- 公開日:2024年06月28日
- | 更新日:2024年07月16日
GreenPAKでReset ICを置き換える
- ライター:滑る温泉ドライブ
- その他
GreenPAKでReset ICを置き換える
Reset ICが製廃に成るので、GPAKに取り込む形で置き換えよう、という動きが在ります。
これは、GPAKの開発当初(Silego時代)から目的に入っていた様で、作例も公開されていたりします。
しかし、お客様からは「微妙なタイミング設定を自分の手元で手軽に行いたい」という趣旨で、
旧来からの
Logic IC + 遅延コンデンサ(RC)
という形で設定したい、というご要望が結構寄せられる。
「やって、やれない事は無い」と思う一方で、
GreenPAKには発振器とカウンターが内蔵されているのだから、
精度も良く作れるDigitalで作ろうよ~と思うのですが、お客様はウンとは言わない。
ので、物は試しで作ってみました、というのが今回の作例です。
SLG46110を例に取って作成してみる。
素子(ベースダイ)を選択し、初期設定を済ませると、この画面が出現する。
ここに必要な素子を貼り込み、端子間の結線をして行く。(下図)
第一作目
遅延時間の設定なんて、
大きな抵抗と容量のコンデンサの充放電カーブに、Analogコンパレーターを組み合わせれば出来る。
と考えたりしますが、外付けのCの放電が済まない内に
電源再投入、つまり瞬停の時を考えねばいけません。(瞬停だとCが放電し切らない)
瞬停でも、然るべき遅延時間の後にReset信号が解除される様に。
そこで、、、
思い付きの改良
放電の為のダイオード:D1を入れて、
Vdd電圧が下がったら、遅延コンデンサの電荷を捨てる様にする。
単純に考えれば、これで十分と思えるのですが、瞬停の時はどうか?
思い付きの改良 の結果
D1で積極的に放電させても、Cの再充電開始電圧が下の様にバラつく。
コンパレーターで閾値を割り込んだのを検出したら、
Vddが下がり切るか否かに関わらず、一定の遅延時間を生成出来なければいけない。
手直しその1
ならば、とD2を追加して充電端子にも繋いで、GNDへも積極的に放電させてみる。
しかし、結果はダイオードの順方向電圧分が残る上に、出力に挙動不審な電圧とスパイクノイズが発生したりする。
手直しその1 の考察
外付けCから電荷を確実に引き抜かないと、不確実な動作の原因と成る。これは、
電源の再投入でGreenPAKが動作を始めたタイミングで
外付けCの残留電荷が抜けている事からも想像出来る。
やはり、1回閾値を下回ったら、確実に放電させ切る事が必要。
と考えて、、、
手直しその2
(ちょっと強引ですが)
VddのパスコンC2に電荷が残ってる内に、GreenPAK自身が動作して外付けCの電荷引き抜きを行う様にする。
IO端子のHi-Z機能を活用する。
電源パスコンに引き抜き動作用の電荷を確実に残す為と、
ダイオードの順方向電圧分Vddが下がって、IO端子への印加電圧が高く成ってしまう可能性を避ける為に、
電圧検出端子にもダイオードを経由して接続する。
手直しその2 の結果
不審な挙動も消えて、かなり落ち着いた波形と成りました。
残念ながら、IO端子を放電に動員しても0.34V以下には出来ないので、遅延時間はチューニングが必要です。
これで無事デザイン登録か、と思いきや、、、
有識者からのアドバイス
この経路で放電させた際に、
電流のピーク値をギャランティ出来ない。ので問題有り。
と指摘されてしまいました。
手直しその3 最終形
そこで放電の経路に低抵抗を追加。電流ピーク値を確定。
回路的には「これで問題無い」と思うのですが、
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- 大容量なCを2個、
- 整流Diも2個、
- 抵抗も4個を外付け、
- IO端子も4本使用、
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と資源を費やして迄、CR外付け型回路にする価値が有るでしょうか?
(勿体無いなぁ)
という事で、、、
- 外付けCでタイミング設定
は、やってやれない事は無い。が、勿体無さ過ぎる。
折角、GreenPAKにはOSCとカウンターが内蔵されているのだから、それらを活用して
Digital回路で構成した方が賢い、という事例なのでした。
同種の問題は、WDTやDead Time設定を外付けCRで決めよう、という場合でも発生します。
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