• 公開日:2020年09月25日
  • | 更新日:2022年11月21日

ドロップアウト電圧、確認しましたか?

こんにちは。マクニカのOtteyです。

みなさんはリニアレギュレータを選ばれる理由として、以下のような理由があるかと思います。

  • コストが安価
  • 周辺部品が少なく設計できる

※リニアレギュレータのメリットについてはこちらの記事にも記載されております。

しかし、みなさんもご存知の方もいらっしゃると思いますが、リニアレギュレータの損失は、入出力の電圧差と出力電流の積で決まるため、
入出力の電圧差が大きいと発熱が大きくなってしまうというデメリットを持っています・・・・・
(場合によってはデバイス内部のサーマルシャットダウンが働くなどデバイスの動作に影響してきます。)
※リニアレギュレータでの発熱や温度についてはこちらの記事にも記載しています。

では、「入出力の電圧差を小さくすれば、問題ないのでは?」と思いがちですが、
そのときに確認してほしいのが、ドロップアウト電圧です!

ドロップアウト電圧とは?

ドロップアウト電圧(VDO)とは、出力電圧(VOUT)を生成する為に必要な入力電圧(VIN)と出力電圧(VOUT)の
最小電圧差のことです。
例えば図1のように、3.3Vを出力したい場合、使用する製品のドロップアウト電圧(VDO)が0.5Vであれば入力電圧(VIN)は VOUT+VDO =3.8V以上の電圧を印加する必要があります。

図1 ドロップアウト電圧について

※ドロップアウト電圧(VDO)の詳しい説明は以下のTI社の資料にも記載がありますので、こちらを確認してください。

また、ドロップアウト電圧(VDO)の値はデバイスによって違いがあります。表1のようにTI製品の場合、ドロップアウト電圧(VDO)が0.1〜2.0Vの範囲のデバイスがございます。
※出力電流によってもドロップアウト電圧(VDO)は変化します。

表1 3.3V固定電圧のTI製リニアレギュレータの場合

入出力の電圧差がドロップアウト電圧より小さくなるとどうなる?

入力電圧(VIN)が VOUT+VDO の値より低くなる場合(入出力の電圧差がドロップアウト電圧(VDO)より小さくなる場合)、
出力電圧はどのようになるのでしょうか?

試しに以下のデバイスを使って実際に測定してみました。
図2のように、入力電圧を下げていき、入力電圧(VIN)が VOUT+VDOの値より低くなるところまで下げていきます。
すると、入力電圧(VIN)が VOUT+VDOの値より低くなるところで、出力電圧も下がっていくところが確認できます。
( VIN – VOUTの値がドロップアウト電圧の値にキープされている状態で出力電圧が下がります。)

  • TLV1117-33(ドロップアウト電圧(VDO)最大1.2V(Iout=100mA)
  • TLV71733P(ドロップアウト電圧(VDO)最大0.35V(Iout=150mA)

図2 TLV1117-33とTLV71733Pの測定結果

 

まとめ

デバイス選定の際、必ずドロップアウト電圧をデータシートで確認してください!

上記のように、入出力の電圧差がドロップアウト電圧より小さくなると、想定通りの出力電圧を得られません。
(なお、データシートでドロップアウト電圧を確認する際は最大値(maxの値)で見て頂くことを推奨します。)

また、ドロップアウト電圧が小さいデバイスもございますので、ぜひチェックしてみてください!

TPS731xx(ドロップアウト電圧:0.1V(Iout=150mA))

※入出力コンデンサが無くても動作できるデバイスとなっており、省スペース化も実現できます。

TPS7A24xx(ドロップアウト電圧:0.16V(Iout=100mA))

※可変出力タイプもあり、さらに低消費電流を実現したデバイスとなっております。

最後に、デバイス選定にお困りでしたら、ぜひ弊社にご連絡を!