• 公開日:2025年09月30日
  • | 更新日:2025年10月01日

ルネサス製クロックジェネレータの選定と設計

冒頭

本記事では、ルネサス製クロックジェネレータの部品選定・設計手法を紹介します。
クロックツリーの参考例を取り上げ、要求仕様に基づき実際に製品型番の選定を行い、GUIツールを用いたクロックの設計を行います。

ルネサスクロック製品のポートフォリオ

ルネサスは多くのクロック関連会社の買収を行ってきたため、1000種類を超える業界最大の製品ポートフォリオを持ちます。
製品力の高い旧IDT社からの流れもあり、市場トップシェアとなっています。
用途も民生機器から通信インフラ機器まであらゆる機器に製品を提案、採用されています。
その中でも特に、ルネサス製クロックジェネレータはプログラマブル製品ですので、要求仕様に柔軟かつ迅速に対応することが可能です。

ルネサスクロックジェネレータの選定

ルネサス製クロックジェネレータの部品選定・設計手法を紹介していきます。
まずは、システム内でクロック信号を必要とするデバイスを明記した、クロックツリーを用意します。
今回は、以下ツリーを例として進めていきます。

こちらの参考例では、基板上に主要なICが5つあり、それぞれのICに必要なクロックは個々のXO(水晶発振器)で供給するというクロックツリーになっています。
全てのICに必要なクロックは合計で7本あり、それぞれのクロックの要求仕様は以下の通りです。

それでは、このクロックツリーをルネサス製のクロック製品に置換えて最適化を図っていきたいと思います。

クロック要求仕様のポイント

選定する上で注目すべきクロック要求仕様のポイントについて説明します。
今回の参考例では、以下の通り5つのポイントが挙げられます。

・1.8V/2.5V/3.3Vといった供給する電源電圧が混在している点

・LVCMOS/HCSL/LVDS/LVPECLといった出力タイプが混在している点

・25MHz/125MHz/156.25MHz/100MHzといった4種類の周波数が混在、かつ合計で7本の出力が必要となる点

・スペクトラム拡散クロックが必要である点

・PCI Expressに対応する必要がある点

この5つのポイントを踏まえて、どのルネサス製クロック製品が適しているか選定していきます。

プロラマブルクロックジェネレーターの選定

複数の周波数を生成しなければいけないため、製品種類としてクロックジェネレーターを使用します。
先程挙げた5つのポイントから、適している製品ファミリーをまず選定します。

・スペクトラム拡散に対応しているか?

・複数の周波数を出力出来るか?

・PCI Expressに対応しているか?

・必要な出力本数を持っているか?

という点を踏まえると、赤色で囲んでいるVersaClock7ファミリーの型番が良さそうだということが分かります。

但し、LVCMOSやHCSLといった様々な出力タイプに対応可能かどうかはこちらの表からは読み取れませんので、この後に見ていきたいと思います。

クロック製品検索(VersaClock7シリーズ)

 

VersaClock7ファミリー製品が良さそうだと大まかに選定しましたので、次にVersaClock7ファミリー製品のラインナップの中から最も適した製品をWeb上で検索する方法について説明します。
まず、ルネサスのホームページに行きます。そして順番に、

➀製品情報

②クロック&タイミング

③プログラマブルクロック

をクリックします。

次に “プロダクトセレクタ” をクリックします。

VersaClockと検索した際に出てくるRC210型番を今回は選定し、RC210型番の8ch品かつ水晶振動子内蔵タイプのRC21008BQを選定します。
(RC310はジッタアッテネータ製品のため、よりジッタ要求が厳しいケースで選定します。)

 

VersaClock7によるクロックツリー最適化例

 

続いて、先ほど選定したRC21008BQを用いたクロックツリーの最適化例となります。
下図のように、全ての周波数を本製品1チップで実現することが出来そうだと想定してクロックツリーを作成し直します。

作成したクロックツリー情報を元に、RIC Boxツールを用いて、実際に実現出来るのか検証してみます。
ツールは以下リンク先からダウンロードできます。

クロック設計ツール / RIC Box

また、ツールのインストール方法や使い方については以下技術記事で紹介していますので、
ご確認いただければと思います。

ルネサス クロック製品 VersaClock7 評価ボードの動かし方とGUIツールの使い方

クロックツリーに従い、作成したConfigが以下になります。
Configが作成できましたら、代理店もしくはメーカへレビュー依頼を出していただき、問題無いことを確認後、
サンプルリクエストをお願いします。(必要に応じてメーカにてジッタ測定を行います。)

まとめ

以上、クロックツリーの情報に基づき、ルネサスクロックジェネレータの型番を選定後、RIC Boxツールを用いて
Config作成まで行いました。
ぜひ、クロック製品をお求めの際は、ルネサス製品のご検討をお願いします。

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Renesas Electronics Corporation – 半導体事業 – マクニカ (macnica.co.jp)