- 公開日:2021年11月08日
- | 更新日:2023年08月04日
DisplayLinkとは
- ライター:Yaita
- インターフェース
はじめに
DisplayLinkと呼ばれるテクノロジーをご存じでしょうか?
DisplayLinkは、DisplayLink社(※)が開発した独自の映像伝送技術の名称で、この技術を使う事で、PC(コンピュータ)とUSB接続するだけで簡単に(複数の)ディスプレイに映像出力する事が可能になります。USBをサポートしているあらゆるPC(コンピュータ)がプラットフォームを意識することなく、(複数の)ディスプレイに接続できる事から、USBドッキングステーションやUSBディスプレイアダプタ(USB to Video)、USBモニターなど、実は私たちの身の回りにもDisplayLinkを使用した多くの製品が市場に出ています。
本ブログでは、DisplayLinkを使用したアプリケーション例と動作概要、及び、DisplayLinkで使われるデバイス(IC)各シリーズのラインアップを紹介します。
※現在はSynaptics社がDisplayLink製品を取り扱っています。
DisplayLinkを使用したアプリケーション例
PC(コンピュータ)はHDMIやDisplayPort、あるいはUSBポートを経由して周辺機器に接続されます。しかし、これらのポートが元々備わっていないか、あるいは追加のポートが必要なケースがあるかと思います。DisplayLinkを用いることで、1本のUSBケーブルを介して、複数の外部ディスプレイ装置、オーディオ・ヘッドセット、イーサーネット、マウスやキーボード等のUSB周辺機器に接続することが可能になります。このような様々な周辺機器との接続をするための機器をユニバーサルドッキングステーションと呼びます。ユニバーサルドッキングステーションを使えば、業務効率の向上と作業スペースを縮小/簡素化することができるため、オフィスやテレワークで幅広く使用されています。
ディスプレイ数を更に増やしたい場合、以下のようにデイジーチェーン接続する事で簡単にディスプレイの増設も可能です。PC(コンピュータ)にHDMI、DisplayPortコネクタを追加する事無く複数のディスプレイに画像を出力できるため、デジタルサイネージ等のアプリケーションにも活用されています。
デイジーチェーン接続 デジタルサイネージアプリケーション例
その他、USB接続で直接画像表示可能なUSBモニターや、通常のディスプレイでもUSBモニターとして使えるUSBディスプレイアダプタ(USB to Video)がDisplayLinkを使用した主なアプリケーションです。
USBモニター USBディスプレイアダプター(USB to DisplayPort)
DisplayLinkはどのように動作しているの?
DisplayLinkは、PC(コンピュータ)上で動作するソフトウエア(ドライバー)と、USBの先で繋がれた、USBとHDMIやDisplayPort と言ったディスプレイ標準インターフェースとの橋渡しを行うDisplay Linkデバイス(IC)で構成されます。
DisplayLinkは、非常に小さい遅延で精細なテキストやグラフィックス画像を圧縮/エンコードし、USBを経由して伝送するコーデック技術です。「USBが持つ通信帯域では高解像度のディスプレイ情報、しかも複数を同時に伝送できないのでは?」と考える方もいるかと思いますが、DisplayLinkでは、PC(コンピュータ)に内蔵されたCPU/GPUを使ってリアルタイムに画像を圧縮/エンコードします。これにより、限られた通信帯域のUSBでも高品質の画像データを低遅延で送ることができます。
また、DisplayLinkはソフトウェア(ドライバー)ベースのホストソリューションであるため、ホスト側のハードウェアコストを追加することなく様々なOS(※)上で動作します。
※DisplayLinkがサポートしているOS:Windows 7, 8, および10、macOS、Android、Chrome OS、Ubuntu / Linux
DisplayLinkのUSB仮想グラフィックテクノロジー
以下に、DisplayLinkがどのように動作しているかを順を追って説明します。
1)ホスト機器(例えばノートPC)にDisplayLinkドライバーをインストールします。これにより、仮想的にGPUが増設された状態となり、ホスト機器に既設のGPUと同じように動作します(DisplayLinkドライバーが仮想GPUとして動作)。USBポートの先にDisplayLinkのデコード機能を持つディスプレイ装置(DisplayLinkデバイス)が接続されたことを検出すると、DisplayLinkドライバーはOS(例えばWindows)にそのことを伝えます。
2)OSは接続された各ディスプレイ装置のためにフレームバッファを作成し、そこに映像コンテンツを配置します。
3)DisplayLinkドライバーは、フレームバッファ内のピクセル情報を読み出し、圧縮/エンコードした後、USBを経由してDisplayLinkデバイスに送信します。※DisplayLinkドライバーは直前のフレームとの差分のみを転送することで、USBを流れるトラフィックを低く抑えます。
4)DisplayLinkデバイス(IC)は、圧縮/エンコードされたデータを受信するとデコード/展開し、VGA、HDMI、DisplayPortなど標準的なビデオインターフェイス経由でディスプレイに画像を表示します。
DisplayLinkデバイス(IC)について
DisplayLink技術を用いたシステムを構成する際、USBやイーサネットとビデオインターフェースの間を橋渡しするブリッジICであるDisplayLinkデバイス(IC)が要(かなめ)です。
DisplayLink ICの製品ラインナップや仕様については以下のページをご参照ください。
まとめ
DisplayLinkは、USBポートを備えたコンピュータであればディスプレイを簡単に接続できるテクノロジーです。このテクノロジーを使う事で、HDMIやDisplayPortコネクタが無いコンピュータでも、ホスト側のハードウェアコストを追加することなく、USBケーブル1本で4K, 5Kの解像度の映像を出力することができます。
既にUSBドッキングステーションやUSBディスプレイアダプタ、USBモニター/ディスプレイ等多くの製品が市場に出ており、デジタルサイネージ等のアプリケーションへも活用されています。本ブログにより、DisplayPort技術に興味を持って頂けましたら幸いです。