• 公開日:2024年06月28日
  • | 更新日:2024年07月22日

USB-PD Sink基板、By Passモード活用で部品点数を削減

  • ライター:Nagai Taichi

 

製品概要

『R9A02G011』搭載のUSB-PD Sink(JP214)はUSB-PD 3.0(100W)に対応したボードです。電源アダプタはSource、製品本体側はSinkですので、このボードは製品本体に組み込むことを前提につくられています。
USBでは2A以上の電流を流す製品は、規格に適合していないと危険なため、ハンドシェイクに失敗したら安全措置をとる必要があります。ルネサスUSB-PD ICはマイコン内蔵により自由度が高い反面、顧客様はソフトを組まなくてはなりません。USB-PD Sink(JP214)は単なるデモ機ではなく、USB-PDの認証を取ることを前提として設計されており、ソフトを書き変えなくても設定できる様な工夫がされています。

 

検証実験した背景

USB PD Controller『R9A02G011』は通常の使い方以外に、ACアダプタからの出力をそのまま使う、By Passモードに対応しています。今回は『USB-PD Sink (JP214)』基板を使って、部品点数を削減するための考察をしたいと思います。
本ボードは電圧/電流のテーブルに合わせてロータリSWを設定すれば、ソフトを変更することもなく、出力設定ができます。
このボードで嬉しいのは、By Passモードに対応していること。コストダウンを図ろうと思うと、ボードの出力側にPower MOSが4個載っており、I2Cに対応したBack-BoostのDC-DC搭載されている。電源アダプタをBy Passモードに対応する製品を選定しなければならないが、By Passモードにすれば、シンプルなDC-DCに変更可能になります。そして、H Bridgeの4個と、回路図の中央にあるMOSを2個省ける。残念ながら、その上にある2個のMOSは省けない。これはUSB-PD規格が起動時の負荷容量を規定しており、実際に大きな容量が付くとハンドシェイクの通信に失敗する可能性が出てくるためです。
また、By PassモードにするとUSB PD controllerとDC-DC間のI2C通信がなくなる。後はDC Outから出てきた電源を
抵抗内蔵のBack DC-DCにすればコストダウンを図れるだろう。例えばISL85003(35W:18V-3A)やRAA211250 (100W:30V-5A…入力にかかる電圧は20V)といったポピュラーなDC-DCとの組み合わせが可能になる。

 

検証実験の手順

付属していた電源アダプタの最大は20V-3.25Aなので、ボードで設定できるのは20V-3Aの60Wが最大となる。
電源アダプタに合わせてDC-DCを選定するならRAA211230(24V-3A)も選択肢の1つです。
今回はDip SWでBy Passモードにするわけですが、ONにするとPull-Down抵抗に接続されるため、もし実際の配線に落とし込む場合は注意が必要です。

検証実験の結果

20V-3Aが出せる様、ロータリSWを設定したとき、20Vを出力している事と、ボード上のISL95338は動いていない事を確認できた。
また、20V-3Aに対応していないUSB電源アダプタを使用した場合、ボードは安全のため停止した。

 

実現する製品はこちら

RunesasリファレンスボードでBy Passモードの回路を採用したボードは、最新のRZボードで見ることが出来ます。R9A02G011と一般的なBack DC-DCの組み合わせになっているのが該当します。

【マクニカ ルネサスページはこちら】