー + 赤外線センサー

・制御のデバックのためのセンサー値表示用LCD

・赤外線センサー動作確認用LED

 

と考えました。吸引機構用のブラシレスモーターとドライバー(コントローラー)は先輩のドローンから拝借いたしました。

しかし、予算の都合上小型のロータリーエンコーダーは高すぎるので、移動距離は測らず赤外線センサーのみでホワイトボードの端を読み取りロボットがどの位置に居るのか測ることにしました。ロボットを構成するアクチュエーターを以下にまとめます。

 

 

ロボットのハードウエア構成

図2.ハードウェア構成

 

そして、これらのハードウェアを組み合わせたロボットの完成イメージを以下に示します。

 

ロボット完成イメージ

図3.ロボット完成イメージ(上)

 

図4.ロボット完成イメージ(横)

 

ロボットの動作

このロボットがどのようにホワイトボードをお掃除するのかというと、吸引機構でホワイトボードに張り付き、先頭に付けたクリーナーを引きずるように動き掃除する予定です。大枠の動作は“ロボットの動作イメージ“の通り、ホワイトボードの右下から始まり上端で終了の流れです。どのように折り返すのかは、ロボットがまっすぐ進みホワイトボードの端までたどり着いたら、以下の動作イメージのように旋回し、折り返して掃除を継続します。これを繰り返し、ホワイトボードをお掃除します。

 

旋回の動作イメージ

図5.ロボット旋回のイメージ

 

おわりに

今回の配信ではロボットのアイディアから完成イメージまでの構想の段階でした。完成イメージは皆さんが予想した通りでしたか?いよいよ次回からは製作に入り、手を動かして作り始めていきます!果たしてロボットは完成するのか?製作期間残り5週間。ぜひ温かい目で見守っていただきたいです。