• 公開日:2025年09月10日
  • | 更新日:2025年09月16日

ルネサス社車載用RH850/F1KMのタイマ仕様に関して

製品概要

ルネサスエレクトロニクス社製RH850/F1KM-S1マイコンは、車載対応の32bitルネサスエレクトロニクスオリジナルコア「G3KH」を搭載し、

低消費電力、高い処理能力、豊富な内蔵周辺機能などを特長としております。

パッケージサイズは48Pin、64Pin、80Pin、100Pinなど豊富なラインナップを準備しております。

その中で実績のある周辺機能であるタイマアレイユニットの中で

TAUB(タイマアレイユニットB)、TAUD(タイマアレイユニットD)、TAUJ(タイマアレイユニットJ)について解説いたします。

TAUB及びTAUD及びTAUJ機能概要

(1)TAUBは16ビットタイマで、RH850/F1KM-S1の80ピンおよび100ピン製品に1ユニット搭載されています。
(2)TAUDも16ビットタイマで、RH850/F1KM-S1の48ピン、64ピン、80ピン、100ピン製品に1ユニット搭載されています。
(3)TAUJは32ビットタイマで、RH850/F1KM-S1の48ピン、64ピン、80ピン、100ピン製品に4ユニット搭載されています。

各タイマ機能は大きく分けて、

1つの端子で動作可能な「チャネル単体動作機能」と

基本的に2つの端子で動作可能な「チャネル連動動作機能」がございます。

 

※TAUB及びTAUD及びTAUJ機能の差異は以下にて解説いたします。

機能以外の差異につきましては、タイマ動作クロック周波数にあります。

 

RH850/F1KM-S1マイコンを例にすると、TAUBは最大40MHzで動作します。

一方、TAUDは最大80MHzで動作し、TAUJの0ユニットおよび2ユニット目は最大40MHz、

1ユニットおよび3ユニット目は最大80MHzで動作します。

チャネル単体動作機能

TAUB、TAUD、TAUJのチャネル単体動作機能を対象にして、タイマ毎に搭載された機能に関して比較いたします。

 

※以下表の見方は、基本的に同じ機能を並列で並べております。

(例)インターバルタイマ機能はTAUB、TAUD、TAUJ 3つのタイマに搭載済となりますが、

ディレイカウント機能ならばTAUDにしか搭載がございません。

 

以上のような見方となります。

 

No. TAUBのチャネル単体動作機能 TAUDのチャネル単体動作機能 TAUJのチャネル単体動作機能
1 インターバルタイマ機能 インターバルタイマ インターバルタイマ機能
2 TAUBTTINm 入力インターバルタイマ機能 TAUDTTINm 入力インターバルタイマ機能 TAUJTTINm 入力インターバルタイマ機能
3 クロック分周機能 クロック分周機能
4 外部イベントカウント機能 外部イベントカウント機能
5 ディレイカウント機能
6 ワンパルス出力機能 ワンパルス出力機能
7 TAUBTTINm 入力パルスインターバル測定機能 TAUDTTINm 入力パルスインターバル測定機能 TAUJTTINm 入力パルスインターバル測定機能
8 TAUBTTINm 入力信号幅測定機能 TAUDTTINm 入力信号幅測定機能 TAUJTTINm 入力信号幅測定機能
9 TAUBTTINm 入力位置検出機能 TAUDTTINm 入力位置検出機能 TAUJTTINm 入力位置検出機能
10 TAUBTTINm 入力期間カウント検出機能 TAUDTTINm 入力期間カウント検出機能 TAUJTTINm 入力期間カウント検出機能
11 TAUBTTINm 入力パルスインターバル判定機能 TAUDTTINm 入力パルスインターバル判定機能
12 TAUBTTINm 入力信号幅判定機能 TAUDTTINm 入力信号幅判定機能
13 オーバフロー割り込み出力機能

(TAUBTTINm 幅測定時)

オーバフロー割り込み出力機能

(TAUDTTINm 幅測定時)

オーバフロー割り込み出力機能

(TAUJTTINm 幅測定時)

