• 公開日:2024年11月29日
  • | 更新日:2024年12月24日

Li-ION電池の使い方 -安全に放電するための追加回路-

Li-ION電池の電解液の引火点は 40℃程度であり、消防法令では第4類第二石油類に該当します。

近年ではセパレータ等を工夫する事で、燃えにくい電池が開発されていますが、固体電池でもない限り、

完全放電してしまうと電解液の中に溶けていたLiが析出し、これがショートして発火する危険があります。

保護回路入りのLi-ION電池を購入するのがベストですが、それでも保護回路を過信して、電流

遮断域まで使うのは危険が伴います。

例えば、終止電圧3.0Vに規定されていても、グラフを見ると余裕をもって放電を止めないと、マイコンの

データ退避などで、あっという間に過放電禁止の2.7Vにまで落ちてしまいます。

2次電池を使うときは、まず電池の特性図を入手して「放電特性」を確認しなければなりません。

 

具体的な回路構成として、ある程度まで電圧が下がったところで、DC-DCのENピンで止めるか、

マイコンのディープ・スリープモードを使うのがお薦めです。

ADCで電圧監視しても良いですが、電池監視にマイコンのリソースを振り分けるには

もったいないので、例えばコンパレータと基準電圧源を使い、マイコンに割り込みを掛け

る方が良いでしょう。

SLG46857(GrennPAK)には4個のコンパレータと基準電圧源を内蔵しており、

専用のCADツール「GoConfig」を使って、Vrefの値も編集できます。さらに、ヒステリシスも

設定できます。

例えば、3.8Vで電池半分の警告、3.6Vで電圧低下警告。3.5Vでシャットダウン

といった形で使い分けが可能です。

SLG46857の最小動作電圧は2.5Vですので、電池保護ICのシャットダウン電圧が

これより高ければ問題ありません。もし、このシャットダウン電圧が2.5Vよりも小さい

場合はシャットダウン用にCMOSリセットICを追加する必要があります。図で表すと

コンパレータCP3とそのVrefをリセットICで置き換えます。

 

シャットダウンは電源ICのENピンでディスエーブルにするのがお薦めです。

RAA236100はIsh=22nA(Typ)とシャットダウン時の電流を小さく抑えられます。もし、

充電で電源ICに5Vを超える電圧をかける可能性があるなら、Ishは大きくなりますがRAA211403、

Ish=100nA(Typ)も選択肢の1つです。

またLDOを使いたいのであればRAA2144034GP3(パッケージ:TSOT-23)はEN端子があり、

シャットダウンした時はIshdn=248nA(Typ)となっています。

なお、これは電池に保護回路が入っている場合の補助回路ですので、もし保護回路無しの

電池を使う場合は、電池保護ICやFGICとの併用をしてください。

 

ルネサス製品をお探しの方は、メーカーページもぜひご覧ください。

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