• 公開日:2024年02月06日
  • | 更新日:2024年08月01日

メモリー DIMM製品 DRAM module ランクとは

はじめに

現代の自動車、医療、通信、産業などの分野で、組み込みシステムがますます普及しています。組み込みシステムでは、高速で大容量のメモリシステムが必要です。これにより、デバイスが高速で正確な処理を行い、リアルタイムでデータを処理・送信することができます。このため、現在では、品質、信頼性、エネルギー効率の向上に特化したDIMM技術が広く使用されています。

DIMMとは

DIMM(Dual Inline Memory Module)は、複数のDRAM(Dynamic Random Access Memory)単体を1つの基盤に実装したメモリデバイスの一種です。リアルタイム処理が必要な場合に特に適しています。DIMMには、64ビットのデータバス幅を持ち、高速なデータ転送が可能です。最新の組み込みシステムでは最も重要な構成要素の1つとなります。DIMMは、モバイル、クラウド、IoT、AI等の分野で必須となる高速かつ効率的なデータ転送を実現するために活用されます。

 

図1. DDR4 DIMM module例(Long DIMM/Short DIMM)

DIMMの種類について

DIMMはDRAMを複数搭載しているメモリーモジュールであり、DRAMの中にも様々な種類があります。DRAMの世代について図2に示しそれぞれの特徴について以下に示しました。

初代のDRAMのはシングルデータレートのSDRAMで電源電圧が3.3V、データ転送速度が166Mbpsその後ダブルデータレートのDDRが規格化され、およそ2倍の転送速度をもつDRAMが誕生します。

続いてDDR2、DDR3と誕生し、速度は2倍ずつ向上していきます。そして現在主流のものはDDR4で、電源電圧は1.2V、転送速度は3200Mbpsの仕様になっています。最近では、DDR5が規格化され、現在メモリベンダー各社からリリースされております。このようにDRAMは世代の発展を通し、データ転送速度の向上と低電圧化が進んでおります。

【通信規格種類について】

  • SDRAM(シンクロナスDRAM):同期式のDRAMで、高速処理に適しています。
  • RDRAM(ラムバスDRAM):Intel社のCPU向けに開発された、大容量処理に向いたDRAMです。
  • DDR-SDRAM(ダブルデータレートSDRAM):伝送帯域が倍増するため、データ処理速度が向上します。
  • DDR2-SDRAM:DDR-SDRAMよりも高速な処理が可能です。
  • DDR3-SDRAM:DDR-SDRAMやDDR2-SDRAMに比べ、消費電力を抑えつつ高速な処理が可能です。
  • DDR4-SDRAM:静電気対策に優れた構造になっており、大容量処理に向いています。
  • DDR5: 2020年代に主流のメモリ規格として普及しつつあります。現在、市場では多くのDDR5メモリ製品がリリースされており、今後、より多くの企業がDDR5メモリをサポートする予定。

図2. DRAM 世代について

フォームファクターについて

DIMMには、いくつかのフォームファクターがあります。以下に、一般的なDIMMフォームファクターを紹介します。

【UDIMM】 UDIMM(Unbuffered Dual Inline Memory Module)は、1つまたは複数のDRAMチップを1つのDIMMパッケージに統合したものです。UDIMMは、非ECC(誤り訂正機能を持たない)メモリで、一般的にPCやデスクトップ用のメモリとして使用されます。

【RDIMM】 RDIMM(Registered Dual Inline Memory Module)は、UDIMMとは対照的に、レジスタ回路が搭載されたメモリモジュールです。データ信号が安定し、より大容量のメモリモジュールを使用することができます。RDIMMは、サーバーおよびワークステーション向けの高信頼性/高性能メモリとして使用されます。

【LRDIMM】 LRDIMM(Load-Reduced Dual Inline Memory Module)は、REG DIMMと同様にレジスタ回路を搭載していますが、バッファチップが挿入されたメモリモジュールです。これにより、信号遅延を大幅に減少させ、大容量メモリシステムを統合したサーバーアプリケーションなどで使用されます。

【SO-DIMM】 SO-DIMM(Small Outline Dual Inline Memory Module)は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、組み込みシステムなどの小型デバイスに使用されるメモリモジュールです。SO-DIMMは、周波数帯域幅が低いため、データ転送速度は最大でも3.2 GB/s程度となります。

これらは、ビジネス向けPCから、高性能クラスタ、データセンタ、組み込みシステムに至るまで、あらゆるターゲット市場に適用されています。DRAMを搭載したモジュール製品であるDIMMがどのように通信しているか次項でご説明致します。

ランクについて

ランク(rank)とは、メモリチップを搭載しているDIMMのセクションで、それぞれを区別するために使用されます。

DIMMはアクセス単位が64bit、ECC付きのものであれば72bitになります。64bitのData信号単位をランクといいます。

図3. DIMM Data信号単位について

ランクは、シングルランク、ダブルランク、クアッドランクの3種類があります。シングルランクは、単一のランクが搭載されたDIMMです。

ダブルランクは、2つのランクが搭載されたDIMMで、ランクを同時にアクセスできるため、シングルランクよりも高速な処理が可能です。

クアッドランクは、4つのランクが搭載されたDIMMです。より高密度のメモリシステムを実現しより多くのデータ処理が可能です。

    

シングルランク                                  ダブルランク

図4. シングルランク、ダブルランク 比較

 

まとめ

今日では、組み込みシステムにおいて、メモリがますます高速化・大容量化しており、それに伴い、高速、信頼性、電力効率などを追い求めるDIMM技術が広く使用されています。これにより、組み込みシステムは、より効率的にデータを処理し、リアルタイムで高速で正確な処理を実現することができます。組み込みシステムを使用している際には、モバイル、クラウド、IoT、AI等の分野に適した品質や信頼性の高いDIMMを選択し、最高のパフォーマンスを発揮させることが重要です。高品質なDIMMを使用することにより、顧客の使用要件を満たすことができます。

DIMM製品のアプリケーション例を解説した資料もダウンロードいただけます。監視カメラへDIMM製品を導入する際の活用例をご紹介してますのでご興味のある方は是非ご確認ください。

資料ダウンロードはこちら

お問い合わせは以下よりお願いいたします。

お問い合わせはこちら