- 公開日:2019年12月11日
- | 更新日:2022年10月28日
日本発の産業ネットワーク! MECHATROLINKとは?
- ライター:uchidaK
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近年、ファクトリーオートメーションの業界ではIndustory4.0という言葉が現れました。あらゆる産業機器がネットワークへつながることはもちろん、乱立していた独自通信はオープンネットワークへと変わっていき、シェアを伸ばしました。オープン化することによって産業プロトコルは集約されてはいきましたが、結果として今日では、それぞれの強みを持ったプロトコルが複数存在し、いまだに産業ネットワークとして、何を使用していけばいいか分からない方もいらっしゃると思います。
今回は、日本で生まれた産業ネットワークである、MECHATROLINKについて概要を紹介したいと思います。
MECHATROLINKとは?
MECHATROLINKは、1980年代後半に、工作機械やロボットシステムの高機能・高性能化・高信頼性化を実現するために、(株)安川電機によって開発された技術であり、2003年にオープン化されました。
産業ネットワークでは主に下記のように分かれています。
- ・情報系LAN:生産管理システムなどからPCやパネルコンピュータと通信を行う
- コントローラ間ネットワーク:MC、PLCなどのコントロール機器とPCで通信を行う
- フィールドネットワーク:PLCなどからサーボドライブやインバータ、アクチュエータなどを動作させる
図1.産業ネットワーク
半導体製造装置や工作機械、射出成型機などは、たくさんのモーションコントロールを必要とします。また、その数あるモーションコントロールを制御し、細かな動作にも対応させるには、通信の高速性や同期性が不可欠になってきます。MECHATROLINKは、これらの高速性、同期性に優れた、モーションコントロール向けの産業ネットワークといえるかと思います。
MECHATROKINKの特徴
他のプロトコルと比べて、MECHATROLINKの特徴的である点は下記のとおりです。
- 高い同期性
- 通信の高速性
- 高い信頼性
まず、同期性については、マスターから全スレーブに対して送信する同期フレームが用意されております。同期フレームで全スレーブは歩調を合わせつつ、同期フレームの周期間ではマスターからスレーブに対する指令データと、スレーブからマスターへ返信する応答データを各スレーブ分もつことによって、同期性を実現しています。
MECHATROLINKでは、物理層はEthernetを使用しますが、MAC層については、専用ハードウェアを用意しています。汎用Ethernetではなく、専用ハードウェアを持つことで、リアルタイム性、同期性に特化した設計が行われ、高速な通信を実現しています。
最後に信頼性ですが、同期フレームの周期内で、もしノイズなどで応答データが受け取れなかった場合、MECHATROLINKではリトライ機能が用意されており、こちらを有効にすることで、受け取れなかった応答に対して、マスターが同一周期内で指令データを再送し、応答データの受信を試みることができます。これにより、通信に障害が発生しても、同期性を保つことができます。
MECHATROKLINKの仕様
ここで、MECHATROLINKの仕様をまとめます。MECHATROLINKはⅡ、Ⅲとバージョンが分かれており、物理層の仕様や同時接続数などが異なります。
近年では、センサーデータなどで複数の伝送周期に対応したり、通常のIP通信とも互換性を持たせたMECHATROLINK-4という規格も登場しています。
項目 | MECHATROLINK-II | MECHATROLLINK-III | MECHATROLINK-4 |
---|---|---|---|
コマンド、プロファイル | M-II通信コマンド | M-III標準プロファイル M-II互換プロファイル |
M-4標準プロファイル |
最大接続局数 | C1マスター:1局 C2マスター:1局 スレーブ:30局 |
C1マスター:1局 C2マスター:1局 スレーブ:62局 |
最大128局 マスター最大:8局 スレーブ最大127局 |
伝送周期250usあたりの最大スレーブ局数 | 2 | 10 | 16 |
サイクリック通信伝送データ長 | 17バイトまたは32バイト (マスター/スレーブ共通) |
32バイトまたは48バイト (マスター/スレーブ共通) |
16バイトから1,492バイト (マスター/スレーブ個別) |
マルチマスター | 非対応 | 非対応 | 対応 |
複数伝送周期 | なし | なし | あり |
全二重/半二重 | 半二重 | 半二重 | 全二重 |
IP通信 | 非対応 | 非対応 | 対応 |
Ethernet | 非互換 | 物理層のみ互換 | 互換 |
伝送速度 | 10Mbps | 100Mbps | 100Mbps |
伝送距離 | 総延長50m | 局間100m | 局間100m |
接続形態 | カスケード | カスケード/スター | カスケード/スター |
最後に
いかがだったでしょうか? 今回はMECHATROLINKの概要を簡単に紹介させていただきました。
MECHATROLINKは非常に高い同期性を持ったシステムとなっておりますので、工場などの現場ではその技術を支える屋台骨の働きをしておりますので、さまざまな精密な制御に応用できる産業ネットワークとなりそうですね。
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