- 公開日:2025年09月03日
- | 更新日:2025年09月09日

車載SoCへのカメラ入力帯域検討(MIPI-CSI2)
- ライター:daisuke ariga
- プロセッサー
はじめに
近年、車載カメラはセンシングの中心的役割を担っており、フロント、バック、サイド等に設置した
車載カメラからの入力映像を用いてドライバーサポートを行う、AD/ADAS機能の搭載が一般的になっています。
本記事では、SoCにカメラ映像を入力する際の、接続可能台数や解像度検討に際しての基本的な考え方をご紹介致します。
カメラ入力機能について
カメラ映像をSoCに入力する際のインタフェースとして、MIPI-CSI2が広く普及しています。
現在最も広く普及している組み込みカメラインタフェースとも言われており、
スマートフォン等のモバイル機器にとどまらず、産業機器、車載システム、医療、ロボティクスなど、様々な分野に採用されています。
本記事においてもMIPI-CSI2での映像入力を前提としてご説明致します。
MIPI-CSI2概要
SoCでの画像処理フロー
続いて実際にカメラ映像をSoCに入力し、出力されるまでの簡易フローを示します。
本記事では、初期検討としてSoCへのカメラ入力を考える場合の、
MIPI-CSI2への入力部分での(上図赤枠部)帯域検討について説明致します。
カメラに応じた必要帯域の検討
カメラ側の要件を解像度、フレームレート、色深度から算出
まずは接続したいカメラ側の映像の解像度、フレームレート、色深度から1つのカメラで必要となる帯域を計算します。
例)2.0Mpixel(解像度) x 60fps(フレームレート) x 24bit(色深度)=2880Mbps(2.88Gbps)
次に、接続カメラの数を掛けてカメラ全体で必要となる帯域を計算します。
例)2台接続を検討している場合
2880Mbps x 2台=5760Mbps(5.76Gbps)
MIPI-CSI2では、複数個のカメラ映像を1つのMIPI-CSI2のchに入力する事が出来る為、
必要なカメラ全体の帯域で考える事がポイントになります。
SoC側の仕様を確認
続いて、SoCのデバイス仕様から、MIPI-CSI2のch/lane数やその動作帯域を確認します。
例)搭載Unit:2ch/各4lane
転送速度:最大転送レート1.5Gbps/lane
上記の場合1chあたり、
1.5Gbps x 4Lane = 6Gbps が仕様上の最大転送レートとなります。
実行性能の考慮
一方で、実際にアプリケーション実装しSoC上で動作させる場合、
様々なオーバヘッド要因により常に最大転送レートで動作させることは困難である為、
実行性能を試算するにあたってはSoC側の処理性能を公称Specの80%程度で推定します。
上記の例では、転送速度:最大転送レート1.5Gbps/laneなので、
1.5Gbps x 0.8(80%) = 1.2Gbpsとなり、1ch当たり4lane搭載している場合、
1.2Gbps x 4 =4.8Gbpsが1chあたりの実行性能と考えられます。
成立性の確認
これらの数値を元に、実行帯域を考慮したSoCのMIPI-CSI2帯域 > カメラ全体の必要帯域
となっているか確認します。
上記の例では、
(A)SoCのMIPI-CSI2 1chあたり4.8Gbps
(B)カメラ1台当たり2.88Gbpsとなりますので、
(A)>(B)となり
MIPI-CSI2 1chに対し、カメラ1台であれば接続可能であると試算できます。
一方で1chにカメラ2台を接続しようとすると5.76GbpsとなりSpecオーバする為、
そのまま2台接続する事は難しいと考えられます。
2台接続する場合は、
ケース1・・・解像度やフレームレート、色深度の情報量を落とす
ケース2・・・MIPI-CSI2 を2ch使う
といった検討が必要であると考えることが出来ます。
以下に図示致します。
ケース1(カメラの映像スペックを緩和)
例としてフレームレートを30fpsに緩和して対応する場合を考えます。
2.0Mpixel(解像度) x 30fps(フレームレート) x 24bit(色深度)=1440Mbps(1.44Gbps)
上図例では、1.44Gbps x2 =2.88Gbps < 4.8Gbpsとなりますので、
2台接続可能と考えられます。
ケース2(MIPI-CSI2を2ch使用)
ケース2ではカメラの仕様は緩和せず、MIPI-CSI2のch数を増やして対応します。
MIPI-CSI2の1chあたり、2.88Gbps < 4.8Gbpsとなりますので、
MIPI-CSI2を2ch使用する事で2台のカメラ接続が可能と考えられます。
まとめ
如何でしたでしょうか、
今回はSoCへのカメラ入力の際に必要なMIPI-CSI2部分での
帯域検討の基本的な考え方をご紹介させて頂きました。
ご参考となれば幸いです。
なお、上記の見積りは、MIPI-CSI2の帯域に対する検討方法を示しておりますが、
実際の動作検証においては後段の画像処理IPの動作負荷、内部バス(DRAM等)帯域、
ユーザアプリケーションSWの負荷等の影響が御座います事をご留意ください。
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