• 公開日:2019年07月12日
  • | 更新日:2024年05月31日
モーターアプリケーション

初心者こそ押さえておくべき!モータードライバーを使うべき理由

はじめに

私たちの身の回りにある「電気を使って動くもの」には、モーターが使用されているものがたくさんあります。

洗濯機や掃除機といった家電製品はもちろんのこと、プリンターや、自動販売機、ロボットアームの関節部分など、ありとあらゆる場所でモーターは使われ、私たちの生活を便利なものにしてくれています。

一方、モーターは簡単に使える、と考えられている方もいるかもしれません。それは正しくもあり、誤りでもあります。

モーターは種類によっては複雑な制御を行う必要があり、モーターをはじめて回そうと考えている方にとって、正しく、安全にモーターを制御するにはだいぶハードルが高いことがあります。

その高いハードルを下げられるのがモータードライバーです。

モータードライバーとは

モータードライバーとは、マイコンなどの制御部からの指示を受けてモーターを駆動、制御するためのデバイスです。

下図はモーターを制御する部品構成の一例です。

モーターを制御する部品構成一例

モーターを回転させるタイミングや速度を制御するにはマイコンは不可欠なデバイスです。しかし、マイコンの入出力ポートにはモーターを直接駆動できるほどのドライブ能力がないことがほとんどです。

この場合、制御するための信号をマイコンからモータードライバーに送り、モータードライバーを介して駆動する必要があります。

モーターには様々な種類があり、その種類ごとに駆動のさせ方、制御の仕方が異なります。そのため、モータードライバーもモーターの種類ごとに用意されています。当然ですが、モータードライバーは回すモーターにあったものを使う必要があります。

モータードライバーがないとモーターは回らない?

それではモーターはモータードライバーがないと回らないのでしょうか?

モーターは電気エネルギーを与えてあげれば回るので、モーターによっては乾電池を繋げるだけで回るものもあります。また、トランジスタやFETといったディスクリート部品を組み合わせた回路で駆動させることもできます。

しかし、モーターに与える電気エネルギーはどんなものでもいいわけではなく、そのモーターに適した電流、電圧に制御して与える必要があります。

モータードライバーを使うメリット

つまり、モーターを回すにはモータードライバーがなくてもいいのです。ただ、モータードライバーを使うことによって得られるメリットが多くあります。

メリット1:実装面積を小さくできる

実装面積削減イメージ右図はあくまでイメージなのですが、ディスクリート部品でドライバー回路を組むよりもはるかに小さい実装面積に抑えることができます。これによって、製品の小型化に貢献することができます。

必要な部品点数が減りますので、トータルのBOMコストの削減も期待できます。
また、部品点数が減れば量産時の部材手配にかかる手間も削減できますので、目に見えづらいコストの削減も期待できます。

メリット2:設計、開発工数を削減

モーターはノイズ源にもなってしまうため、周辺回路に悪影響を及ぼさないようにする必要がありますが、ディスクリート部品で高いノイズ耐性を実現するには高い回路設計ノウハウが必要となります。

モータードライバーを使用すれば、その高いハードルをだいぶ軽減することが可能です。結果的に回路設計にかかる工数短縮に貢献することができます。

メリット3:豊富な保護機能

多くのモータードライバーは過電流保護機能や過熱保護機能など、豊富な保護機能を備えています。ディスクリート部品で組む場合は保護部品を用いないとこれらの機能を盛り込むことはできません。

モーターは動く部品ですので、何らかの要因で制御できない状態になってしまうとユーザーにケガをさせてしまう可能性があります。保護機能をもったモータードライバーを採用することで、より安心・安全な製品をユーザーに提供できるようになるでしょう。

モータードライバーの種類

モーターにはブラシ付きDCモーターや、ステッピングモーターなど、いろいろな種類がありますが、モータードライバーもモーターに合わせていろいろな種類が用意されています。

ブラシ付きドライバー

ブラシ付きDCモーターブラシ付きDCモーター用のモータードライバーです。

ブラシ付きドライバーを使用すると入力する信号の組み合わせによってモーターの回転の向きを制御したり、PWM信号を使って回転速度を制御したりすることができます。

 

ブラシレスドライバー

ブラシレスDCモーターブラシレスDCモーター用のモータードライバーです。ブラシレスDCモーターにはセンサーありのものと、センサーなしのものと2種類あり、ブラシレスドライバーにもセンサーあり/なしのそれぞれに対応しているもの、または両方に対応しているものなど、さまざまあります。

ブラシレスDCモーターの制御は複雑なため、ディスクリート部品でドライブ回路を作成すると、ソフトウェアの制御が複雑になってしまいます。

そのため、そのソフトウェア開発負荷削減のためにモータードライバーが使用されるケースが多いです。

ステッピングドライバー

ステッピングモーターステッピングモーター用のモータードライバーです。

こちらも複雑な電流制御を求められるため、ソフトウェアの制御が複雑になってしまいます。ソフトウェア開発負荷削減のためにモータードライバーが使用されるケースが多いです。

 

まとめ

モーターは単純に見えて、実は奥が深い部品です。アプリケーションによっては回転速度やトルクなどを精密に制御する必要があり、精密さが必要になるほど複雑な制御が求められ、開発の難易度は高くなっていきます。

モータードライバーはそのようなハードルを少しでも低くすることに貢献できる部品です。モーターを使用するアプリケーションの開発を検討している方はモーターだけでなく、モータードライバーも同時に検討するとよいでしょう。

ルネサス製品をお探しの方はぜひメーカーページもご覧ください。

ルネサス
メーカーページはこちら