- 公開日:2024年08月30日
- | 更新日:2024年09月02日
RH850/U2A CANゲートウェイ機能のスループットを計測してみた
- ライター:Takahiro Ono
- マイコン
製品概要
H850/U2Aシリーズはルネサスエレクトロニクス社の車載用マイコンRH850ファミリの最新製品です。自動車のE/Eアーキテクチャの変化に対応し、自動車に搭載される複数の機能を統合したユニット向けの製品です。
RH850/U2Aシリーズは9つの製品から構成されています。400MHzで動作可能なCPUコアを2~4個搭載し、コードフラッシュメモリは6MB~16MB、パッケージは、144pinQFP~516pinBGAまでを揃えています。自動車アプリケーションに必要なASIL-Dレベルの機能安全対応を想定したハードウェアを内蔵し、EVITA Fullに対応したセキュリティ機能を搭載しています。
RH850搭載のCANコントローラの機能
RH850ファミリの製品にはCANコントローラが内蔵されています。マイコン外部のCANトランシーバICを経由して車両内のCANバスに接続されます。新製品のRH850/U2AにはCAN FDにも対応したCANコントローラが内蔵されています。このCANコントローラは従来からのCANであるクラシカルCANにも対応しています。また、ゲートウェイ機能も持っており、CAN ->CAN FD、 CAN FD ->CANのゲートウェイも可能です。
検証実験した背景
自動車分野では車両内LANとしてCAN(Controller Area Network)が広く使用されています。また、1台の自動車の中に複数のCANバスがあり、それらの間でメッセージをやりとりするゲートウェイ機能も必要とされています。
今回、お客様からの問い合わせをきっかけに、ルネサスの車載用マイコンRH850に搭載されているCANコントローラのGateway機能のスループットの測定を行いました。
検証実験の手順
準備
・使用ボード ルネサスエレクトロニクス社製の評価ボードを使用しました。
Main board(Y-RH850-X1X-MB-T2-V1)
Piggiy board(Y-RH850-U2A-144PIN-PB-T1-V1)
Pggiy boardをMain boardに載せて使用しました。
・CANケーブル ツイストペア線を自作しました。
・エミュレータ ルネサスエレクトロニクス社製のE2エミュレータを使用しました。
・IDE ルネサスエレクトロニクス社製の統合開発環境 CS+を使用しました。
・使用プログラム
ルネサスエレクトロニクス社のRH850/U2AのWEBページに掲載されている以下のアプリケーションノートを参考にしました。
– RH850/U2A-EVA Group Startupアプリケーションノート
– RH850/U2A EVA Group CANコンフィグレーション(CAN FDモード)
– RH850/U2A-EVA Group CAN 送信手順(CAN FD モード)
– RH850/U2A-EVA Group ゲートウェイ手順 (CAN FD モード)
これらのアプリケーションノートはサンプルコードもダウンロードでるようになっています。StartupのサンプルコードにCS+のプロジェクトが入っているのでそれをベースとしました。CAN送信のプログラムはCANのサンプルコードからStartupのプロジェクトにコピーして使用しました。サンプルコードはそのままでは動作せず、プログラムについて以下の設定を行いました。
– 使用するCPUコアの指定
– セクション設定の変更
– 割り込みベクタテーブルの設定
– クロックの設定
– 波形測定時のマーカ用ポート出力の設定
– オプションバイトの設定
– CANコントローラのストップモードを解除
これらの設定にはルネサスのWEBページにある以下のドキュメントも参考にしました。
– スマート・コンフィグレータ RH850/U2A 用サンプル・プロジェクト使用ガイド
– RH850/U2A-EVA Group スタートアップガイド(OPBT)
以下にプログラムの仕様を示します。
– CAN送信プログラム
標準フォーマット、1Mbps、ペイロード:8バイト
– CAN FD送信プログラム
標準フォーマット、4Mbps、ペイロード:64バイト
– ゲートウェイプログラム
CAN0にてメッセージ(ID:0x222(標準ID)を受信した場合、CAN1から送信(送受信FIFOバッファを使用)
測定方法
一方の評価ボードからCANメッセージを送信し、もう一方の評価ボードでメッセージを受信します。受信したメッセージが、CANコントローラのゲートウェイ機能により送信されるまでの時間を測定します。MCUのCAN端子で測定を行いました。
検証実験の結果
ゲートウェイモード | スループット |
CAN -> CAN | 9.6us |
CAN FD -> CAN FD | 11.0us |
CAN -> CAN FD | 9. 6us |
実現する製品はこちら
・車載用マイコンRH850ファミリ RH850/U2Aシリーズ
・RH850評価ボード
– Main board(Y-RH850-X1X-MB-T2-V1)
– Pggiy board(Y-RH850-U2A-144PIN-PB-T1-V1)
・エミュレータ
– E2エミュレータ
・統合開発環境
– CS+
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