• 公開日:2025年09月29日
  • | 更新日:2025年10月03日

【Lidarの仕組み、自動車ランプメーカーとの融合】

 

製品概要

LiDAR(ライダー)とは、

「Light Detection and Ranging(光による検出と測距)」の略で、レーザー光を使って対象物までの

距離や形状を高精度に測定する技術で、当初はLiDAR(1961年)と呼ばれた – 光検出と測距

狭角の光ビーム(レーザー)を標的に照射し、その反射距離を測定することで距離や形状を推定可能。

近年ではLIDAR – 光画像検出と測距技術とデジタル処理能力の進歩により、反射光からより詳細な情報を構築できるようになっている。

●ルネサスエレクトロニクス/Lidar system資料記事

 

 

特長

1.LiDARの仕組み

レーザーから電磁信号(光)を照射し、光電センサーに到達するまでの時間を測定することで、反射物までの距離を算出する。

●ルネサスエレクトロニクス/Lidar system資料記事

 

2.LiDARで計測できるデータ

・距離

・反射強度

・3D座標

・動的オブジェクト

LiDARの基本的な機能は、対象物までの距離の測定です。

レーザーのパルスを発射し、対象物に反射して戻ってくるまでの時間を計測し、そのデータを反射強度や3D座標、

動的オブジェクトの測定に活用。反射強度は対象物の材質や表面状態の測定に効果的で、ex.道路の表面や植生の種類を判別。

3D座標データは地形や建物、その他の構造物を立体的にマッピングするために利用。また、移動中の車両や歩行者、動的オブジェクト

の位置や速度をリアルタイムで計測することが可能。これらの計測データは自動運転技術に不可欠です。

 

3.Lidarの主な活用分野

活用分野 説明
自動車 周囲の障害物や歩行者をリアルタイムで検知し、安全な走行を支援。TOF方式が多く使われるが、FMCW方式は速度検知にも優れるため、次世代ADASに活用。
スマートフォン・AR機器 空間認識や3Dスキャンに利用。ex:iPhoneのLiDARスキャナはTOF方式を採用し、

AR体験やポートレート撮影の精度向上に貢献。

測量・地形図作成 ドローンや地上型LiDARで地形や森林資源を高精度に把握。広範囲の地形データ取得に適しており、森林管理や災害対策にも活用。
ロボット 配膳ロボットや倉庫内の自律移動ロボットに搭載され、障害物回避やルート最適化に活用。TOF方式が主流だが、精度が求められる場面ではFMCWも検討。

●kumonosの活用事例記事

 

4.TOF vs FMCW LiDAR 比較表

項目 TOF方式 FMCW方式
測定原理 レーザー光の往復時間を測定して距離を算出 周波数変調された連続波のドップラーシフトから距離と

速度を算出

信号タイプ パルスレーザー 周波数変調された連続波
距離計算式 距離=(時間×光速)/2​ 距離=(周波数差×光速)​/ (2×周波数変調率)
精度 中〜高精度 非常に高精度(ノイズに強い)
速度検出 近距離〜中距離 中距離〜長距離
速度検出 不可(別途センサーが必要) 可能(ドップラー効果を利用)
環境耐性 光や天候の影響を受けやすい 比較的影響を受けにくい
コスト 低〜中 高め(複雑な構成)
主な用途 スマートフォン、ロボット、ドローン、簡易測距 自動運転車、ADAS、産業用ロボット、高精度測量

●VISION SYSTEMS DESIGN JAPAN 技術記事参照

 

5.Lidar Architectures/Reference Block Diagram

・Front–end Lidar – Current Popular Architecture

●ルネサスエレクトロニクス/Lidar system資料記事

 

 

製品仕様(ラインナップも記載)

1.Lidarにおけるルネサス社SoC(R-Car)製品の主な特長は以下となります。

  • R-Car V4H etc
  • Clock Generator
  • レギュレータ(LDO)
  • PMIC
  • MOSFET

・R-Car V4H block diagram

●ルネサスエレクトロニクス/Lidar system資料記事

 

 R-Car VxH搭載 次世代Lidarソリューションブロック図(推定)

 

自動車ランプメーカーとの融合

1.ヘッドライト一体型LiDAR

・一部の自動車メーカーや部品サプライヤーは、LiDARセンサーをヘッドライトやグリルに内蔵する設計を進行中。

ランプメーカーは、光学設計や防水・耐熱構造に強みがあるため、LiDARの筐体設計や透過素材の開発で

重要な役割を果たしている。

・美観と機能の両立

LiDARは通常、車両の屋根やバンパーに設置されますが、デザイン性を損なうという課題あり。

ランプメーカーが関与することで、意匠性を保ちつつセンサー性能を最大化する統合設計が可能。

●マレリ × Hesai:LiDAR統合型ヘッドランプの発表記事

●小糸製作所 × Cepton:車載向け短距離LiDARの受注記事

●小糸製作所のLiDAR事業戦略と量産計画記事

 

2.LiDARにおけるアンプメーカーの役割

・トランスインピーダンスアンプ(TIA)

LiDARの受光部では、反射光をフォトダイオード(PDやAPD)で電流として検出。

この微弱な電流を電圧に変換するのがTIAで、感度・ノイズ耐性・帯域幅が重要。

ex:Analog Devices社のMAX40660/40661などは、LiDAR向けに最適化されたTIA。

・高速コンパレータ・オペアンプ

反射光の検出タイミングを正確に判断するために、高速応答性のあるコンパレータが必要。

周辺光(太陽光など)によるノイズを除去するフィルタ回路やDCサーボ回路もアンプで構成。

●Analog Devicesによる技術記事:LiDARシステムのTIA設計と最適化記事

 

3.主なアンプメーカーの取り組み

・Analog Devices(ADI) LiDAR向けに高感度・低ノイズなTIAや高速コンパレータを提供。

自動運転分野での採用が進む。

・(TI)高速オペアンプや低消費電力設計に強み。LiDARの小型化・省電力化に貢献。

Maxim Integrated(現ADI傘下)MAXシリーズのTIAやコンパレータがLiDAR用途で評価されている。

●Analog Devices(ADI)によるLiDAR技術解説記事

 

4.LiDARはどこに使われてる?!

・自動車の前方・側方センサー(バンパー、グリル、ヘッドライト周辺)

・ドローンやロボットの障害物検知

・スマートシティの交通監視

・産業用ロボットの空間認識

●LiDARの活用事例と企業導入例記事