- 公開日:2019年09月27日
- | 更新日:2022年12月01日
電子機器の中枢、マイコンを初心者のために徹底解説
- ライター:Cruijff
- マイコン
皆さんが使用する電化製品にマイコンが使われているのはご存じでしょうか。洗濯機、冷蔵庫、エアコン、スマートフォン、その大きさや性能はそれぞれ違いますが、必ず電化製品にはマイコンが使われています。普通に生活していればマイコンが入っている、なんて意識しないですよね。
本記事では、世の中の製品に広く使われている「マイコン」について、初めてこの言葉を聞く人たちに向けて解説をしていきます。
マイコンについて
マイコンとは「マイクロコントローラ」の略称で、電化製品の中で周辺装置を制御するコントローラです。
マイコンの実際のチップの写真がこちらになります。
※ 写真のマイコンはTexas Instruments社 MSP430™になります。
種類によって大きさは変わりますが、非常に小さいことがわかります。このコントローラが電化製品のどんな役割を担っているか、イメージは沸きますか。皆さんも近所の家電屋さんで売られている炊飯器にマイコン内蔵と書かれているのを目にしているかと思います。この炊飯器を例にしてみると、マイコンはこんなことをしています。
- 電源のON/OFFや早炊きモード等の切り替えスイッチなど
- 液晶パネルに炊いている途中の状態
- タイマーモードによる炊きあがる時間の管理
などなど
炊飯器1つ取ってみても、やることが多いですね。これらを1個の半導体ICが制御できるように作られたものがマイコンになります。
マイコンの基本構成
マイコンは1個の半導体ICで電化製品の様々な制御を行うもの、と説明しました。では、その中身はどのようになっているのでしょうか。簡単な構成図を次に示します。
マイコンの中身には大きく分けて以下の4つの装置に分類されます。それぞれの装置には内部で次の役割があります。
・ 制御装置
マイコン内部の装置すべてを制御するための装置です。マイコンにはあらかじめプログラムと呼ばれる、命令(処理)を記述したものが記憶装置に保存されています。
この命令内容に従って、周辺装置に動くよう指示したり、演算させたりといろいろな処理をさせることができます。
・ 演算装置
マイコン内部で演算をするための装置です。加算(足し算)や減算(引き算)の他、マイコンの世界ではよく使われる論理演算もこの演算装置が働きます。論理演算は簡単に言うと、「0」と「1」のみを使って演算する方法のことです。プログラムを書く際に、この論理演算がよく使われます。
制御装置と演算装置をまとめて、一般的にはCPU(Central Processing Unit : 中央処理装置)と呼んでいます。パソコンでもよく聞くCPUと同じものがマイコンにも入っています。パソコンのCPUと大きく違うのは、桁違いに性能がマイコンより高いです。が、その分パソコン1台何万円と非常に高いので、もっと単純な性能に、かつ安くしたものがマイコンのCPUになります。
・ 記憶装置
プログラムやデータを記憶するための装置です。データは演算装置で演算した結果や、周辺装置を介した入力装置から受け取ったものを表します。
・ 周辺装置
マイコンICから外部の入力装置、出力装置へつながるための装置になります。周辺装置は外部とつなぐために以下のようにいろいろなものがあります。
- GPIO(General Purpose Input/Output : 汎用入出力ポート)
→LEDを光らせる、スイッチを入力するなど - シリアル通信
→センサや他の半導体ICと接続するなど - PWM(Pulse Width Modulation)
→モータと接続するなど
マイコンを使うと便利な理由
非常に小さいICの中に、様々な装置が内蔵されたマイコン。では、マイコンを電子機器に取り入れるとどう便利なのでしょうか。
1 電子基板の小型化
マイコンがまだ存在しなかった頃、携帯電話が肩から掛けるバッグのように大きかったことはご存じでしょうか。昔は電話の機能を実現するために、何万個以上もの電子部品を組み合わせていたため、どうしても電子機器が大きくする必要がありました。
今では、片手でスマートフォン持って、ゲームまでできるようになりました。これは、何万個の電子部品の役割たった1個のマイコンに集約させることで、部品の数を減らし、製品の小型化が実現できたためです。すなわち、世の中の製品がどんどん小さくなってきたのは、このマイコンの登場と進化によるものといっても過言ではありません。
2 誰でも簡単に自分仕様の機能を実現できる
もう一つの利点は、マイコンはプログラムによって命令(処理)を自由に変えることができます。電子部品は一度実装すると、機能を変更したい場合には、部品を取り換えたり、電子回路を変更したりと変更作業が大変です。
マイコンであれば、プログラムを開発者が自由にプログラミングすることで、演算から周辺装置への通信など自由に設定することができます。
おわりに
マイコンの簡単な解説、いかがだったでしょうか。今回は、その使われ方や中身の構成について簡単にお話しいたしました。ただ、やはり本記事ですべてをご理解いただくことはやはり難しく、また実際にマイコンの開発を体験していただいたほうがより理解が深まると思います。弊社ではマイコンを初めて触る方に向けて、初心者のためのマイコンワークショップを開催しています。マイコンにご興味ありましたら、是非一度、弊社ワークショップへご参加ください。
初心者のためのマイコンワークショップ
セミナーレポート「初心者のためのマイコンワークショップ」