• 公開日:2025年09月01日
  • | 更新日:2025年09月24日

ルネサス社NOR Flashエンハンス品の紹介

はじめに

NOR Flashの規格はJEDEC JESD216で規定されています。一般的なNOR Flash製品はこの規格に則って設計されています。
ルネサス社ではこのような製品に加え、独自に機能を加えた特色のある製品群がラインナップされています。
本記事ではルネサス社NOR Flashラインアップと独自に機能を加えた特色のある製品群についてご紹介します。

 

ルネサス社NOR Flashラインナップについて

まずルネサス社NOR Flashの標準品(Standard品)のラインアップは以下のようになっております。

Standard AT25SL/QL 1.8V 32Mb~128Mb SPI S/D/Q
AT25DL 8Mb, 16Mb SPI S/D
AT25SF/QF 3.0V 4Mb~256Mb SPI S/D/Q
AT25DN 256Kb~1Mb SPI S/D
AT25FF Wide VCC
1.65V~3.6V
4Mb~32Mb SPI S/D/Q
AT25DF 256Kb~4Mb SPI S/D

*SPI S/D/Q = SPI Single/Dual/Quad

電圧は一般的な1.8V、3.0Vの2種類で、一部1.65V~3.6VのWide電圧に対応したものもあります。

容量は256Kb~256Mbまでをカバーしており、今後大容量品もラインナップされる予定となっております。
型番のQL/QFは初期値がQuad enableとなっているものです。
(ハードに違いはなく、ユーザーがSingle、Dualに変更することは可能です)

続いてルネサス社で独自に機能を加えたエンハンス製品群を紹介します。

Ultra-low Energy AT25EU Wide VCC
1.65V~3.6V
1Mb~16Mb SPI S/D
FusionHD AT25XExxxD 4Mb~32Mb SPI S/D/Q
DataFlash AT45DB/25PE 2Mb~64Mb SPI S

*SPI S/D/Q = SPI Single/Dual/Quad

ルネサス社のエンハンス品は、
Ultra-low Energy、FusionHD、DataFlashの3種類ラインアップされています。

Ultra-low Energy

Ultra-Low Energyの型番はAT25EUで低消費電力を狙った製品群となります。

特徴

-標準8msで高速消去
-最小256Bytes単位でのページ消去
-Power Down時における低消費電流(0.1uA)
-Program/Erase実行時にMCUがスリープ可能となるアクティブ割込み
-Wide VCC(1.65V~3.6V)
となっています。

端子配列、コマンドセットは標準品と同一、容量は最大16Mbです。
想定用途としては、小型バッテリー駆動製品やエナジーハーベスト設計となっています。

 

FusionHD

FusionHDの型番はAT25XExxxDで超低消費電力、高速Readを特徴とした製品群となります。

特徴

-高速動作
-最小256Bytes単位でのページ消去
-Ultra-Deep Power Down時における超低消費電流(7nA)
-Program/Erase実行時にMCUがスリープ可能となるアクティブ割込み
-Main Memory ArrayのPage内の任意の連続バイトを再プログラムできるRead-Modify-Write
-Wide VCC(1.65V~3.6V)
となっています。

端子配列は、標準品と同一、コマンドセットは標準+拡張、容量は最大32Mbです。
想定用途としては、IoT製品、ウェアラブル製品、データロギングアプリとなっています。

 

DataFlash

DatFlashの型番はAT45DB/AT25PEで高効率かつ堅牢なデータロギングを可能にする製品群となります。

特徴

-同時書き込みでき、フラッシュの使用を容易にすることでソフトウェア設計を簡素化できるDual SRAM buffers
-最小256Bytes単位でのページ消去
-Main Memory ArrayのPage内の任意の連続バイトを再プログラムできるRead-Modify-Write
-Wide VCC(1.65V~3.6V)
となっています。

端子配列は独自(AT25PEは標準)、コマンドセットは拡張、容量は最大64Mbです。
想定用途としては、データロギングアプリとなっています。

 

まとめ

標準品とこれらエンハンス品の特徴をまとめた表は以下となります。
エンハンス品で特色のある項目に色を付けました。

表:標準品とエンハンス品の特徴比較 *SPI S/D/Q = SPI Single/Dual/Quad

最大容量の点で標準品が大容量となりますが、
エンハンス品は低消費電力動作、SRAM Bufferによるデータ堅牢性などの特色を持っており、
バッテリー駆動製品や、データロギング用途でその特色を活かせる製品となっております。

お問い合わせはこちらから

お問い合わせはこちらから!

出典

*2025/9時点の内容です。