• 公開日:2025年09月22日
  • | 更新日:2025年09月29日

RL78 Webシミュレータを使ってみた

RL78 Webシミュレータとは?

RL78 Webシミュレータは、ルネサス エレクトロニクスが提供するブラウザ上で動作するマイコン開発環境です。

RL78 Webシミュレータ

実機がなくても、PCやタブレットからアクセスし、RL78ファミリのマイコンを仮想的に操作できます。
回路の作成、プログラムの記述、ビルド、デバッグ、波形観察まで一通り体験可能。
教育用途や、初めてマイコンに触れる方にも最適です。

1. ボード環境の設定

まずは仮想ボードにスイッチとLEDを追加します。
これは、実際の電子回路で部品をブレッドボードに挿す作業に相当します。
スイッチ(SW)の設定

接続先:P74(RL78のポート7の4番ピン)
アクティブレベル:アクティブL(押すと“0”になる)
外観:トグルスイッチ
チャタリング:OFF(初心者はまずOFFでOK)

接続先:P75(RL78のポート7の5番ピン)
アクティブレベル:アクティブL(押すと“0”になる)
外観:押しボタンスイッチ
チャタリング:OFF(初心者はまずOFFでOK)

 

LEDの設定

接続先:P17(RL78のポート1の7番ピン)
色:赤
アクティブレベル:アクティブL(“0”で点灯)

ポイント解説

アクティブH/Lとは?
アクティブHは「信号がHigh(1)」のとき動作すること。アクティブLは「Low(0)」のとき動作。
チャタリングとは?
スイッチを押した瞬間に発生する微小なON/OFFのバタつき。今回はOFFでOKですが、実際の回路では対策が必要です。

2. プロジェクト作成とプログラム記述

新規プロジェクトを作成
RL78 Webシミュレータで新しいプロジェクトを作成し、main.cに以下のプログラムを記述します。

include “iodefine.h”
void main(void)
{
    U7 = 0x30;    // P74, P75のプルアップ有効
    P1 = 0x80;     // P17(LED)消灯
    PM1 = 0x7f;    // P17出力、他は入力
    while (1) {
// SW1(P74)とSW2(P75)が両方押されたらLED点灯
         if (((P7 & 0x10) == 0x00) && ((P7 & 0x20) == 0x00))
            P1 = 0x00;           // LED点灯
        else
            P1 = 0x80;           // LED消灯
    }

}

プログラムのポイント

PU7 = 0x30;
P74とP75ピンのプルアップ抵抗を有効にします。スイッチが未接続時でも誤動作しにくくなります。
P1 = 0x80;
P1ポートの7番ピン(P17)を“1”にしてLEDを消灯(アクティブLなので“1”で消灯)。
PM1 = 0x7f;
P17だけ出力に設定し、他は入力にします。
if (((P7 & 0x10) == 0x00) && ((P7 & 0x20) == 0x00))
P74とP75の両方が“0”(両方押された)ときだけLEDを点灯します。

3. ビルド

プログラムを書いたら、ビルド(コンパイル)を実行します。

エラーや警告が無いことを確認しましょう。
エラーが出た場合は、スペルミスや記述ミスがないか確認します。

4. シミュレータで動作確認

ウォッチ変数の追加

DevelopタブでP7(スイッチの状態)とP1(LEDの状態)をウォッチ変数に追加します。

波形グラフの有効化

BoardタブでP17(LED)とP75(SW)の波形グラフを有効にします。
ウォッチ変数の波形グラフもチェックしておくと、プログラムの動作が視覚的に分かります。

5. 実行・観察

実行ボタンを押してプログラムをスタートします。
ボード上のスイッチ(SW)をクリックすると、LEDがリアルタイムで点灯・消灯します。
グラフ表示で、SWのON/OFFに合わせてLEDの波形も変化することを確認できます。

6.使用した製品はこちら

RL78 Webシミュレータ

 

7.まとめ

RL78 Webシミュレータを使えば、ハードウェアが無くてもマイコン制御の基本を体験できます。
今回の例は「スイッチ入力→LED出力」という超基本ですが、

複数のスイッチやLED
タイマー割り込み
PWM制御
など、さらに発展させていくことも可能です。

ぜひ、RL78 Webシミュレータで色々な回路やプログラムを試して、組み込み開発の世界を体験してみてください!