• 公開日:2025年09月30日
  • | 更新日:2025年10月01日

【車載マイコン】搭載される基本的な周辺機能を紹介

車の制御に欠かせない車載マイコン(MCU: Microcontroller Unit)、その中心的な役割を担うのが今回紹介する周辺機能です。
周辺機能は、マイコンが外部のセンサーやアクチュエーターと情報をやり取りし、様々なタスクをこなすための、いわば「手足」のようなものです。

この記事では、初めて車載マイコンに触れる方に向けて、特に重要で基本的な4つの周辺機能である「端子機能」、「タイマ」、「A/D変換器」、「割り込み」について、わかりやすく解説します。

 

端子機能 (I/Oポート)

端子とは、マイコンと外部の電子部品をつなぐ物理的な接点であり、I/Oポートとも呼ばれます。
I/Oは「Input(入力)」と「Output(出力)」の略で、文字通り、情報をマイコンに入力したり、マイコンから出力したりする役割を担っています。

最も基本的な使い方は、スイッチの状態を読み取ったり(入力)、LEDを点灯させたり(出力)することです。
例えば、車のドアが開いているかどうかを検知するセンサーはマイコンの入力端子に接続され、車内に照明をつけるLEDは出力端子に接続されます。これらは、マイコンが車の状況を把握し、それに応じて動作するための基本的な仕組みです。

より詳しく知りたい方はこちら
Renesas Engineer School<GPIO>

タイマ (Timer)

タイマは、マイコンにとっての時計です。
一定の時間を計測し、プログラマが設定した時間に到達したらCPUに割り込みを要求したり、端子の出力を変更したり出来ます。
また、外部からイベントを入力することで、イベントの周期、発生時間、パルスの数を計測する機能もあります。

例えば、車のワイパーの動作を考えてみましょう。ワイパーは、常に動くわけではなく、一定の間隔で動作します。
この「一定の間隔」を制御するのがタイマです。

タイマ機能には、以下のような種類があります。

インターバルタイマ
一定の時間間隔で特定のタスクを実行するための機能です。ワイパーのような定期的な動作に利用されます。

PWM (Pulse Width Modulation)
パルス(onとoffを繰り返す信号)の幅を制御することで、モーターの回転速度やLEDの明るさを滑らかに調整する機能です。電気自動車のモーター制御など、幅広い用途で使われます。

より詳しく知りたい方はこちら
Renesas Engineer School<タイマ>

A/D変換器 (Analog-to-Digital Converter)

世の中には、連続的に変化するアナログ信号と、0と1で表現されるデジタル信号があります。
マイコンはデジタル信号しか理解出来ません。しかし、車の温度センサーや燃料残量計など、多くのセンサーはアナログ信号を出力します。

そこで活躍するのがA/D変換器です。A/D変換器は、アナログ信号をマイコンが理解できるデジタル信号に変換する役割を担います。
例えば、温度センサーから出力される電圧(アナログ信号)を、マイコンが処理できる数値(デジタル信号)に変換することで、車内温度を正確に計測出来ます。

割り込み (Interrupt)

割り込みは、マイコンが現在実行しているタスクを一時的に中断し、より重要で緊急な別のタスクを優先して実行するための仕組みです。
例えるなら、スマホゲームをしている時に電話が掛かってくると通話画面に切り替わり、通話が終えたらゲーム画面に戻ってくるようなものです。

この動きをマイコンの世界に置き換えると、メイン処理実行中に外部からの要因が発生(タイマが時間を通知)すると、メイン処理が中断され、割り込み処理が言葉通り割り込んで実行されます。割り込み処理が終了するとメイン処理に戻り処理を再開します。

割り込みとよく似たものにポーリングがあります。
どちらもコンピュータが外部のデバイスやイベントからの要求を処理するための手法ですが、その仕組みは大きく異なります。

車載マイコンでは、以下のような状況で割り込みが使われます。

  • 緊急性の高いイベント:エアバッグ展開の信号や、エンジンの異常検知など、即座に対応が必要な状況。
  • 定期的なイベント:タイマによって一定時間ごとに発生するイベント。
  • 外部からの信号:例えば、ドライバーがライトのスイッチを押した際、その信号を検知してライトを点灯させるなど。

割り込み機能があることで、マイコンは常にすべての状況を監視する必要がなくなり、効率的にタスクを処理できるようになります。

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Renesas Engineer School<割り込み>

まとめ

これらの周辺機能は、車の安全で快適な走行を実現するために不可欠な要素です。
様々な機能が複雑に連携し、まるで生き物のように車を動かしています。
まずは、これらの基本的な役割を理解することから始めてみましょう。

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