- 公開日:2025年03月03日
- | 更新日:2025年03月07日
ルネサス社 センサーシグナルコンディショナーとは
- ライター:Takuya Shono
- センサー
製品概要
・ルネサス社のSSCは最大24ビットの高分解能出力を提供し、センサーのオフセット、感度、温度ドリフト、非直線性などを高精度に補正します。
・抵抗性センサーや圧力センサーなど、多様なセンサーに対応し、産業・車載・コンシューマ向けなど多くのアプリケーションに適しています。
・アナログおよびデジタル出力に対応しており、さまざまなシステムに統合が可能です。
・高度なソフトウェアと評価ツールにより、システム全体のコスト削減と製品の市場投入までの時間を短縮できます。
・過酷な環境下でも動作するように設計されており、ESD保護機能も備えています。
⇒本記事ではセンサーシグナルコンディショナーの仕組みや概要について解説します。
センサーシグナルコンディショナー(SSC)とは
SSCは、センサーからの信号を処理し、正確で信頼性の高いデータを提供するためのデバイスです。
ルネサス社のSSCは、独自の補正アルゴリズムを使用しており、高精度、高信頼性、幅広いセンサー対応といった特徴を持ち、他社製品と比べて優れた性能を発揮します。
SSCの仕組み
まず、SSCは下図のような構成となります。抵抗型センサーからの出力はセンサー素子や抵抗成分のばらつきによって理想的なリニアリティを出力することはなく、非線形の出力を示します。しかし、非線形の出力のままでは後段のシステムでは使用できません。そのため、センサー毎の出力ばらつきを吸収して出力を補正する機能が必要になります。その機能を担うのがSSCです。
SSCはセンサー素子やサーモパイルと組み合わせて使用します。ルネサス社のSSCではセンサー素子からの入力が2次関数でも3次関数でも対応可能な製品があります。また、SSCの出力に関してもアナログ出力、デジタル出力に対応した製品を用意しております。
構成についてさらに詳しく見て行きましょう。下図のようにセンサー素子はブリッジ接続となります。例で記載したようなホイートストンブリッジタイプが挙げられます。測定量は差動で出力されるため、リップルの影響やドリフトを低減することが可能です。そのため、電力供給やブリッジ信号ライン上でのノイズ耐性に優れています。また、センサー素子との電圧を共通化することで差分を排除します。
SSC内部構成はアナログフロント部とデジタル部に分かれます。
アナログフロント部ではセンサー素子からの出力に基づいて粗調を行い、デジタル部では線形変換するための微調を行います。ルネサス社のSSC製品の特長として、補正を独自のアルゴリズムで行います。ルネサス社のSSCはリニアリティ誤差が出ないような独自の補正アルゴリズムで非線形2乗誤差を最小にしています。ユーザはセンサー素子のスペック(スパン・オフセット・入力電圧)を設定することで補正を適用ことが可能です。ROMには補正式が格納されており、個別センサーのパラメータを設定することでDSPによる補正演算を可能にします。
下図にセンサ―素子の出力から線形出力までのおおまかな処理を示しています。センサーからの生値は2次関数や3次関数的な変化を示します(①)。信号量も微小であることが多いため、アンプを使用して増幅を行います(②)。信号を増幅したらゼロ点を合わせるためにオフセット補正をかけます(③)。さらにオフセット補正後の出力に対して、パラメータ情報を反映した補正式を適用することで(④)リニアリティを確保した線形出力を得ることができます(⑤)。
適用事例
・サーモパイル、サーモスタット、圧力センサー
・光電素子や温湿度センサー、CO2センサー
・血圧測定器、パルスオキシメータ
上記記載例を含む産業・民生・車載系のセンシング分野に活用範囲が広がっています。
実現する製品はこちら
ルネサス社SSC紹介ページ
Sensor Signal Conditioners (SSC/AFE) | Renesas
SSC EVALUATION KIT(一例)
ZSSC3241KIT – Evaluation Kit for ZSSC3241 | Renesas
まとめ
・ルネサス社のSSCは、センサー毎の出力ばらつきを吸収して出力を線形に補正する機能を提供します。
・最大24ビットの高分解能出力を提供し、センサーのオフセットや温度ドリフトをデジタル的に補正します。
・抵抗性、容量性、圧力センサーなど、さまざまなセンサーに対応しています。
・高度なソフトウェアと評価ツールにより、システム全体のコスト削減と製品の市場投入までの時間を短縮できます。
・アナログおよびデジタル出力に対応しており、さまざまなシステムに統合可能です。
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