• 公開日:2025年09月19日
  • | 更新日:2025年10月29日

ルネサス製RH850/U2B6のサンプルプログラムを実行してみた

はじめに

RH850/U2B6の評価ボードとRH850/U2B6のデバイスを入手したので動作確認の為、
ルネサス製のStartupアプリケーションを実行してみた。
新規作成時のpointを操作手順にて紹介します。

動作環境

 ・対象デバイス RH850/U2B6(G4MHコアx3搭載、動作周波数400MHz)
 ・統合開発環境 CS+(ルネサス製)
  バージョン :CS+8.13
  CC-RH(ルネサス製) バージョン:2.05
 ・E2エミュレータ(ルネサス製) (RTE0T00020KCE00000R)
 ・評価ボード RH850/U2B 292pin Piggyback Board of RH850 Evaluation Platform
  (Y-RH850-U2B-292PIN-PB-T1-V1))
 ・サンプルファイル CSP_U2B6_Startup_Sample_rev100.7z

操作手順

1)プロジェクトの新規作成 統合開発環境(CS+) ファイルー新規作成から

 ・「新しいマルチコアプロジェクトを作成する」を選択

 ・マイクロコントローラ「RH850」、使用するマイクロコントローラから
  「R7F70255(xxxx)」を選択 プロジェクトの種類は
  「マルチコア用ブートローダ(CC-RH)」を選択

 ・プロジェクト名を設定「U2B6」など

 ・各コア専用のmain関数を含むスタートアップファイルの雛型を同時に作成する
  をチェック
  コア数分のアプリケーションプロジェクトとして作成
  を選択

2)ブート、アプリケーションへのソースコード登録

・ダウンロード済みのサンプルファイルからブートプログラムエリアのファイルへ
 ファイルを登録する
 (アプリケーションプロジェクトはAPP1からAPP3ですがサンプルプロジェクトではCPU0からCPU2となっているので注意)


  boot.asm
  vecttbl0.asm
  vecttbl1.asm
  vecttbl2.asm
  system_init.c
  set_opbt.asm

・サブプロジェクトへApp1へはCPU0ファルダ内のファイルを登録する
  cstart0.asm
  main0.c

・同様にApp2、App3へもファイルを登録する。

 

3)マルチコア向け設定確認(Point)
 プロジェクト名_App1のCC-RHプロパティの
 リンクオプションからセクションのマルチコア用の外部定義シンボルをファイル出力する
 セクションを開く。

 次に

 マルチコア用の外部定義シンボルをファイル出力するセクション

 を開き、テキスト編集画面から「.text.cmn」「.stack.bss」を追加する。

  

 

4)設定値の確認(Point)
 ブートプログラムエリアのboot.asmで内蔵RAMの初期化を行いますが初期値は0になっているので
 ご使用製品のアドレスマップに合った設定を行う必要があります。(初期化されていないRAMへアクセス
 するとECCエラーが発生する)

 割り込み方式は直接方式を選択してあるのでテーブル方式をご使用の場合はマクロのスイッチを
 有効にします。


5)ビルドの実行
 サンプルソフトの準備ができたのでビルドを実行。
 エラーがない事を確認。

6)プログラムの実行と動作確認
 PCと評価ボードをE2エミュレータで接続し、ビルド生成ファイルをデバイスへダウンロードする。
 次にデバッカにて実行をすると3つのCPUコアがそれぞれにCPUのポートに接続されたLED
 が点滅することを確認できた。同時にコア毎にデバック可能であることも確認。

 ここまではオプションバイトについては変更を行っておらず初期値にて使用した。
 次回はオプションバイト変更を行う設定を行い初期動作等の確認を行う予定。

まとめ

最初はエラーが発生しプロジェクトを開くことができなかったが新規プロジェクトを作成
することにより、サンプルプログラムを実行することができた。
ブートプログラムではアプリケーション起動までのクロックギアアップ、メモリ初期化、
コアの起動を行い、その後各コアが独自に動作していることを確認した。
今後は周辺機能向けのアプリケーションノートを参照し、コア毎にソースコードを追加
し、周辺機能の動作確認を継続していく。

参考情報

 今回はRH850/U2B6を使用したが、本製品を含むRH850/U2Bグループの特徴についてご案内します。

  1. RH850/U2Bグループの主な特長

    • 400MHz RH850 G4MHコア Max. x4(ロックステップデュアルコアx3)

      • トップレベルの性能-消費電力効率

    • Flash Memory Max. 10MB

    • RAM Max. 1.28MB

    • EMU3S(内蔵モータコントロールユニット)、RDC3X(位置センサインタフェース)
      TSG3(モータ制御用タイマ)を搭載、トラクションモータ(インバータ)のベクトル制御に対応

    • 逐次比較型12bit-ADC (SAR-ADC): 94ch(T/H 6+6+0+0, 4モジュール)

    • ΔΣADC (DS-ADC): DFE機能付きMax.10モジュール

    • デジタルフィルタエンジン(DFE): Max.20ch

    • 車載制御用タイマ: ATU-Ⅵ, GTM v4.1

    • 動作温度: Tj=-40 – +160(max) ℃

  2. 通信インタフェース

    • TSN対応100Mbit Ethernet

    • RS-CANFD, FlexRay, MSPI, RHSB (MSC), RHSIF, RSENT, RLIN3 (LIN master/slave, UART), RIIC (I2C), PSI5, PSI5-S

    • SFMA (シリアルフラッシュメモリインタフェース)

    • MMCA (eMMC)

  3. FuSaとセキュリティへの対応

    • ハードウェアセキュリティモジュール(車載セキュリティ標準規格EVITA-FULLに準拠)

    • ISO26262 ASIL-D

  4. ツール、HW、SWの各分野の最新規格に対応した広範なエコシステム