• 公開日:2024年12月08日
  • | 更新日:2024年12月26日

ローサイド電流検出回路のオペアンプ使用法について_その1

民生、産機、車載など多様な分野で電流検出が実施されます。その方法についても多様化しており、代表的な方式として
以下のモノが挙げられます。

メリット デメリット
磁気式コアレス電流センサ (磁気式コア有り方式に対して、)
省サイズ化可能
機構設計が複雑になるケース有
磁気式コア有り電流センサ 低発熱 (コアが大きい為、)サイズが大きい。
磁気コア自体の特性も加味する必要有。
シャント形式 実装がしやすい。
微小電流の検出可能。
・シャント抵抗に電流を流すため、 発熱が発生するし、発熱による抵抗値変動についても考慮する必要有。
・最低電位が浮いてしまうので、考慮する必要有。

その中で最も一般的な「シャント形式」を使用する「ローサイド電流検出回路」について取り上げます。
ローサイド電流検出回路ではその多くにオペアンプが使用されます。今回は電流検出回路を構成する際にどのような点に
注意して、オペアンプを使用すれば良いのかについてオペアンプの特性を交えて紹介していきます。

そもそもローサイド電流検出回路とは?

そもそも、ローサイド電流検出回路とは、負荷の電流をグランド側(負荷とグランドの間)で検出する回路です。代表的な
回路としては、おおよそ「差動増幅回路形式」と「非反転増幅回路形式」の2つが挙げられます。今回はこの2つの回路の
違いについて、紹介します。

 

差動増幅回路形式

まずは、図1で挙げた差動増幅回路のシャント抵抗をRSHUNTオペアンプ周辺回路の抵抗をR1~R4負荷電流をILOAD
と定義します。まず、負荷から流れる負荷電流ILOADがシャント抵抗RSHUNTに流れる事により発生する電圧VSHUNTは以下のようになります。

 

このシャント抵抗間に発生した電圧VSHUNTを図3の回路で増幅されると以下のようにオペアンプの出力VOUTは以下のようになります。

(*)R1=R3,R2=R4とした場合
・・・式①   となる。
また、図4に示すようにR1を介してオペアンプの非反転入力端子(+入力)からシャント抵抗上部に接続される電圧
をVIN+、R3を介してオペアンプの反転入力端子(‐入力)からシャント抵抗下部に接続される電圧をVIN-とすると
VSHUNT=VIN+―VIN-となり、式①は以下のようになります。

■差動増幅回路のメリット

後述の非反転増幅回路がシャント抵抗上部VIN+と最低電位間の電圧を増幅するのに対して、VIN+とVIN-シャント抵抗間の電圧を増幅可能です。
その為、「大電流が流れる」などで最低電位GNDの電位が揺れた場合についても正確な増幅が可能です。

 

■差動増幅回路のデメリット

後述の非反転増幅回路に対して、利得設定用抵抗(図3ではR1,R2,R3,R4)が4つと多く、抵抗の精度や組み合わせ(マッチング)によっては、所望の利得が得られない可能性があります。
(*)上記の式1についてもR1=R3,R2=R4が前提となります。

非反転増幅回路形式

まずは、図2で挙げた非反転増幅回路のシャント抵抗をRSHUNTオペアンプ周辺回路の抵抗をR1~R2負荷電流をILOAD
と定義します。まず、負荷から流れる負荷電流ILOADがシャント抵抗RSHUNTに流れる事により発生する電圧VSHUNTは以下のようになります。

 

 

差動増幅回路同様、シャント抵抗間に発生した電圧VSHUNTを図6の回路で増幅されると
オペアンプの出力VOUTは以下のようになります。
・・・式②   となる。
また、図5にも示すように非反転増幅回路では非反転入力端子(+入力)と最低電位(今回Vと定義)間の電圧を増幅します。
その為、VSHUNTはVSHUNT=VIN+―Vとなり、式②は以下のようになります。

 

■非反転増幅回路のメリット

利得設定用抵抗(図3ではR1,R2)が2つと差動増幅回路に対して、少ない部品で電流検出信号の増幅が可能です。

 

■非反転増幅回路のデメリット

増幅される電圧(図4でいうとVSHUNT)が、差動増幅回路と異なり、シャント抵抗RSHUNT間の電圧ではなく、非反転入力端子(+入力)と最低電位V間の電圧となります。その為、最低電位が大きく変動すると電流検出結果に誤差が生じる可能性があります。

 

 

まとめ

次回より想定される電流信号ごとに要求されるオペアンプの特性について、紹介をしていきます。

ルネサスエレクトロニクス社では、高精度、低消費、高速など用途に合わせた
様々なオペアンプラインアップを提供しております。ぜひ、オペアンプを始めとする
アナログ回路全般で困り事がありましたら、是非弊社へお声がけ下さい。

 

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