高効率、高静音性、高精度位置制御を実現する4つの新機能を搭載したステッピングモーター用ドライバーDRV8452/DRV8461/DRV8462

はじめに

これまでステッピングモーターは正確な位置制御が可能なメリットを生かし、様々なアプリケーションで使用されていますが、その一方で効率が悪い、回転時の振動音が大きいというデメリットがありました。

今回ご紹介をさせていただきますTexas Instruments社（以下、TI社）ステッピングモータードライバーDRV8452/61/62は、従来製品にはなかった4つの新機能を搭載し、メリットである位置制御の精度向上と効率、振動、回転音のデメリットを大幅に改善することが期待できる製品となっています。

※2023/1/30Update
DRV8461（ピーク電流3A/2.1Arms）が新たにリリースされましたので、内容を更新しております。（DRV8462の電流定格が低いラインアップです）

DRV8461についての記事はこちらをご確認ください。

 

DRV8452/DRV8461/DRV8462に搭載された４つの新機能について

効率を改善するAuto torque機能、静音性を高めるSilent Step decay modeやAutomatic microsteppingといった新機能を搭載し、これまで課題となっていた効率面（大きな損失）、回転時の振動音を改善し高効率かつ静かな回転を実現します。（※1）

特にAuto torque機能は回転時、停止時ともに損失を低減し、モーターの負荷トルクに合わせたトルク制御を行うため、モータードライバーはもとよりモーターでの損失も同時に抑制し、システム全体での高効率化が可能です。

トルク制御はセンサーレスで内部のPID制御により行われ、負荷トルクの変化に対する応答もユーザーで設定し合わせられるためステッピングモーターの最大の欠点ともいえる脱調をもケアできる可能性を秘めています。（※1）

※1：モーターの特性、使用条件に依存します。

新たに搭載された機能は以下の4つです。

１．Automatic Microstepping

最大256分解能のマイクロステップ自動補間機能　：　回転精度、静音性の向上

1/2ステップから1/256 Automatic Microsteppingへのシームレスな電流波形/p>

２．Custom Microstepping

モータートルク特性に合わせた電流プロファイルをカスタマイズ可能　：　回転精度の向上

３．Silent Step Decay Mode

低速回転域において電圧モード制御を採用し、理想的な正弦波電流駆動が可能　：　静音性向上

４．Auto-torque & Standstill Power Saving Mode

動的に負荷トルクに応じた電流制御を自動的に行い効率を改善　：　ICとモーター損失を低減（高効率化）

各機能の原理や設定条件まで解説した資料については以下URLよりダウンロードください。

4つの新機能を詳しく見る

出典：
DRV8462 -データシート -DRV8462 Stepper Motor Driver with Automatic Microstepping, Silent step Decay Mode and Auto-torque
https://www.ti.com/jp/lit/ds/symlink/drv8462.pdf

DRV8452/DRV8462との比較と互換性

TI製品の代表的なステッピングモータードライバーの既存製品との比較は以下表を参照ください。
一部ではありますがピン互換性を持っているパッケージオプションがあります。
（下記表のピン互換での同じアルファベットが相互にピン互換となっています。）

製品名	DRV8424		DRV8434		DRV8434S		DRV8461		DRV8452		DRV8462
電源電圧範囲[V]	4.5 – 33		4.5 – 48		4.5 – 48		4.5 – 65		4.5 – 48		4.5 – 60
フルスケール電流[A]	2.5		2.5		2.5		3		PWP / DDW 4  /  5		PWP / DDW 5   /  10
ピーク電流[A]	4		4		4		4.8		8		DDW / DDV 8   /   16
オン抵抗 [HS+LS@25℃]	330mΩ		330mΩ		330mΩ		300mΩ		100mΩ		100mΩ
制御ロジック	Indexer		Indexer		Indexer		Indexer		Indexer		Indexer
マイクロステップ	1/256		1/256		1/256		1/256		1/256		1/256
各種設定I/F	H/W		H/W		SPI		H/W or SPI		H/W or SPI		SPI
パッケージ	HTSSOP-28(PWP)	VQFN(RGE)	HTSSOP-28(PWP)	VQFN(RGE)	HTSSOP-28(PWP)	VQFN(RGE)	HTSSOP-28(PWP)	HTSSOP-44(DDW)	HTSSOP-28(PWP)	HTSSOP-44(DDW)	HTSSOP-44(DDW)	HTSSOP-44(DDV)
ピン互換	A	B	A	B	C	E	A(H/W)	D	A(H/W)	D	D	E
							C(SPI)		C(SPI)

 

評価環境について

評価環境につきましては、以下ご用意しております。

EVM名	概要（ハードウェア/GUI）
DRV84x2EVM

上記GUI画像はイメージとなります。

出典：
DRV8462EVM製品フォルダ  https://www.ti.com/tool/ja-jp/DRV8462EVM
DRV84x2_DRV82x2_DRV89x2-EVM Use’s Guide https://www.ti.com/jp/lit/ug/slou558/slou558.pdf

デバイスパッケージ情報

デバイスパッケージについては以下ご用意をしております。

デバイス名	オーダーコード	I/F	パッケージ	パッケージサイズ
DRV8452	DRV8452SPWPR	SPI	HTSSOP-28	WxD:9.7mmx4.4mm
	DRV8452PWPR	H/W
	DRV8452DDWR	SPI&H/W	HTSSOP-44	WxD:14mmx6.1mm DDW DDV
DRV8462	DRV8462DDVR	SPI&H/W
	DRV8462DDWR	SPI&H/W
DRV8461	DRV8461PWPR	H/W	HTSSOP-28	WxD:9.7mmx4.4mm
	DRV8461SPWPR	SPI
	DRV8461DDWR	SPI & H/W	HTSSOP-44	WxD:14mmx6.1mm

出典：
DRV8462 -データシート-DRV8462 Stepper Motor Driver with Automatic Microstepping, Silent step Decay Mode and Auto-torque
https://www.ti.com/jp/lit/ds/symlink/drv8462.pdf

まとめ

DRV8452/DRV8461/DRV8462は、新たに多くの付加価値を持った新機能を搭載した製品です。
これまでステッピングモーターで課題となっていた振動音や効率を大幅に改善し、回転精度の向上も見込める幅広いポテンシャルを持っております。

また、断言はできませんがこれまでセンサーを使用してFPGAやMCUのソフト処理で実現していた脱調レスシステムをセンサーレスで実現できる可能性もあります。

このような魅力的な機能を搭載したDRV8452/DRV8461/DRV8462をこの機会にぜひご検討いただけましたら幸いです。

製品のご用命、ご質問については以下URLよりお問い合わせの程お願いいたします。

4つの新機能を詳しく見る

お問い合わせはこちらへ