• 公開日:2025年03月26日
  • | 更新日:2025年04月01日

次世代IoT通信規格「Matter」について

Matterとは

スマートホームの市場が広がるにつれ、さまざまなメーカーやプラットフォームが独自の通信規格を採用してきました。

その結果、製品ごとに互換性がなかったり、操作アプリがバラバラだったりと、ユーザーにとって使いづらい状況が続いていました。

こうした課題を解決するために登場したのが「Matter」という新しい通信規格です。

Matterは、異なるブランドやプラットフォームのスマートデバイスがスムーズに連携できるように設計された、共通の通信ルールです。

つまり、メーカーの違いに左右されず、同じように動作し、操作できる仕組みを提供してくれます。

既存プロトコルとの違い

これまではZigbeeやZ-Waveなどが使われてきましたが、どちらも互換性に限界がありました。

Matterは、これらの問題を解決するために開発されたオープンソースの標準規格です。以下のような特徴があります。

項目 従来プロトコル(例:Zigbee、Z-Wave) Matter
通信方式 独自の無線方式やゲートウェイが必要 IPベース(Wi-Fi、Thread、Ethernet対応)
開発元 特定企業や限られた標準団体 CSAと多数の大手テック企業
互換性 メーカーやプロトコル制限あり クロスプラットフォームで高い互換性
オープン性 一部クローズド オープンソース(GitHub公開)

Matterの特徴

Matterの大きな特長の一つは、「IPベース」である点です。

つまり、インターネットや家庭内ネットワークでも広く使われているTCP/IPに対応しているため、特別なゲートウェイが不要で、既存のWi-FiルーターやLANに直接つなげることが可能です。これは導入のハードルを大きく下げる要素となっています。

 

Matterが解決する課題

1.異なるデバイス間の連携のしやすさ

これまでのスマートホームでは、「このデバイスはAlexaだけ対応」「この機器はHomeKitでは使えない」といった制限が多く存在していました。

Matterはこうした分断をなくし、1つの規格でさまざまなエコシステムに対応できるようになっています。

具体例:

  • Matter対応のスマートロックなら、iPhoneでもAndroidでも、SiriでもAlexaでも操作可能。
  • 家族が異なるスマートアシスタントを使っていても、同じデバイスを共有して使える。

2.ユーザー体験の統一と向上

これまでは、デバイスごとに異なるアプリやセットアップ方法が必要でしたが、Matterでは設定方法が統一されており、QRコードをスキャンするだけでセットアップ可能です。

AppleやGoogleのスマートホームアプリもMatterに対応しているため、既に使い慣れたアプリから簡単に操作できます。

これにより、以下のようなメリットが生まれます:

  • 開発やテストの負担が減らせる
  • 保守・運用がやすくなる
  • 製品化までの期間が短縮

Matter認証

Matter対応製品を市場に出すには、まずMatter認証の取得が必要になります。

Matter対応製品

Renesas(ルネサス)社は、低消費電力Wi-FiとBLEの両方をサポートする「DA16600MOD」モジュールを、Matter対応製品としてリリースしました。

このモジュールは、長時間のバッテリ駆動を実現しながら、スマートホーム機器に求められる低消費電力性能を両立しているのが特長です。

さらにRenesasは、今後発売される関連製品すべてにおいてMatter対応を標準化する方針を明らかにしており、エコシステム全体での互換性と拡張性に貢献しています。

おわりに

Matterに関する詳細な情報は、Renesasの公式ウェブサイトにてご確認いただけますので、ぜひチェックしてみてください。