• 公開日:2020年02月14日
  • | 更新日:2022年12月01日

USB Type-Cに置き換える方法 第3話 USB3.1の場合

シリーズ記事「USB Type-Cに置き換える方法」は、現行のUSBコネクターをUSB Type-Cに置き換えるためのノウハウを、概要編/実践編の全4話でご紹介します。

第2話では、従来のUSB2.0のシステムをUSB Type-Cコネクターに置き換えるためにTexas Instruments社(以下、TI社)のUSB Type-Cポートコントローラー(以下、ポートコントローラー) TUSB320LAIを用いた設計方法を紹介しました。
第3話では、USB3.1のシステムではUSB2.0システムと何が異なるのか、USB2.0と同様に製品名をあげて設計する方法を紹介します。

概要編 USB Type-Cに置き換える方法 第1話 Type-Cの原理を知る
実践編 USB Type-Cに置き換える方法 第2話 USB2.0の場合
実践編 USB Type-Cに置き換える方法 第3話 USB3.1の場合 
実践編 USB Type-Cに置き換える方法 第4話 USB2.0 OTG (USB On-The-Go)の場合

※USB Type-CはUSB Power Delivery(USB PD)という新しい規格をサポートしていますが、この連載ではUSB PDに対応する必要が無い機器を取り上げます。USB PDに対応する必要がある場合は、「USB Power Deliveryとは」の連載記事をご覧ください。

概要編 USB Power Deliveryとは
実践編 USB Power Delivery TPS65987D 製品紹介
実践編 USB Power Delivery TPS65987D EVM紹介

USB3.1のシステムでUSB Type-Cへ置き換える方法

以前の記事で少し触れましたが、USB3.1のシステムの場合はUSB2.0では不要だったSuperSpeed信号用の2:1のスイッチがDFP、UFP、DRPのアプリケーション問わず必要になります。図1の赤枠部分が2:1のスイッチです。

図1. USB3.1 Super Speed信号用MUX DEMUXを含んだシステム構成

図1. USB3.1Super Speed信号用2:1のスイッチを含んだシステム構成

初めにポートコントローラー単機能であるTUSB321AIの設計例を紹介します。図2はTUSB321AIを用いたDFPモードでの回路構成例ですが、ここではSuperSpeed信号用の2:1のスイッチとしてHD3SS3212を使用しています。

図2. TUSB321AIでDFPモードにした回路例

出典:Texas Instruments – http://www.ti.com/jp/lit/ds/symlink/tusb321ai.pdf

TUSB321AIは、CC(Configuration Channel)を検出して2:1のスイッチ(HD3SS3212)を切り替えるためのDIR端子が付いています。PORTピンはDFPモードにするためにプルアップされていますが、UFPの場合はプルダウン、DRPの場合はフローティングにします。また、DFPモードではCURRENT_MODEピンでUFP側に通知する電流(Default/1.5A/3A)を選択可能です。ここでは3A(VDDにプルアップ)が選択されています。
その他詳細はTUSB321AIのデータシートをご参照ください。

尚、上述のHD3SS3212はDFPだけでなく、UFPやDRPのアプリケーションにも使用可能なUSB3.1 Gen1(5Gbps)、Gen2(10Gbps)に対応した2:1のパッシブスイッチです。

また、HD3SS3212はパッシブスイッチですが、信号品質を改善するためのリドライバー内蔵のアクティブスイッチもあります。USB3.1 Gen1向けにはTUSB542、USB3.1 Gen2向けにはTUSB1042Iをご使用いただけます。

SuperSpeed信号用2:1スイッチ内蔵のポートコントローラー

USB3.1向けにはSuperSpeed信号用の2:1のスイッチが必要ですが、Texas Instrumentsにはスイッチを内蔵したポートコントローラーHD3SS3220もあり、1チップ構成にしたい場合にはお奨めの製品です。図3はDFPモードの回路例ですが、図2のTUSB321AIでは外付けに必要であった2:1のスイッチ(HD3SS3212)が取り込まれている事がわかるかと思います。

図3. HD3SS3220でDFPモードにした回路例

出典:Texas Instruments – http://www.ti.com/jp/lit/ds/symlink/hd3ss3220.pdf

HD3SS3220はUFP、DRP向けのアプリケーションにも使用可能です。UFP、DRP向けの構成はデータシートに記載がありますので合わせてご参照ください。

まとめ

ここまで全3回の記事で、現行のUSBコネクターをUSB Type-Cに置き換える方法をUSB2.0システムの場合とUSB3.1システムの場合でそれぞれ紹介しました。
より詳しい情報が必要な場合は、以下リンクより資料をダウンロードしてください。

資料ダウンロードはこちら

次回はUSB2.0 OTGの場合を解説!

本記事では、対象機器がUSB3.1のシステムをType-Cコネクターへ置き換える方法について紹介をしましたが、いかがでしたでしょうか。次は従来のUSB2.0 OTG機器をUSB Type-Cへ置き換える場合、どのように設計すれば良いかを紹介していきます。