• 公開日:2025年09月30日
  • | 更新日:2025年10月01日

Clockジッター試験のLab on the Cloud活用方法

はじめに

昨今、映像信号の高解像化、AI活用によるデータの厖大化、高速化の進化が止まりません。伴い、高速処理可能なICの発展もあり、ICに必要なクロック信号も高速化しております。クロック信号は異なる複数のICの同期を取るために必要な信号です。これまでの常識としては、IC直近に水晶を設置し、データ信号とともにクロック信号を送ることで同期を取るのが一般的でした。クロック信号も伝送路を通すので、様々な影響を受けて波形劣化してしまいます。世の中の求められるクロック要求として、高精度化は今後更に増えていきます。

今回紹介するのは、高精度なクロックを複数作り出すことが可能なクロックジェネレーターにおいての、実機でのジッター仕様を評価ボードを手元に用意することなく、ルネサスエレクトロニクス社(以下、ルネサス社)の実験室の評価治具をインターネット上で接続することで、最短で実機評価を行えるLab on the Cloudシステムの紹介と活用方法を紹介します。

Lab on the Cloud とは

ルネサス社が提供する技術サポートシステムの1つで、ルネサス社の実験室をインターネット上で接続して実際に動作確認を行えるシステムです。通常、ユーザーで実機動作を行う場合は、評価ボードを入手して行います。本システムは、評価ボードを入手しなくても、動作させているところを映像やデータでリアルタイムに確認できるので、動作確認するまでの時間を大幅に短縮することができます。ルネサス社のHP上で、My Renesas登録しているメンバーであれば誰でも使用可能なシステムです。

Lab on the Cloud

実際に実験室の評価系と接続するので、システム接続するので、他ユーザーが使用している場合は使用できないということもありますので、事前に使用する日時が決まっていれば、予約機能も使用可能です。

Lab on the Cloudのメリットは、クラウドベースのリモートテストプラットファームである為、ユーザーがどこに居てもリアルタイムにハードウェア評価が行えることで物理的な実験室でのアクセスや高価なテスト環境を立ち上げることなくICの検証が行えることです。

現在様々なアプリケーションに対応した70以上のラボを提供しております。

実際にラボ内で動作しているところもカメラ映像で見ることも可能です。使用方法については、ルネサス社から発行されておりますクイック・スタート・ガイドを参照ください。

LAB ON THE CLOUD Quick start guide

ルネサス製Clock製品は任意の出力周波数を設定することが可能

ルネサス社が提供するクロック製品はプログラムにて出力周波数を自由に設定可能です。必要な出力周波数、出力数、形式に合致するかは、ルネサス社から提供している無償ツールRenesas Integrated Circuit Toolbox(以下、RICBox™)を使用して選定することが可能です。また、その出力設定もツール上で行うことができ、設定ファイルも保存可能です。

RICBox

ダウンロードしたツールを開き、“Help“タブから”Update“を選択し、検討したいシリーズをインストールしてください。

インストールしたシリーズは、“Create new project“に追加されます。

詳細な設定方法はルネサス社よりマニュアルも提供されておりますので、参照ください。

RICBox ソフトウェアマニュアル

ツールの設定方法に関しては以下記事でも紹介しております。

ルネサス クロック製品 VersaClock7 評価ボードの動かし方とGUIツールの使い方

 

Lab on the Cloud を使用してジッターデータを取得する

Lab on the CloudのVersa Clockラボを使用して、設定プログラムでのジッター試験が可能です。上記で紹介したRICBox™で設定して、保存したフrbsファイルをUpdateすることで、ラボ上の現物にプログラムされ、フェーズノイズアナライザを使用して、フェーズノイズプロット及びデータが提供されます。このように実際に評価ボードを手元に用意しなくともジッター特性データが取得できます。RMSジッタ計算は、12 kHz-20 MHz RMSの測定フィルタを使用されます。

このジッターデータは参考データとして頂き、もし仮に所望のジッター性能に未達成であった場合、当社へ相談ください。ユーザー側に自由に設定可能なプログラム以外にメーカー内で調整可能な調整レジスターもありますので、より精度を求める際にはメーカーとの調整が必要です。

Lab on the CloudのWebページ画面内で、ラボ検索“VersaClock”を行うと以下のようにHitします。

使用可能状態であれば、サインアップします。

設定ファイルをインポートを使用する場合、rbsファイル内のデバイスと選択したデバイスを一致させる必要があります。

デバイス選択後、作成済のrbsファイルを読み込ませ、“SUBMIT“します。

“RESULT“タブ内に結果が格納されますが、測定中は以下のように順次表記されます。

測定完了すると結果がダウンロード可能になります。

このように評価ボードを入手する前に、デバイスのジッター性能を確認することで、後段に使用するICからの要求にミートするジッターかどうかを事前に確認することが可能なシミュレーションツールとして活用ください。

また、ジッター性能を確認した結果、この設定値のサンプルが必要であれば、ルネサス社へ要求することで入手も可能となります。

 

ルネサス Clock製品ページ

VersaClock プログラマブルクロック | Renesas ルネサス

ルネサス製品をお探しの方は、メーカーページもぜひご覧ください。

【マクニカ ルネサスページはこちら】