• 公開日:2020年09月09日
  • | 更新日:2022年11月21日

ミリ波センサーはだれでもどこでも使えるの?

ミリ波と技適

ミリ波は直進性が強く、耐環境性能に優れており、ミリ波を利用したセンサーを用いると高精度で物体の検出が可能となるため、その有用性を吟味したいと考えている方も多いのではないでしょうか。ただ、ミリ波という電磁波の特質上、60GHz/79GHz帯域の周波数を扱うため、法律上、技術基準適合証明(以下、技適証明)を取得する必要があります。Texas Instruments社(以下、TI社)から、ミリ波チップが搭載された評価ボードも提供されていますが、技適証明を取得しておりませんので評価を行うためには電波暗室などの放射された電波が周囲に影響を与えない環境下で使用しなければなりません。これはミリ波の評価/検討を行う上で大きなハードルとなっています。そこで、今回はTI社のミリ波製品が搭載された技適証明取得済のミリ波モジュール製品をご紹介いたします。

79GHz帯 ミリ波レーダーモジュール評価キット

[共通仕様]

TI社のミリ波製品が搭載されたモジュールは、IWR1642とIWR1443が採用された2タイプありますが、以下は共通仕様となっています。

               

 

 

[モジュール仕様]

IWR1642が搭載されたモジュールは4種類のアンテナパターンが用意されています。
アンテナパターンにより、長距離(T6_02120112)から、広角(T16_01010101)向けの用途での使い分けが可能です。

 

IWR1443が搭載されたモジュールは2次元(T14_01120112_2D)、2.5次元(T14_01120112_2R5D及び、T14_01030103_2R5D)向けに3種類のアンテナパターンがあります。

※2次元:センサー面に対して物体の方位角方向(X軸)と、物体までの距離(Y軸)を検出
※2.5次元:センサー面に対して物体の方位角方向(X軸)と、物体までの距離(Y軸)及び、ある程度の仰角方向(Z軸)を検出

 

 

76/79GHz帯 ミリ波レーダーモジュール評価キット

※2020/12更新:新たにIWR1843が搭載されたモジュールが追加されました。

IWR1443(Analog Front End + FFTアクセラレータ)、IWR1642(Analog Front End + DSPコア)に対して、IWR1843は、Analog Front End + DSP + FFTアクセラレータが内蔵されており、よりデジタル処理能力が向上しています。

[共通仕様]

      

[モジュール仕様]

IWR1843が搭載されたモジュールは、長距離(T18PE_01120112_2R5D_76G)、2次元(T18PE_01120112_2D及び、T18PE_01030103_2D)、2.5次元(T18PE_01030103_2R5D及び、T18PE_01030103_2R5D)の5種類のアンテナパターンがあります。

 

[評価用ソフトウェア]

これらのモジュールを評価するためのソフトウェアも付属しており、PCとUSB接続するだけで簡単にミリ波の評価を行うことが可能となっています。モジュールへの電源供給もUSB経由となっていますので、別途AC電源を用意する必要もありません。

<主な機能>

  • 各種プロット/ヒートマップ表示
  • レーダー・モジュールの制御
  • レーダー・モジュールからのデータ収集
  • レーダー・モジュールの状態監視

 

 

 

 

※本ソフトウェア及び、チャープ設定はCD-ROMにて提供されます。
※付属CD-ROM内のxxx_BestRangeRes.cfg(チャープ設定)を用いて技適を取得しています。
※上記チャープ設定以外で使用する場合は、技適の再取得が必要になります。

 

おわりに

技適取得済のモジュールを用いることでミリ波製品の導入を容易にするだけでなく、お客様の用途(検出物体、距離)に合わせたアンテナパターンのカスタマイズも可能です。また、今回は79GHz帯の製品をご紹介させていただきましたが、今後は60GHz帯のモジュールも準備しておりますので、乞うご期待ください。

 

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