- 公開日:2019年10月03日
- | 更新日:2022年12月01日
ワイヤレス充電の仕組み、活用シーンを分かりやすく解説
- ライター:Cruijff
- ワイヤレス
スマートフォンの革新的な充電方法として「ワイヤレス充電」「ワイヤレス給電」が広く普及しています。
きっかけは、Apple社がiPhone 8(2017年 発表)にワイヤレス充電「Qi(チー)」の搭載を発表したことでした。ワイヤレス充電機能の登場で、ケーブルを使わない便利な充電システムが話題となり、各メーカーが「置くだけで」充電できる「ワイヤレス充電器」を発売するようになりました。
近年では、スマホ以外にもスマートウォッチといったウェアラブル端末や、持ち運びが便利な小型扇風機といった製品にもワイヤレス充電機能が搭載されています。さらに、ワイヤレス充電で動作する製品の普及により、充電台の機能を組み込んだデザインデスクやインテリアといった製品も開発が進められています。
本記事では、ワイヤレス充電を実現する基本原理について説明するとともに、どんな製品に応用できるかを解説していきます。
ワイヤレス充電の仕組み
現在販売されている多くのワイヤレス充電製品には、電磁誘導方式が採用されています。電磁誘導方式は、1組のコイルの一方(送電側)に電流を流すことで磁束を発生させ、その反対側のコイル(受電側)に誘導して電気を送る仕組みです。
図1.ワイヤレス充電原理
スマホやタブレット製品などの充電は、以下の手順で行われています。
- ワイヤレス給電が始まる前に、送信側のコイルから信号が送り出され受信コイルを検索します
- 受信側のコイルが検出されると、送信側のコイルに電流が流れ始めます
- それにより電磁誘導が始まり、受信側のコイルに電流が流れます
- 電流が流れることで電力が発生し、バッテリーへ供給します
このように、ワイヤレス充電は、コイル同士を近づけることで発生する電磁誘導の原理を利用しています。コイルが仕込まれたスマホを充電台に置くだけで充電ができる、という仕組みです。
ワイヤレス充電のメリット
ワイヤレス充電の仕組みはおおむね理解いただけたと思います。
では、ワイヤレス充電を採用することでどんなメリットがあるのでしょうか。
大きく分けて2つのメリットが考えられます。
メリット 1 : ケーブルレスでスマートに充電
スマートフォンを充電する場合、次のような問題が起こりがちです。
- バッグからケーブルを出すと、ぐちゃぐちゃになっていてほどくのが面倒
- スマートフォンの小さいコネクタにケーブルを挿すのが面倒
- 長く使ったケーブルの外側がめくれて、充電中の見た目が美しくない
ワイヤレス充電であれば、ケーブルを使わずにただ充電台に置くだけで充電できます。これにより、次の点でケーブル充電よりメリットがあります。
- 充電台さえあれば、コンセント不要
- ケーブルを持ち運ばなくて済む
- 置くだけで充電できるので、コネクタへ挿す手間を省ける
メリット 2 : 完全密封化で防水・防塵にしつつ、ワイヤレス充電が可能
従来のケーブルから充電する製品には、コネクタを保護するようなカバーを取り付けて防水化するものもあります。ワイヤレス充電であれば、充電用のコネクタを必要としないため、コネクタレスな筐体に仕上げることができます。中身の基板回路などを完全密封化することで、防水、防塵を実現できるのです。
ワイヤレス充電のさまざまな活用シーン
ケーブルレス、防水・防塵など、ワイヤレス充電には多くのメリットがあります。
では、ワイヤレス充電はどういうシーンで活用できるのでしょうか。
ワイヤレス充電の活用シーンを考えてみました。
ワイヤレス充電の活用シーン1 : 日用品、インテリアにワイヤレス充電台を内蔵する
ワイヤレス充電では、充電台さえあればケーブルが不要になります。もしワイヤレス充電台がオフィスの机に埋め込まれていたとすればどうでしょう。スマートフォンを充電している際も、ケーブルが邪魔にならず、仕事がしやすくなるはずです。また、機器に合わせて複数のケーブルを持ち歩いたり、機器とコネクタを見比べて挿し込んだりする必要がなくなり、充電に手間を感じることがなくなるはずです。
ワイヤレス充電の活用シーン2 : 水中内での給電
ワイヤレス充電を採用した製品は、防水加工して、水中にも入れられるように設計できます。例えば、水槽の外にワイヤレス充電ユニットを設置し、水槽の中にLEDやモニターをセットすることも可能になります。こうすることで、本来電源ケーブルが必要な装置も水の中で使えるようになるのです。水中にLEDやモニターを設置し、水中アートの演出などに活用できるようになります。他にも、水中で使うおもちゃや、釣り具など、さまざまな活用が期待できます。
ワイヤレス充電の活用シーン3 : 定期メンテナンスが必要な防水機器
通常の機器では、充電用のコネクタがむき出しになっているケースが多くあります。このような機器を水拭きなどして掃除する場合、コネクタ部に水が入り、故障の原因になることがあります。例えば医療機器の現場などで、機器のメンテナンスに水拭きや消毒が必要とされるケースもあるでしょう。
ワイヤレス充電を採用することにより、一切のコネクタを排除でき、水拭きや消毒による機器故障のリスクを大きく減らすことができます。
図.2水槽ワイヤレス給電
まとめ
ワイヤレス充電はスマートフォン、スマートウォッチなどに搭載され、日に日に普及が進んでいます。本記事では、ワイヤレス充電の機能解説と、ワイヤレス充電の活用シーンについてご紹介しました。ワイヤレス充電は、このほかにもいろいろな分野に応用できます。ワイヤレス充電をお手軽に試してみたいという方には、IDT社(Integrated Device Technology)が提供するワイヤレス給電がラインナップされております。この機会にぜひ検討してみませんか?
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