• 公開日:2025年11月27日
  • | 更新日:2025年12月17日

科学的に運動能力向上!パターキットを作ってみた ~第1話 仕様書作成~

はじめに

 

みなさんはじめまして。2025年度新卒FAEの藤川です。

 

マクニカでは新人FAEの登竜門として「製作実習」があります。

仕様構想から部品選定、ハードウェア/ソフトウェア製作までモノづくりの一連の流れを体験する研修です。

期間は約2ヶ月、モノづくりほぼ未経験の新人がその第一歩目に立つことができるのか、、、

その製作記録を見ていただければと思います。

 

製作条件

 

「製作実習」では以下のように6つの製作条件が与えられています。

  1. RENESASマイコンキット(FPB-RA0E1)を使用する
  2. FSP(C言語)を用いてプログラムを作成する
  3. センサをつける
  4. 表示系をつける(LED,7segLED,LCDなど)
  5. 駆動機構をつける
  6. 何かしらの割り込みを使用する

FSP (Flexible Software Package) は、ルネサスが提供する統合ソフトウェアフレームワークのことで、

周辺機能を簡単に設定・利用でき、ピン設定やクロック設定を視覚的に行えます。

背景

 

製作物を構想するにあたって、条件さえ満たせば何を作ってもOK。

「何が欲しい?」「何が現実的?」、頭の中でいろいろなアイデアが巡りました。

そんなとき、懇親会で上司たちが楽しそうに話していたゴルフを思い出しました。

ほとんど経験はないけれど、もしゴルフ関連のものを作れたらウケがいいのでは?

 

そう考えて調べてみると、パターは初速と条件で数値化できることを発見。

「パターの素振りを数値化してみよう!」というアイデアにたどり着きました。

こうして今回、私は「パターキット」を製作することに決めました。

 

製品仕様

 

製作条件の対応は以下の通りです。

・センサ    → 透過型フォトセンサ

・表示系   → LED,LCD

・駆動機構  → ギヤードモータ

・割り込み   → タイマ割りこみ

これらを用いた製品のイメージ図です。

 

今回のテーマは「科学的にパターで打った距離を数値化する」こと。

そのため、初速とスティンプ値(グリーンの滑りやすさ)を用いて計測する方針にしました。

これらの数値を設定できるよう、タクトスイッチを搭載し、変更した値はLCDに表示。

さらに、打ったことや実測値を視覚的にわかりやすくするため、モータとLEDも組み込みました。

 

しかし「実際に初速をどう測るのか?」ここが最も重要なポイントであり、最大の課題となります。

 

そこで選択したのが透過型フォトセンサです。

このセンサは、スリット部が遮光されることで物体の通過を検知します。

 

今回の速度算出の仕組みは次のとおりです。

  1. ゴルフボールを打つ
  2. 軸が回転
  3. 回転軸に取り付けた遮光部品がセンサを通過
  4. 2つのセンサの通過時間差を計測
  5. センサ間距離から速度を算出

 

さらに、その他の仕様は3つの状態遷移で制御する設計にしました。

大まかな流れは、状態遷移図を見ていただくとイメージしやすいと思います。

 

仕様製作までのまとめ

 

ウケがいいのでは?と思って始めた製作実習でしたが、構想を考えるだけで一苦労。

頭で思い描いたことを言語化し、実際の製品に落とし込む――その難しさを痛感しました。

 

しかし、この試行錯誤こそがものづくりの醍醐味。

次回からはいよいよ製作フェーズに突入します!

どんな課題が待っているのか、ぜひお楽しみに。

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