- 公開日:2022年11月28日
- | 更新日:2024年02月06日
サードパーティメモリー製品のメリットと製品信頼性について
- ライター:87
- メモリー
はじめに
近年、産業機器や組み込み機器においても保存するデータ容量の大容量化が進んでおり、SDメモリー・カード、SSDやe.MMCなどの採用が増えております。これらの大容量ストレージ装置は、容量あたりの価格優位性からNAND Flashを使用したものが一般的です。
NAND Flashは比較的安価に大容量を実現できるものの、耐久性に関しては注意を要する半導体メモリーとなります。
このような状況から、メモリーメーカー各社ではNAND Flashに対して、独自の試験・検査を実施してストレージ装置を製造しています。
本記事は、品質面で不安を感じ、サードパーティメモリーメーカーの導入に二の足を踏んでしまっている方に向けての内容になっております。
メモリーメーカーの種類やNAND Flash製品の特長についてご紹介した後に、サードパーティメモリーメーカーのメリットとピュアメーカー製品と品質に遜色がない点について解説いたします。さらに、弊社で取扱いのあるサードパーティメモリーメーカー(ADATA Technology社)のストレージ製品における部品選別方法の特長についてご理解いただけます。
みなさまが部品選定で迷わないためにもぜひご覧ください。
サードパーティメモリーメーカーとは
前項にてサードパーティメモリーメーカーという言葉で説明しておりますが、サードパーティメモリーメーカーがどのような位置づけなのかここで説明致します。例えば下記のようなSSDですが、主要部品として、Controller, NAND Flash, DRAMから構成されております。
図1. SSD 構成図
■サードパーティメモリーメーカー/ピュアメーカーについて
サードパーティメモリーメーカーは複数のメーカーからNAND Flash, DRAM, Controllerを仕入れていることからラインナップが豊富となっていること、少し遅れたテクノロジーを安価に提供できることが一般的な特色になります。
■サードパーティメモリーメーカーの一般的特色について
サードパーティメモリーメーカーは複数のメーカーからNAND Flash, DRAM, Controllerを仕入れていることからラインナップが豊富となっていることが一般的な特色になります。
また、コンセプトとして少し遅れたテクノロジーを安価に提供できることも一般的な特色になります。
図2. 相関図(ピュアメーカー/サードパーティメーカー)
NAND FlashおよびNAND Flash搭載品の特徴
Managed NAND品やSSDではNAND Flashが使われておりますが、部材の中で扱いが難しくサードパーティメモリー メーカーにて組み込む上で、潜在的に悪いNAND Flashを取り除いております。なぜ、悪いNAND Flashを取り除く必要があるのか説明いたします。
NAND Flashは、セルあたりの記憶密度の違いにより、以下の種類に大別することができます。
- SLC:セルあたり1bit分のprogram
- MLC:セルあたり2bit分のprogram
- TLC:セルあたり3bit分のprogram
- QLC:セルあたり4bit分のprogram
これらの違いにより、NAND Flashの耐久性に差異があります。
一方で、動作原理はどの種類でも同様となっており、以下にNAND Flash セルの動作原理を示します。
セルあたりのFloating Gate内電荷注入量の差で、NAND Flashのタイプが異なり、電荷注入量の差により各NAND Flashタイプにおいて劣化速度に差異があります。
図3. NAND Flash動作原理、セル構造について
このようなprogram/erase動作を実行する中で、潜在的に悪いNAND Flashはbit errorが発生しやすくなるためApplication環境や評価中においてBad Blockとして顕在化してしまいます。
従いまして、事前にスクリーニングを実施して潜在的に悪いNAND Flash内のBlockを取り除く必要がございます。
NAND Flash選別方法/スクリーニングについて
組み込み向けにNAND Flashを使用する上で、各社サードパーティメモリーメーカーではNAND Flashのスクリーニングを実施しております。組み込み用途で使用する上でどのようなスクリーニングを実施しているか一部ご紹介いたします。
サードパーティメモリーメーカーの中でも、NAND単品でスクリーニングを実施しているところは少ないと思われます。この記事では、NAND単品でスクリーニングを行っているADATA Technology社の方法を一部ご紹介いたします。
[有効Block数によるNANDスクリーニング]
NAND Flash実装前にNAND Flash単体としてスクリーニングを実施しており、基本的にNAND Flash単体(Chip) Molding後、全chipをスクリーニングしている。
閾値bitはNANDのECC訂正能力/歩留まりに依存して決定されております。
例になりますが、以下に示しました図4のようにECC閾値bitを設定し、選別した後有効Block率99.5%[I品](Minimum number of valid blocks per die)以上のみを組み込み用途向け使用しております。
図4. 有効Block数によるNANDの仕分け
[Weak Block(潜在的に悪いBlock)をどのように検知しているか?]
NAND内のpageにはECC冗長bitが付随しております。
その場合、閾値bit以下ECC error発生Pageを持つBlockはGood Blockとして紐づけ、閾値以上ECC error発生Pageを持つBlockはWeak Blockとして検出し、代替え処理され、Bad Block領域(ユーザー側では使用できない領域)へあらかじめ選別しております。
図5. ECC領域readによるerror bitの確認及び潜在的Bad Blockの処理
上記はスクリーニングの一部になりますが、サードパーティメモリーメーカーでは購入してきたNAND Flashに対してスクリーニングを実施し、信頼性を向上させております。
まとめ
本記事では、メモリーメーカーの種類、NAND Flash製品の信頼性に関してご紹介しました。さらに、弊社で取扱いのあるサードパーティメモリーメーカー(ADATA Technology社)のストレージ製品における部品選別方法の特長についてご紹介しました。本記事の要点としては以下3点になります。
- サードパーティメモリーメーカーの特色として複数メーカーから部品を購入しているため、ラインナップが豊富
- NAND Flashはその構造や特色から耐久性に関して注意を要する
- 信頼性に対する取り組みを理解した上でサードパーティメモリーメーカーを選択する必要がある
今回のスクリーニング方法の一部をご紹介した弊社取り扱いのあるサードパーティメモリーメーカー(ADATA Technology社)の、特徴や製品ラインナップ(推奨品リスト)をまとめた資料をダウンロードいただけます。
本記事および推奨品リストが部品選定いただく上でお役に立てていただければ幸いです。