14 オーバフロー割り込み出力機能

(TAUBTTINm 入力期間カウント検出時)

オーバフロー割り込み出力機能

(TAUDTTINm 入力期間カウント検出時)

オーバフロー割り込み出力機能

(TAUJTTINm 入力期間カウント検出時)

15 1相PWM 出力機能

 

 

 

チャネル連動動作機能

TAUB、TAUD、TAUJのチャネル連動動作機能を対象にして、タイマ毎に搭載された機能に関して比較いたします。

 

※TAUJのチャネル連動動作機能につきましては、以下のようにPWM出力機能しか搭載がございません。

 

No. TAUBのチャネル連動動作機能 TAUDのチャネル連動動作機能 TAUJのチャネル連動動作機能
1 PWM 出力機能 PWM 出力機能 PWM 出力機能
2 ワンショットパルス出力機能 ワンショットパルス出力機能
3 トリガスタートPWM 出力機能
4 ディレイパルス出力機能 ディレイパルス出力機能
5 オフセットトリガ出力機能
6 A/D 変換トリガ出力機能タイプ1 A/D 変換トリガ出力機能タイプ1
7 三角波 PWM 出力機能 三角波 PWM 出力機能
8 デッドタイム付き三角波PWM 出力機能 デッドタイム付き三角波PWM 出力機能
9 A/D 変換トリガ出力機能タイプ2 A/D 変換トリガ出力機能タイプ2
10 割り込み要求信号間引き機能(※1)
11 連動非相補方式変調出力機能と

連動相補方式変調出力機能

 

※1:割り込み要求信号間引き機能とは、

割り込み要求信号間引き機能は、マスタチャネルをインターバルタイマモードに設定して、

スレーブチャネルをサブ機能として連動して動作させ、PWM出力で毎周期ではなく、一定の間隔で割込み要求のタイミングを生成させる機能です。

 

タイマ検討例

例えばRH850/F1KM-S1マイコンからPWM信号を出力する場合、ユーザー様において考慮すべき事項は以下の通りです。

 

(1)どのようなタイマ機能が必要か?

(2)必要となるタイマのビット数は?
(3)必要となるタイマの動作クロック周波数は?
(4)RH850/F1KM-S1マイコンの端子配置表に基づき、タイマ以外に使用する機能も考慮して、RH850/F1KM-S1マイコンの端子に対するタイマの端子割り当てが可能かを検討する

 

以上4点から、ご使用になるタイマを決めることが可能です。

 

(例)①PWM波形を1チャネル出力が必要 ②16bitタイマ ③タイマの動作周波数は40MHz以上が必要

以上の条件でタイマ機能をご検討いただく場合、

TAUBのチャネル連動動作機能である「PWM 出力機能」が条件を満たします。

 

次に(4)において、マイコン端子配置表をご確認いただき、

チャネル連動動作機能より必要となる端子の割り当てが可能か、ご検討が必要となります。

 

また、

(5)RH850/F1KM-S1マイコンの端子をタイマとしてご使用いただくためには、

ご使用になられる端子をタイマとして利用できるように、端子に関するレジスタ設定が必要です。

 

(6)ユーザーズマニュアルのタイマのPWM機能に関する説明ページをご確認いただき、レジスタ設定が必要です。

設定されるレジスタにつきましては、ユーザーズマニュアルのレジスタ機能欄に示された説明内容や注意事項をよくご確認いただいて、説明内容に従ったレジスタ設定を行っていただきたいです。

 

(7)タイマに関する割り込み機能もご使用になる場合は、

ユーザーズマニュアルの割り込み機能に関する説明ページをご確認いただき、レジスタ設定をお願いいたします。

 

以上の内容を考慮いただき、ご使用なられるタイマを選定いただけますと幸いです。

 

まとめ

 

上記において、ルネサスエレクトロニクス製RH850/F1KM-S1マイコンの

TAUB、TAUD、TAUJタイマ機能に関して説明させていただきました。

ユーザーズマニュアルをよくご確認いただきながら、

タイマをご検討いただけますと幸いです。