• 公開日:2025年08月18日
  • | 更新日:2025年09月29日

アナログエンジニアがマイコンを触ってみた 第2回 Lチカ編

アナログエンジニアがマイコンを触ってみた 第2回 Lチカ編

アナログ回路設計者である私達が、ひょんなことからルネサス製RXマイコンを使ってみることに。普段見慣れたデータシートとは違う、分厚いユーザーズマニュアル。聞いたことのない専門用語の数々。正直、どこから手をつけていいか分かりませんでした。今回のシリーズは、同じようにマイコンの第一歩を踏み出すアナログエンジニアへの、ささやかな道しるべとなれば幸いです。

2回目となる今回は、ハードウェアの初期設定を簡単にする機能「スマートコンフィグレータ」を使い、電子工作の初めの一歩である「Lチカ」(LEDを点滅させる動作)をMCUで実現します。

(*)前回の記事はこちら
アナログエンジニアがマイコンを触ってみた 第1回 導入編

スマートコンフィグレータについて(端子設定)

まずは「スマートコンフィグレータ」を使用して、I/Oポート設定していきます。

1. プロジェクトのフォルダを開いて「○○○.scfg」と書かれたファイルを開きます。今回は「Jikken」フォルダを開き、「jikken.scfg」を開きます。

2. ファイルを開くと以下の画面が表示されますので、画面下側赤枠の「端子」タブをクリックします。

3. 「端子」タブをクリックすると以下画面が出てきますので、「I/Oポート」をクリックします。

4. 「I/Oポート」をクリックすると以下の画面が出てきますので、任意のPINを選択します。今回は「P40」を選択します。

5. 鉛筆マークをクリックするとプルダウンリストが表示されますので今回は「P40/AN000」をクリックします。

6. 以下の画像のように自動的に端子番号「95」の割り当てと入出力の方向「I/O」の割り当てが行われます。

スマートコンフィグレータについて(コンポーネント設定)

先ほどの工程で端子の設定は完了しましたので、ここではLEDを光らせるため、「P40」が「出力」であることをMCUに認識させます。

1. 「スマートコンフィグレータ」の「コンポーネント」タブをクリックします。

2. 以下の画面が表示されますので「+」をクリックします。

3. 以下の画面が表示されますので、「ポート」を選択します。

4. 以下の画面が表示されますので、「終了」をクリックします。

5. 以下の画面が表示されますので、「PORT4」を選択し、「PORT4」のタブをクリックします。

6. 以下の画面が表示されますので、「P40」の項目の「出力」にチェックを入れ、「コードの生成」をクリックします。

7. 画面左側の「プロジェクト・エクスプローラー」の「src」→「smc_gen」→「Config_PORT」のフォルダに「jikken.c」が生成され、 P40が出力ピンである旨のコードが書き込まれたことが確認できます。

Lチカプログラムの作成

ここからはLチカのプログラムを作成します。プログラムの全体像は以下のようなものを作成しましたので順をおって説明します。

1. 画面左側の「プロジェクト・エクスプローラー」の「src」→「smc_gen」→「jikken.c」にLチカをさせるプログラムを書き込んでいきます。

2. まず「#Include」についてみていきます。

「#include “r_smc_entry.h”」これは、スマートコンフィグレータが自動生成した、マイコンの初期設定(P40は出力など)を読み込む為のコードです。

「#include “platform.h”」はこの後、登場する「待つ命令」や「ポートの操作」などMCUに従来備わっている機能を読み込む為のコードです。

3. 次にwhile文で構成しているLEDを光らせる部分についてです。

○while文

文中の条件式を(1)とする事で以下のプログラムを繰り返します。

 

○PORT4.PODR.BIT.B0 =

・PORT4

ポート4という名前のピンのグループを指定しています。

・PODR

Port Output Data Register(ポート出力データレジスタ)の略です。

これは、ピンの出力状態(HIGHかLOWか)を実際に決めている箇所です。

・BIT.B0

そのレジスタの中の0番目のビットを指します。これがP40ピンに対応しています。

・= xx

xxの部分に「1」を書き込むとピンの電圧がHIGHになりLEDが点灯し、「0」を書き込むとLOWになり消灯します。

 

○ R_BSP_SoftwareDelay(200, BSP_DELAY_MILLISECS)

・ R_BSP_SoftwareDelay

Renesasが提供する基本的な便利機能(BSP/Board Support Package)の一つです。CPUの処理を少しだけお休みさせて、擬似的に待ち時間を作ります。

・(XXX, BSP_DELAY_MILLISECS)

これは関数に渡している引数(設定値)で XXX: 待ちたい時間の数値を指定しており、今回は200msと500msを指定しています。

・BSP_DELAY_MILLISECS

その数値の単位がミリ秒(1000分の1秒)であることを指定しています。

コードの実装

ここでは作成したコードを実装します。

  1. ビルド

ソースコードを、コンピュータが実行できる形式のファイル(実行可能ファイル)に変換する一連の作業になります。赤枠のトンカチボタンを押します。

2. 「build finished」が表示されていれば成功です。

3. デバック

MCUへの書き込みを行い、プログラムのバグを探すための準備をします。赤枠の虫のマークをクリックします。

プログラムの実行

最後にプログラムを実行し、所望の動作をしているか確認します。

1. ツールバーの「再生」ボタンをクリックすると、MCU上でプログラムが実行されます。

2. 以下の画像のようにLEDが点灯と消灯を繰り返していることが確認できました。

・消灯

・点灯

まとめ

今回は、スマートコンフィグレータの使用方法から実際にLチカを実施しました。次回はマイコンのタイマー機能の理解を進めていきます。

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