• 公開日:2020年08月12日
  • | 更新日:2023年12月22日

過電圧検出及びラッチオフ回路

  • ライター:短絡亭過電流

とあるお客様からこのような御相談を頂きました。

「過電圧を検出して、それを条件に回路を動作停止させたいのですが、
過電圧状態が解除されても回路の動作停止を保持し、
電源の再投入で復帰させたいです。」

一般的に言う ラッチオフ回路 ですね。
テキサスインスツルメンツ社の製品としてはTPS3703/-Q1が挙げられます。
https://www.tij.co.jp/product/jp/TPS3703-Q1
このICは、通常は自動復帰ですが、CT端子に抵抗を接続することで、ラッチオフに設定できます。

TPS3703はOV(過電圧)/UV(低電圧)それぞれでアラートを発報できますが、閾値は固定されています。

そこで、任意で設定した電圧でOVを検出し、電源を再投入するまでアラートを保持する回路を ディスクリート で考えてみました。

その回路がこちら!

5VのVINが5.5Vになった際にLowを出力、VINが一度消失する迄Lowを保持する回路です。
”電圧検出”部の抵抗の値を変更することで、OVの検出値を変更することができます。
(電圧検出部の抵抗R2にかかる電圧が2.5Vとなった時に、OVを検出します。)
OV検出にはシャントレギュレータのATL431を使用しました。最小動作電流が35uAと非常に小さく、消費電力を抑えられます。
https://www.tij.co.jp/product/jp/ATL431

以下、回路の動作概要です。
1.監視対象の電圧(VIN)が上昇し、ATL431のRefが2.5V以上となる。(OV発生)
2.ATL431がONし、K端子から電流を引き、T2のBase電圧を引き下げ、T2がONとなる。
3.T2がONすることでC1が充電されT1のBase電圧が上昇、T1がONとなる。
4.C1の充電により、T1とT2が常にONとなる状態を保持。
5.VINが消失するとC1が放電され、回路がリセットされる。

その結果がこちら!

期待通りの動作です。
これは、成功と言って良いんではないでしょうか!

シャントレギュレータATL431は便利、且つ安価なICです。
また、ICの電気的特性の精度が非常に高く、組み合わせ次第で様々な使い方ができます。

「こんな回路を実現したい!」との要望がありましたら、是非弊社エンジニアへご相談ください!

当記事のTINA-TIシミュレーションファイルのダウンロードはこちらから!
※このシミュレーションモデルは、実機での動作を保証するものではありません。ご検討の際は、実機での十分な動作検証をお願いします。