- 公開日:2020年03月03日
- | 更新日:2022年12月02日
スタイリッシュなデザインを実現する「静電容量式タッチスイッチ」を解説
- ライター:Cruijff
- センサー
皆さんは「静電容量式タッチスイッチ」と聞いて、どんなスイッチかイメージできますか。例えば、スマートフォンでは本体の液晶パネル上を押す(タップする)ことで操作できます。これが、静電容量式タッチスイッチの一種です。
スマートフォンが普及している今日、静電容量式タッチセンシング技術はさまざまな製品に使われるようになっています。身近なところでは、冷蔵庫や洗濯機といった家電製品をはじめ、ビルのセキュリティ製品、産業機器製品など幅広い分野に使われてきています。
では、なぜ静電容量式タッチスイッチがさまざまな製品に普及してきたのでしょう。それは従来のスイッチにはなかった多くのメリットがあるからです。本記事では、この静電容量式タッチスイッチと従来のスイッチを比較してどのようなメリットがあるかをご紹介します。
静電容量式タッチスイッチの仕組み
静電容量式タッチスイッチは静電容量センサを使い、静電容量の変化を見ることでスイッチを押したことを認識させる構造をしています。静電容量センサの詳しい原理解説は以下の記事をご覧ください。
わかりやすいようにタッチスイッチのイメージを下図に表します。電極(センサパターン)に指(導体)が近づくと、電極と指の間で静電容量が発生します。この変化を静電容量センサ(タッチセンサともいう)が読み取ります。ここで重要なのは、指が電極に“近づけば”よいので、電極と指の間にはアクリルやガラスなどのパネル(オーバーレイという)を設けることができます。すなわち、パネル上に指を触れさせ、この静電容量の変化をセンサが読み取ることで、「スイッチを押した」と認識させることができます。
図.1 タッチスイッチイメージ
静電容量式スイッチのメリット
私たちの身の回りにある家電製品や産業機器製品には、押し込むボタンの機械式スイッチが広く使われています。このようなスイッチを静電容量式タッチスイッチに置き換えることでさまざまな利点があります。それは、「耐久性」、「防水、防塵」、「自由なデザイン」の3つです。
メリット1 : デザインの自由度が高く、スタイリッシュな演出を実現
静電容量式タッチスイッチでは、表面パネルの素材に光だけを通すハーフミラーを使用し、電極下にLEDを配置することで、光るスイッチが実現できます。なにもないところから文字や絵が光って浮かび上がり、その部分を押すとスイッチとして反応する、そういったユニークでスタイリッシュなスイッチデザインを演出することができます。
図.2 デザイン例
さらにパネル上に指をスライドさせて音量や光量などを増減させるスライドスイッチやホイールスイッチ、表面パネルを曲げた曲面に電極を配置した曲面スイッチなども実現できます。これにより、今までのスイッチよりも幅広い製品デザインが可能となります。
図.3 静電容量センサで可能なスイッチ
メリット2 : 優れた耐久性を実現
従来の機械スイッチの場合は機械的な接点によってスイッチを認識しますので、構造上、内部の機構が打ち込みにより劣化していきます。皆さんにも、何度もスイッチを押し込んでいたらスイッチの効きが悪くなった、といった経験があるかもしれません。
対して静電容量式タッチスイッチでは、電極(センサパターン)上のパネルに触れることでスイッチを押したと認識します。機械的な接点がないので、何度も押すことによる構造の劣化やスイッチ表面の摩耗がなく、半永久的な寿命を実現することができます。
静電容量式スイッチでは、その表面パネルにガラスやアクリルといった素材を使用できます。耐薬品性に優れた素材を表面パネルとして使用することで、スイッチ部の消毒、洗浄が簡単にできるようになり、かつ洗浄による劣化がなくなります。さらに、表面に凸凹のないフラットなパネルはほこりなどのふき取りも簡単で、スイッチ部を常に清潔に保てます。
メリット3 : 防水、防塵対応を実現
静電容量式タッチスイッチでは、電極を表面パネルの内側に配置しています。製品の筐体を密閉仕様にすることで、表面パネル上部に水滴がかかっても、電極に水分が干渉して故障する、といったことを防げます。さらにタッチセンサ/マイコンで水滴がついた状態でも誤検知を防ぐようチューニングすることで、屋外で使用する製品や、キッチン、トイレ周りなど水濡れする場所でも使用することができます。
まとめ
「製品に独自性を加えるためにさまざまなデザインを検討しているが、電気回路設計の制約などでどうしても製品デザインに制限が出てしまう」と悩んでいる製品企画者やコンセプトデザイナーの方もいるかもしれません。静電容量式タッチスイッチを使えば、自由度が高いスタイリッシュなデザインを実現できます。
この機会に、自社製品に静電容量式タッチスイッチを採用し、付加価値を加えた、新たなスイッチデザインへ切り替えてみるのはいかがでしょうか。スタイリッシュな静電容量式タッチスイッチを検討したい、もう少し詳しく知りたい、といった要望がございましたら下記リンクよりお問い合わせください。