- 公開日:2019年06月14日
- | 更新日:2024年05月31日
RS485の終端抵抗について
- ライター:ソイール
- その他
今回は、RS485の終端抵抗についてご紹介します。RS485は双方向通信を行うため両端に終端抵抗が必要になり、この終端抵抗を入れることで反射を抑え、信号品質を向上させていることがわかります。
終端抵抗の役割について
終端抵抗は、信号の反射を抑えるために、最終端に入れる抵抗になります。反射波があると、なにか不都合があるのでしょうか。
反射が起こると、送信側の信号と反射波が合成され、波形が乱れます。波形が乱れると正常に受信できません。信号の反射は、波をイメージするとわかりやすいです。波が防波堤にぶつかると反射し、波が乱れます。防波堤がなく無限に続く場合、反射は起こらないため、波は乱れません。
下記に防波堤がある場合のイメージ図を載せます。
(画力がなくてすみません)
下記に防波堤がない場合のイメージ図を載せます。
実際の信号では、終端抵抗がない場合は抵抗値を∞Ωと考えます。抵抗がない場合は防波堤がある場合と同じとなり、反射が起こり信号が乱れます。
例えば、下記のように理想的な波形が入力されたとします。しかしながら、反射により波形が乱れて、Highで送信した個所がLowと誤認識される可能性があります。また、最悪の場合、オーバーシュートやアンダーシュートにより、デバイスの故障原因にもなります。
下記に理想的な波形を載せます。
Vihは入力デバイス側がこの線以上の場合、Highと認識する電圧になります。
Vilは入力デバイス側がこの線以下の場合、Lowと認識する電圧になります。
下記に、反射が生じ波形が乱れた場合の例を載せます。
終端抵抗がある場合は防波堤がなく無限に続くように見えるため、波形は乱れません。上記の通り、信号が反射すると波形が乱れ、入力デバイス側が誤認識する原因になります。
RS485の終端抵抗の場合
終端抵抗はどこに入れるのでしょうか。
RS485の場合、端末の最終位置に入れます。さらに、RS485は双方向で通信するため、両端に入れます。マルチドロップで接続している途中の端末には、終端抵抗を入れません。
下記にRS485の全二重と半二重の例を載せます。
下図は半二重の場合です。
下図は全二重の場合です。
終端抵抗の値は、100Ωとなっていますが、この値は通信ケーブルの特性インピーダンスと同じ値にする必要があります。通信ケーブルの特性インピーダンスが120Ωの場合、終端抵抗も120Ωにします。
通信ケーブルの特性インピーダンスと、終端抵抗の値を同じにすることで、無限の長さで接続しているように見えます。このインピーダンスを合わせることをインピーダンスマッチングと呼びます。
まとめ
RS485通信を行う場合、信号品質を向上させるためには、終端抵抗が必要になります。終端抵抗の値は、通信ケーブルの特性インピーダンスと同じ(インピーダンスマッチング)にすることが重要となります。
RS485通信を応用したネットワークはフィールドネットワークの分野で広く使用されています。ステップテクニカのHLSやCUnetもRS485通信を利用したネットワークになります。
また、ルネサス製品をお探しの方はメーカーページもぜひご覧ください。