• 公開日:2020年08月13日
  • | 更新日:2023年12月22日

オペアンプを用いた高電圧側電流監視回路

あるお客様から下記のようなお問合せを頂きました。

「400Vの電源があるのですが、その出力電流を測定したい。
できればGND側ではなく 高電圧側で。

いやぁ~、、 なかなかハードな要求仕様です…

電流の測定ではシャント抵抗とオペアンプを用いることが一般的ですが、残念ながら400Vが入力可能なオペアンプはありません。
そこで、
1. 400V電源の直下に5V電源エリアを作り
2. その5V電源でオペアンプを駆動
3. 負荷の上部にシャント抵抗を設置し電流を測定、シャント抵抗の両端をオペアンプへ入力
4. オペアンプの出力で高耐圧バイポーラトランジスタを駆動
5. バイポーラトランジスタで電圧を降下させつつ
6. その電流で3で計測した高電圧側の電流波形の「コピー」を低電圧側へ伝達する

上記が実現できる回路を考えてみました。

その回路がこちらです!

負荷電流は0A,400mA,800mAで変動するようにしました。
さて、果たして「電流波形のコピー」は実現しているのか?! その結果がこちら!

負荷電流は最大800mA、出力電圧は最大800mV!
出力電圧波形はLPFによりやや鈍っていますが、出力電流の瞬間的な「ヒゲ」が除去されており、かなりコピーの精度が高いと思います。

これは、成功と言って良いんではないでしょうか!

と、いつもであればここで終わりなのですが、
実は、この回路が今なら1個のICで実現できてしまいます!
それがこちら!TMCS1100/1101
https://www.tij.co.jp/product/jp/TMCS1100
https://www.tij.co.jp/product/jp/TMCS1101

出典:Texas Instruments –『TMCS1101 内部リファレンス搭載、高精度、絶縁型電流センサ』 https://www.tij.co.jp/product/jp/TMCS1101
出典:Texas Instruments – データシート『TMCS1101 1.5% Precision, Basic Isolation Hall-Effect Current Sensor With ±600-V Working Voltage』 https://www.tij.co.jp/jp/lit/ds/symlink/tmcs1101.pdf

ということで同じようにシミュレーションしてみました。

シャント抵抗や高耐圧トランジスタが不要になるため、回路が劇的にすっきりしました!
また、電流波形のコピー度は、まさに「そのまま」のものが得られます。

TMCS1100/1101は入出力間が絶縁されており、且つ入力電圧は600Vまで許容でき、製品によっては最大100A近までの電流を流すことができます。様々なシーンで活用できるICだと思います。
是非機会があれば御検討下さい!!