• 公開日:2025年03月31日

ルネサス低消費マイコンの機能紹介

低消費マイコンの需要

昨今マイコンを始めとしたデジタル製品において消費電流の削減等省エネに対する対応が注目されております。背景としては、IoT化の普及によりバッテリー駆動のアプリケーションにもマイコンが搭載されるケースが多くなり、マイコンの低消費電力性能がバッテリーの長持ちに直結すること、エネルギー効率や環境への影響に対する関心が高まっており、低消費電力のデバイスを求められていること等が挙げられます。

これにより低消費マイコンの開発と利用が進んでおり、今後もこの傾向は強まることが予想されます。ルネサス社を始め最近のマイコンにも低消費で動作する機能が搭載されておりますが、機能が多岐に渡り違いが明確に分からない方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。ここではルネサスの低消費電力モードと機能に関してご紹介致します。

 

ルネサスマイコンの低消費電力モード

ルネサスのマイコンでは以下のように多くの低消費電力モードがサポートされております。例えばディープソフトウェアスタンバイモードは最も電力削減率が高いですが、スリープからの復帰も時間がかかるため、頻繁にスリープから復帰するアプリケーションには不向きとなります。このように一概に電力削減率の低いモードを多用することがシステムの消費電力削減に繋がるとは限りません。システムに応じて適切なモードを選択する必要がございます。

 

低消費電力モードでどの周辺機能が動作するかは、各デバイスのユーザーズマニュアルをご覧ください。

尚、スヌーズモードはソフトウェアスタンバイ時に一次的に周辺機能の動作が再開する状態です。次の章ではスヌーズモードを用いて間欠動作をするシーケンスに関して紹介します。

 

 スヌーズモード活用例

RX260でのスヌーズモードでのA/D変換の例を示します。まず、ソフトウェアスタンバイモードにて、タイマカウンタのコンペアマッチレジスタを参照し、イベントリンクコントローラ経由でA/D変換を開始します。A/D変換中はスヌーズモードで動作し、A/D変換終了後、スヌーズ解除割り込みでCPUを起動させ、通常動作を致します。

これにより、常時CPUを稼働させる場合に比べ、低消費でA/D変換をすることが可能になります。尚、イベントリンクコントローラはCPUを介さずにイベント間をリンクさせる機能となります。次章で概要を説明致します。

イベントリンクコントローラについて

イベントリンクコントローラは、各周辺機能が出力するイベントを周辺機能間でダイレクトに接続する機能です。CPU を介さずダイレクトに周辺機能間で連携動作するため、イベント発生時周辺機能の高速起動が可能です。

また、スタンバイ状態でも周辺機能へリンクできるので、スタンバイ状態でイベント発生時、CPU を起動させることなく周辺機能を起動し低消費電力化を実現できます。ルネサスのマイコンには汎用的に対応している入力イベントと出力の周辺機能はデバイスによって異なるため、各デバイスのユーザーズマニュアルをご参照ください。

 

スヌーズモードシーケンサについて

スヌーズモードシーケンサとは、RL78/G2xシリーズに新たに搭載された機能で、周辺機能の制御を中心に予め登録された処理をCPUを起こさずに順次実行する機能です。スヌーズモードシーケンサ は CPU がスタンバイ状態であっても動作可能です。

またスヌーズモードシーケンサはCPUよりも動作電流が小さいため、CPU の代わりに処理を実行させることでシステムの低消費電力化を実現できます。前章で紹介した通常のスヌーズモードだとアナログ設定やポート設定、閾値変更やUARTの送信はCPUを起こす必要があります。

一方でスヌーズモードシーケンサはCPUを起こさず処理が可能のため、より低消費で処理を実行することが可能です。

まとめ

この記事ではルネサスRXマイコンの低消費電力モードと、アプリケーションでの適用としてADCをスヌーズモードで動作させる例、イベントリンクコントローラに関して説明しました。本記事を参考にシステムの低消費化を検討してみてください。